障害児キッズモデル業の理想と現実 ためらう企業と起用する企業それぞれの事情

障害児キッズモデル事務所「華ひらく」代表 内木美樹さんインタビュー#2 ~起業1年で見えてきた壁~

障害児キッズモデル事務所「華ひらく」代表:内木 美樹

日本理化学工業「キットパス」との運命的な出会い

そんな中、内木さんの熱意を受け取ったのが、学校で使うチョークのほか、窓ガラスなどの平滑面に描けて水拭きで消せる筆記具「キットパス」を製造する日本理化学工業です。障害児キッズモデルを起用し、商品PR用のイメージ撮影を行いました。

同社の商品企画部・広報担当、雫緑(しずく・みどり)さんは内木さんとの出会いを「またとないタイミングでした」と振り返ります。キットパスの成分をお米のワックスに大幅リニューアルして、商品撮影の計画を立てていたところに、内木さんから連絡が入りました。

「キットパスは、誰でも描いて、水で消すことのできるもの。それは性別、年齢、国籍などもまったく問わない。子どもだけでなく、おとなも、高齢の方も、誰もが絵を描くことができ、落書きではなく『楽がき』を楽しめたらという思いがありました。

弊社が社員の7割は障害者を雇用していることもあり、とことんボーダーのない商品イメージを発信したいと考えていたところへのご連絡でした。

ですので、障害児モデルだから起用した、というより、多様性をイメージした中に外国ルーツのモデルさんもいて、障害のあるモデルさんもいて、という流れでした。

撮影当日は、初めて出会ったさまざまな性格、特性の子どもたちがキットパスを囲んで窓ガラスへのお絵描きを楽しみました」と雫さん。

このほか、モデルが起用されたのは、子ども食堂、写真スタジオ、放課後等デイサービス、トランポリン教室など。現在は知り合いが採用してくれるケースが多い状況ですが、少しずつ、着実に輪は広がっています。

筆記具・キットパスの目指す「ボーダーレス」というコンセプトから障害児キッズモデルを起用。  写真提供:日本理化学工業

国内1000万人の障害者を“顧客見込みリスト”に

内木さんは、世界に13億人、日本に1000万人いるとされる障害者を企業が顧客見込みリストに入れることで、「ビジネスチャンスにもつながる」と考えます。

「障害者市場は潜在顧客が多いにもかかわらず、ほとんどが未開拓です。企業が障害者を“顧客”として継続して歓迎することで、健常者や障害者からの好感度も上がります」と内木さん。

こうした企業の取り組みが“ガラスの壁”をなくすことにつながるため、今後は企業へのコンサルティングも行っていく予定だそうです。

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「ガラスの壁をなくしたい」とコロナ禍ではじめたキッズモデル事業。企業が難色を示す背景には、社会の理解不足がありそうです。障害があっても堂々と生きられる社会の実現に向けて、私たちに何ができるでしょうか。

次回は障害児キッズモデルを通して「孤育(こそだ)て」から抜け出せた親たちについてお届けします。

内木美樹(うちき みき)
2021年に障害のあるキッズモデルのマネージメントを開始。障害者と健常者の間にある「ガラスの壁」を低くして、障害があっても堂々と生きられる社会を目指している。2児の母。長男に自閉症と重度の知的障害あり。

取材・文/大楽眞衣子

障害者キッズモデルたちが参加した「写真コンテスト」
子どもたちの活躍が見られます!

「華ひらく」では、現在(2022年8月)、クラウドファンディングでカメラマンや審査員を募集した写真コンテストを下記ショッピングモールで開催しています。
詳細はインスタグラム「colorfulkidmodels」にて告知。

●8/13~8/17 ニューコースト新浦安(千葉県浦安市)
●8/27〜8/28 アリオ上尾(埼玉県上尾市)
●9/6~9/11 新宿マルイ アネックス(東京都新宿区)
●9/16~9/25 イオンモール東久留米(東京都東久留米市)
●10/1~10/10 イオンモール日の出(東京都西多摩郡日の出町)
●10/22〜10/30 アトレ川崎(神奈川県川崎市)

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うちき みき

内木 美樹

障害児キッズモデル事務所「華ひらく」代表

障害児キッズモデル事務所「華ひらく」代表。Truckee Meadows Community College(米国)卒。 卒業後...

だいらく まいこ

大楽 眞衣子

社会派子育てライター

社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる...