VEXは「子どもの教育の理想形」と校長も後押し 八王子市立宮上小学校のクラブ活動に密着取材
注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #4 八王子市『みやかみVEXクラブ』インタビュー
2024.02.03
アメリカ発のSTEM教材「VEXロボティクス(以下、VEX)」。
1~3回目では、VEXについてや、世界大会に出場した女子チーム『Laurels(ローレルズ)』のメンバーにその魅力を語っていただきました。
最終回となる4回目は、八王子市で小学生の子どもたちとその保護者によって運営されているVEXのガレージチーム『みやかみVEXクラブ』の活動についてご紹介します。
(全4回の4回目。1回目を読む。2回目を読む。3回目を読む)
目次
国内のVEXシーンを牽引する日本代表チームが八王子に
『みやかみVEXクラブ』は2021年9月に有志により発足。八王子市立宮上小学校の空き教室を一室借りて、毎週水曜の放課後に約3時間、活動を行っています。現在(2023年12月現在)の部員は小学5年生が4名、小学6年生が4名の計8名です。
そもそもの始まりは、2019年。お父さんを通じてVEXを知った宮上小学校5年生(当時)の住友和樹さんが、幼馴染みの尾花勇我さんを誘い、自宅の一室の六畳間にVEXの専用スペースを作り、ロボット製作を始めたことからでした。
この2人のガレージチーム『Beast Hunter』は、2020年から4年連続で日本代表チームとなり、世界大会に出場。国内のVEXシーンを牽引する存在となります。
校長や教員からもVEXを体験させたいとの声が
目覚ましい活躍を見せる二人の活動に関心をもった宮上小学校の伊藤慎敬校長、そして当時の担任の横倉圭先生から、ほかの子どもたちにも、VEXを体験させたい」という要望が。そこで2020年、宮上小学校内の教員に向けて、次いで生徒たちにVEXロボットプログラミング体験を実施しました。
これを通じ、「宮上小学校をベースに、次世代の子どもたちが『Beast Hunter』のように、世界に挑戦できる環境を整えたい」という声が多くあがりました。
こうした声を受け、2021年に『みやかみVEXクラブ』の部員募集を兼ねたVEXプログラミング体験会を開催し、生徒・保護者への説明会を実施。9月から小学4年生6名、小学5年生2名とその保護者で、VEXの活動をスタートさせました。
クラブ活動は毎週水曜日の放課後
毎週水曜の放課後、授業を終えた子どもたちは続々と教室へ集まります。教室内にはVEX IQのキットとフィールドが置かれていて、子どもたちはそれぞれのチームに分かれて製作中のロボットを囲み、組み立てたり、実際に動かして動きを検証したりします。
2023‐2024年度のコンペティションに向けて、『みやかみVEXクラブ』では、小学5年生2名+小学6年生2名という構成で、2チーム組んでいます。
このチーム分けも、「自分たちがどうやりたいか」を子どもたち自身で考えて相談して決めているといいます。今は2024年3月の『Japan Nationals』、そして5月にアメリカ・ダラスで行われる世界大会に向けて、準備を進めています。
『みやかみVEXクラブ』が初めてスクリメージ(練習試合)に参加したのは2021年11月。それから約4ヵ月後の2022年3月には、クラブの1チームがZoomによる世界大会に出場を果たし、「スポーツマンシップアワード」を受賞しました。
そして2023年3月、『みやかみVEXクラブ』から2チームが小学生の部の日本代表として選出されるなど、短期間で日本の強豪チームへと成長を遂げたのです。