コロナ禍で長引くおうち時間をどう楽しく過ごすか。その選択肢として、「オンラインツアー」や「オンライン工場見学」が注目されつつあります。
そこで沖縄県の離島、座間味島を巡るオンラインのプライベートツアーに参加。前編(#1)では、古座間味ビーチ周辺をガイドと一緒に散策し、透明度の高い海や白い砂浜、偶然見つけた海辺の生き物や昆虫に感動しきりでした。
後編では、プライベートツアーだからこそ実現できる“リクエストし放題”に挑戦。オンラインではわからない感触やにおいについてもくわしく伺い、座間味島の奥深い魅力に迫ります。
雑談から知る 沖縄県人のしりとりは終わらない!?
ビーチから展望台へ移動するため、ガイドの大坪弘和さんが車に乗り込むと、約10分程度音声のみの設定になりました。車の振動による動画の揺れへの配慮です。
普段から車での移動があるツアーの場合は、このような配慮を心がけているといいます。音声でのやり取りは可能なので、座間味島について気になることを聞いたり、ツアー内容を相談したりするのもいいでしょう。
ちなみに私は、沖縄の方言について尋ねた流れで、大坪さんから「沖縄ではしりとりが終わらない」という話を聞きました。
「ンジャナバー(ニガナという強烈な苦みのある野菜名)」、「ンビ(お菓子のグミ)」等、「ン」で始まる方言がいくつもあるため、最後に「ン」が出てもずっと続けられるとのこと。それを知らない子どもが大坪さんとしりとりをしたら、「えー!」とびっくりしつつも楽しんでくれるかもしれませんね。
そんな話をしていると、車がある場所で止まりました。
「さて、あれは何の木でしょうか?」(大坪さん)
正解は、パパイヤ。
「パパイヤには、メスとオスがあるのは知っていますか? 実がなっているのがメスの木で、細長くて白い花が咲いている木がオスです」(大坪さん)
沖縄では、完熟のパパイヤをフルーツとしても食べますが、熟す前の青い物もよく食べるそうで、ツナなどと炒めるのが定番。
このように公道にある野生のパパイヤは、“みんなのもの”なので、自由に食べていいのだといいます。
オンラインの壁を越えて伝わる 感触とにおい
さて、目的地周辺に着いて車を降りると、ここから展望台までは軽い山道が続きます。
まず大坪さんが見せてくれたのは、これです。
どんどん山道を進むと、今度はある植物が群生している場所で足を止めます。
「食虫植物のコモウセンゴケです。先端に丸い点々がついているのが分かりますか?
点々が粘液になっているので、アリのような小さい虫がくっつくと逃げられなくなってしまうんです。そしてそのまま溶かされて、植物の体内に栄養として取り込まれます」(大坪さん)
ここで好奇心がムクムク湧(わ)きます。「傷ついたりかぶれたりすることがないなら、その先端に触ってもらえませんか?」とリクエスト。触ってくれた大坪さんの感想は、
「指先に何とな~く、くっつくなというくらいの粘着力です。ハエくらいの虫では逃げられると思いますね」(大坪さん)
子どもが興味を示したなら、親がグロテスクすぎない画像や動画を準備し、食虫植物の生態について調べてみるのも面白そうです。
山道には、ほかにも興味深い植物があります。
「カレーを作るときに、僕はこれを香りづけに入れるんですよ」(大坪さん)
そう言って、見せてくれたのはシバニッケイの葉。
「ニッケイは、漢字で書くと『肉桂』。ニッキあめを作る材料の『ニッキ』という香辛料の仲間で、この葉もいい香りがするんです」(大坪さん)
大坪さんが体感した感触やにおいを、なじみのある虫や香りを例にあげて伝えてくれるので、こちらも具体的にイメージできます。
「触る」「においをかぐ」という、オンライン上では得られない楽しみが、少しクリアになった気がしました。