動物たちから学ぶ「多様性」
大人でも「多様性が大事」と言われても、難しいことが多々ありますよね。頭ではわかっていても、自分と異なる意見を受け入れられなかったり、自分に近い考えの方とばかり付き合ってしまったり……。
私たちが把握している以上に、実にいろんな種類の動物がこの地球上に暮らしています。「動物園は人間世界の縮小された世界」であり、SDGsを全力で感じるにはちょうどよい場所ではあると思います。
僕たちは動物たちの個性を尊重しつつ、動物たちが「何が幸せなのか?」ということを常に探し求めながら日々、飼育をしています。
パンダの食べる竹の話がわかりやすいですが、動物たちから求められた欲求を満たすことで環境に負荷をかけることもあります。それでも、動物たちの幸せのためにやってることはたくさんあります。
水族館の水温維持のためにたくさんの電力を使いますし、イルカにもエサとしてたくさんの魚、主にサバを使っていますが、その質が悪ければロスに繋がってしまう。
SDGs的に「動物はかわいいだけじゃない」ということをお子様たちに伝えていくのに、動物園ほど適材はない気がします。
最後に、イベントを通じてお子様たちから寄せられたイルカへの疑問に答えていきたいと思います。
子どもの疑問にイルカトレーナーが答えます
質問:どうやってオスとメスを見分けるんですか?
答え:イルカのお腹にある溝を見ます。生殖孔の両脇に乳裂があるのはメスの証。
質問:イルカはどれだけ速く泳げるの?
答え:人よりも速く、時速約40~50キロと車並みのスピードで泳ぐことができます。大きな尾びれを縦に振るおかげです。
質問:イルカの好きな食べ物ってなんですか?
答え:主食は魚です。冷凍したサバを朝に解凍してあげています。イルカも人間同様個性豊かで、食の好みもそれぞれ。イカが大好きな子もいます。ごはんよりも遊んで欲しがるイルカもいます。
質問:どうしてイルカは人間に触らせてくれるの?
答え:生まれて間もないころはお母さんイルカがしっかり守ってますし、用心して人間に触らせてくれません。しかし、長い間しっかり観察をしてコミュニケーションをとっていくと、イルカとの絆が生まれて触らせてくれるようになります。
質問:歯は何本ぐらい生えていますか?
答え:バンドウイルカだと80~100本程度です。小さな魚をイルカたちは食べているので、しっかりとした歯がないとうまく捕まえることができないんだ。 噛むためというよりは捕まえるため。1日12キロぐらいはぺろりと食べてしまうよ。
質問:どうやってパフォーマンスを覚えていくのですか?
答え:最初は笛を吹いてエサをあげます。棒の先に触れるとエサがもらえるというトレーニングを応用して、パフォーマンスを教えていっています。
子どもたちの動物たちへの好奇心は尽きることなく、次々と質問が寄せられました。
構成/奈良岡周
武藤大輔(むとう・だいすけ)
アドベンチャーワールド 飼育部マリン課
東海大学海洋学部卒業。西表島で1年間卒業研究をする中で、生物の力強さや自然の美しさに触れ、飼育関係の仕事を目指す。アドベンチャーワールド(和歌山)を運営する株式会社アワーズに入社。2019年、「One Young World サミット」へ日本代表として参加。現在はイルカやクジラの飼育業務を担当。
奈良岡 周
編集者&ライター。出版社にて雑誌(女性ファッション誌、情報誌、週刊誌)、書籍(実用、人文、エンタメ、文芸、漫画など)の編集を経て現在はウェブメディアを中心に活動中。和事、神社仏閣、源泉かけ流しの温泉、ワイン(ゆるく勉強中)、くらげが好き。
編集者&ライター。出版社にて雑誌(女性ファッション誌、情報誌、週刊誌)、書籍(実用、人文、エンタメ、文芸、漫画など)の編集を経て現在はウェブメディアを中心に活動中。和事、神社仏閣、源泉かけ流しの温泉、ワイン(ゆるく勉強中)、くらげが好き。