女子小中学生チームがVEX世界大会に出場 「ロボットをゼロから作り上げる面白さ」とは?

注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #3 2023年VEX世界大会出場の小中学生女子チームインタビュー

世界大会では英語でのコミュニケーションに苦戦

その後、2022年5月にアメリカのダラスで行われた『VEX Robotics World Championship 2022』に、市川さんはDOHSCHOOLのチーム『Milky way』として参加しました。

──世界大会は、どのような印象でしたか?

市川さん:ハワイの大会は、旅行のようにただ楽しんでいましたが、世界大会はみんなの真剣度や上を目指す情熱がものすごくて。圧倒されましたね。

「オープニングセレモニー(開会式)では、浴衣を着て参加しました。オリンピックのように国旗を掲げて歩いたのですが、すごく楽しくて興奮しました」(市川さん)。  写真提供:市川晋也
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市川さん:いろいろな事情があって、私が一人で『Milky way』のメンバーとして渡米し、現地でハワイの方と合流、チームを組んで出場したのですが、やはり英語でのコミュニケーションが大変でした。

市川さんはハワイからの参加者とFacebookを通じて知り合い、チームを組んで出場しました。  写真提供:市川晋也

市川さん:このときの世界大会を経験して、「もっと上を目指したい!」という気持ちが強くなりました。そして「また、チームを組んで(世界大会に)行きたいな」という想いもうまれました。大会後、『Milky way』は解散したので、前島さんと小林さんのチーム『Laurels』に、私と土屋莉乃さんが参加しました。

前島さん:2022年の世界大会は行けなかったので、「2023年こそは!」という気持ちを持っていました。アジアや欧米から集まってきた人たちが、優勝を目指して戦うという大会の環境に憧れましたし、大会を通じて、海外の文化に触れることができるのもいいなと思いました。

「世界大会はVEXの大会の中でも特に大きな大会なので、いろいろなロボットが見られるだろうし、世界の人たちと切磋琢磨したいなと思って目指していました」(小林さん)。

世界大会でのチームプレイと準備の大変さ

──2023年の5月の世界大会に向けて、どんな準備をしたのでしょう?

市川さん:2023年の2月に行われた国内予選「Japan Nationals」で、世界大会への出場権を得て、そこからすぐに世界大会への準備に入りました。私はロボットビルダー、そしてメインドライバーを務めました。

前島さん:私はロボットデザインと、サブドライバー担当です。会場でのインタビューで車検係から聞かれることの予想を立て、その質問に英語で答えるための原稿を書いたりもしました。

小林さん:私はプログラマーとして、大会用ロボットのプログラムを書き、サブドライバーを兼任しました。そして土屋さんがサブドライバー、サポートメンバーとして参加しました。

2023年の2月に行われた国内予選『Japan Nationals』での『Laurels』の様子。  写真提供:市川晋也
『Japan Nationals』では、『Laurels』はデザインアワードを受賞した。  写真提供:市川晋也

──世界大会に向けての準備は、何が大変でしたか?

市川さん:『Japan Nationals』でロボットの課題や改良点が見つかったので、約3ヵ月でロボットを作り直すのが大変でした。また国内予選もですが、世界大会も一試合につきドライバーが2人しか出られません。誰がどういう順番で出るのか、作戦にも悩みました。

前島さん:作戦を決めるための話し合いは長い時間がかかるし、ときには意見がぶつかってしまうこともあって、大変です。気持ちが苦しくなることもありました。

小林さん:私はロボットの作り直しや作戦会議が重なって、プログラミングをする時間が少なくなってしまったのが大変でしたね。

──2023年の世界大会に行ってみてどうでしたか?

市川さん:DOHSCHOOLからIQのカテゴリで3チーム、世界大会に行けたんです。ギリギリまで頑張っていたチーム全員で、一緒に行けたのが本当に嬉しかったです!

前島さん:ダラスの世界大会では、さまざまな国のチームが参加していて、会場では英語だったり中国語だったりといろいろな言葉が聞こえてきて、ちょっと頭がパニックにもなりました。

小林さん:私は「ようやく世界大会に来られた」という、嬉しい気持ちが大きかったですね。世界大会はやはり規模が大きく、少し緊張しました。

世界大会のスケールや華やかさに圧倒された、という3人。  写真提供:REC財団
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