赤ちゃんの「はじめの一歩」に4ヵ国同時密着 子育ての多様性と共通点
#4 子どもの想像力を理解するために大人が観たい映画 世界各国の赤ちゃんの成長ドキュメンタリー『ベイビーズ ―いのちのちから―』
2021.08.05
映画評論家:前田 有一
ポイント3 幅広い体験が想像力や知性の源になる
「子どもの想像力はどうやって育まれるのかといえば、幅広い経験をしたかどうかがポイントのひとつだと思うんです。
たとえば、アメリカのハティちゃんはよく飼い猫と戯れているのですが、本人にとっては何気ない遊びでも、猫を抱けばその重さを実感できます。それがひいては、重量の概念すなわち算数の基礎を学ぶことにつながるかもしれません。
ナミビアのポニジャオちゃんにも同じことが言えます。たとえば、地面に落ちた骨片を拾い集めたり、飛んでいるハエを追い回したりする中で学んでいるかもしれないわけです。
つまり、環境が180度異なっていたとしても、共通するのは具体的で幅広い体験こそが想像力や知性の源になるということ。実体験をともなって育まれた想像力は、多様性への理解にもつながるはずです。
この映画では、いろいろな環境下で、さまざまな経験をする赤ちゃんの様子や表情がわかります。どのような経験をすると子どもたちはいきいきと輝くのか、手に取るように分かるので、育児の参考になると思います」
子どもの想像力を広げるためには、具体的な経験がとても大切。これはそんなことに気づかせてくれるドキュメンタリー映画です。
各国の赤ちゃんの姿は、一度立ち止まって育児のありようを考えるきっかけになるかもしれません。
取材・文 末吉陽子
前田 有一
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。 【主な著書】 『それが映画をダメにする』/『どうしてそれではダメなのか。~日米中の映画と映画ビジネス分析で、見える世界が変わる』/共に玄光社
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。 【主な著書】 『それが映画をダメにする』/『どうしてそれではダメなのか。~日米中の映画と映画ビジネス分析で、見える世界が変わる』/共に玄光社