離乳期は味覚を育む「黄金期」 子どもにいろんな食材を食べさせるコツ

人気食育講師・とけいじ千絵先生「子どもの“繊細な味覚”の育て方」#2

フードアナリスト:とけいじ 千絵

「食事=楽しい」とインプットする

また、実は、人間が「おいしい」と感じるのには、味のほかに、視覚や嗅覚などの要素も影響するといわれています。そのため、「おいしい」と感じる環境を整えてあげることも大切なんですね。まずは、子どもが食べることを嫌いになってしまわないよう、「食事は楽しいこと」と思ってもらうようにしましょう。

食事をする時には、「おいしいね」「いっぱい食べたね」などと、積極的に声かけをして、一緒に食事を楽しむようにしてください。食べることを喜んでいる親の顔を見ていれば、子どもも自然と食事が楽しくなっていくはずです。

親が無表情でただひたすらに、子どもの口に食べものを運んでも、栄養はとれるかもしれませんが、「おいしい」と感じられず、食べることを楽しめません。

椅子に座ってゆっくり食べることも大切ですね。歩きながらや、寝転がりながら食べてしまうと、味に集中できず、食べ物の味を感じとることができません。

椅子で落ち着いて食べられない場合は、食事を一品ずつ出したり、ママが座る場所を変えたりして、飽きさせない工夫をしましょう。

子どもが食事に飽きてしまったら、好きな食べ物を一口分ずつ追加してあげることも効果があります。  写真:アフロ

まずはいろいろな味にチャレンジしよう!

離乳期は、比較的なんでも食べてくれる時期のため、味覚形成のおける絶好の機会です。多種多様な食べ物にどんどんチャレンジして、豊かな食体験をさせてあげましょう。

これから迎える幼児期は、好き嫌いや偏食が出てきたりすることもあり、すこし大変な時期が待ち受けています。そう考えると、離乳期は親にとっても楽しい時期です。

もちろん、時には子どもが嫌がって食べ物を吐き出してしまうこともありますが、「吐き出しても大丈夫」と気軽に構えることが大切。ぜひ、 “親も楽しむ!”という気持ちで、離乳期を過ごしてみてください。

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離乳期にさまざまな味を経験し、味覚の幅を広げることが、繊細な味覚をつくるポイントであることがわかりましたね。次回は、幼児期における食事づくりのコツを紹介していきます。

取材・文:阿部雅美

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とけいじ ちえ

とけいじ 千絵

Chie Tokeiji
フードアナリスト

「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰する食のスペシャリスト。企業のコンサル業務、セミナー講師、給食監修をはじめ、各種メディアで活躍中。離乳期・幼児期の子どもを持つ親向けの食育講座「子どもの味覚の育て方」は、予約が取れないほどの人気を博している。

「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰する食のスペシャリスト。企業のコンサル業務、セミナー講師、給食監修をはじめ、各種メディアで活躍中。離乳期・幼児期の子どもを持つ親向けの食育講座「子どもの味覚の育て方」は、予約が取れないほどの人気を博している。