
東京都発・約3300の保育園・幼稚園が実践 「探究活動」の驚くべき中身 「うちの子」も夢中に?
乳幼児からの探究 東京都の実践 #1 幼児の探究活動とは (2/3) 1ページ目に戻る
2026.03.27
探究活動とは? 子どもの「知りたい」を楽しむプロセス
──まずは、東京都が「乳幼児期の探究活動」に着目した経緯を教えてください。
東京都・鳥井課長(以下鳥井):東京都は、「すべての子どもの生涯発達における土台形成を支援する」という観点から、乳幼児期の「非認知能力」の育ちを応援したいと考えてきました。専門的な知見を持つCEDEPに相談したところ、「探究活動の実践」を提案いただきました。
東大CEDEP浅井先生(以下浅井):探究とは、「なぜ」「どうして」という疑問に答えを与えるのではなく、子どもも大人も一緒に問いを深め、知識を協働で構築するプロセスのことです。
定義だけでは想像しにくいかもしれませんが、子どもたちは実際に探究活動を始めると、それぞれが主人公になって好奇心をふくらませ、お互いの発見や考えを聴き合いながら、たくさんの実験や挑戦をしていきます。そうした経験をとおして、自分自身で考える力や自尊心、協同性などがトータルに育っていくのです。
──探究活動が子どもの非認知能力を育む、ということですか?
浅井:そうですね。ただ、あくまで「結果として非認知能力が育つ」という意味です。子どもはまるごとの存在ですので、非認知能力だけを育もうとするのではなく、夢中になれる意味のある経験をつくることを大切に考えています。
──問いや疑問を深めていく探究活動は学校で行われるイメージですが、幼稚園や保育園ではどのように取り組んでいるのでしょうか。
鳥井:「とうきょう すくわくプログラム」における探究内容は、実践する園や子どもたちによって変わります。活動の流れとしては、次のように5つのステップに沿って行われます。
浅井:具体例があると、想像しやすいかもしれません。ある幼稚園は、園庭の真ん中に大きな柿の木があり、子どもたちが日ごろから親しんでいました。そこで、5歳児クラスにて、①「柿の木」をテーマに探究することにしました。
活動を始める前に、子どもたちの想像や考えが広がるための②「問い」を用意します。「柿の木は生きている?」「何歳だと思う?」などです。
問いを投げかけられた子どもたちは、柿の木を触ったり、抱きついたりしながらしばらく考えたあと、「柿の木は生きているよ! 命があるから、たべもの(柿の実)ができるんだ」「ざらざらしているから、おばあちゃんかな」などと、次々に自分の考えを口にします。
その後、各々が柿の木の絵を描きました。「木はまっすぐに見えるけど、ぐねぐねしている」と話しながら、実際に曲がった枝を描いた子、「木には赤ちゃんがいる。風が吹くと赤ちゃんは落ちるの」と、柿の実も一緒に描いた子。子どもたちの気づきや発見が、たくさん表現されていきます(ここまでの一連の活動が③の「環境をデザインする」、④の実践に該当)。
活動のあと、保育者は⑤振り返りを行います。それらを材料に、次の展開を考えていく。これを繰り返していくのが探究活動です。柿の木の探究では、子どもたちに根っこを描いてみることを提案しました。
鳥井:子どもたちの言葉や絵は、実際に五感でとらえたことをとても豊かに表していますよね。柿の木をよく観察していることが伝わってきます。
浅井:探究活動は、こうした「プロセスそのもの」を重視しています。活動の中で絵を描いていますが、「作品」を残すためというよりも、考えたことや感じたことを表現するための時間です。子どもたちと先生が一緒に対象に向き合い、気持ちの揺れ動きを感じたり、周囲とアイデアを交換したりすることを楽しみ、自分なりの世界を創って深めていくこと自体に意味があるのです。

































