まさかの「鉛筆」誕生ストーリー 鉛筆はナポレオンのムチャぶりから生まれた!

ざんねん? びっくり! な文房具のひみつ事典(1:鉛筆) 文房具ライター・ヨシムラマリ

文房具ライター:ヨシムラ マリ

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私たちがふだんつかっている、鉛筆や消しゴムなどの文房具。いろいろな文房具の誕生したときには、「どうしてこうなった!?」と思ってしまう“ざんねん”なものや、いま見ても「すごいなあ!」と“びっくり”しちゃうものまでさまざま。そんなおもしろくてためになる、文房具の世界をのぞいてみましょう。

鉛筆ができる前、人びとは天然の石である黒鉛のかたまりを切りわけて、筆記用具にしていました。

イラスト:ヨシムラマリ

しかし、質のいい黒鉛はイギリスのボローデール地方でしかとれませんでした。

1973年にイギリスとフランスの間で戦争が始まると、敵であるフランスには黒鉛が入ってこなくなります。

こまったフランスの皇帝ナポレオンは、戦争担当大臣のラザール・カルノーに

「フランス産の黒鉛芯を作って!」

と命令。

これは「黒鉛のカスや、質が悪いヨーロッパ産の黒鉛でなんとかしろ!」というムチャぶりです。

そこでカルノーが頼ったのが発明家・画家のニコラ・ジャック・コンテ。

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コンテは黒鉛の切れはしやカス、まざりものが多く質の悪い黒鉛を粉にし、まざりものをとりのぞいてから、粘土と水を混ぜて型に入れて焼く方法を思いつきました。

これは、お茶わんなどの陶磁器に近い作り方です。

この方法だと、黒鉛と粘土の割合を変えて、いろんな濃さの芯が作れます。

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当時39歳のコンテが、命令されてからたった8日で生み出したこの芯の作り方は、今の鉛筆でもほとんど変わっていません。

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ヨシムラ マリ

YOSHIMURA Mari
文房具ライター

ライター/イラストレーター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身。子どもの頃から絵を描くのが好きで、身近な画材である紙やペンをきっかけに文房具にハマる。主な守備範囲はノートとペンと事務用品。 文具・オフィス用品メーカー大手の元社員で、現在は脱サラしてフリーランスとして活動中。著書に『ざんねん? びっくり! 文房具のひみつ事典』(講談社)、『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)がある。

ライター/イラストレーター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身。子どもの頃から絵を描くのが好きで、身近な画材である紙やペンをきっかけに文房具にハマる。主な守備範囲はノートとペンと事務用品。 文具・オフィス用品メーカー大手の元社員で、現在は脱サラしてフリーランスとして活動中。著書に『ざんねん? びっくり! 文房具のひみつ事典』(講談社)、『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)がある。