子どものケガ・病気 子育てを助ける医療費助成〜予防接種をFPが解説

子どものケガや入院の助成が知りたい!子育てを支える制度と手当を確認しよう#2

予防接種(ワクチン接種)も見逃せない

予防接種は、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために予防接種法に基づいて行われています。

公費でまかなわれている定期接種には水痘(すいとう/水ぼうそう)や日本脳炎など10種類があるほか、おたふくかぜワクチンやインフルエンザワクチンのように地域によって一部負担あるいは全額負担になっている任意接種があります。

いずれにしても「子どもの健全な成長」という意味では、有効に活用したい医療制度です。

ただし、ワクチン接種には接種推奨時期があるので注意が必要です。子どもの成長だけでなく、感染症にかかりやすい年齢や、かかった場合に重症化しやすい年齢などを考慮して適切な期間に接種スケジュールが組まれているので、子どもの体調を踏まえながら受けていく必要があります。

また、定期接種を打ち忘れた場合は、任意接種扱いとなり自費での接種になります。定期接種のワクチンは子ども自身の予防だけでなく、周囲の人への影響も考えて国が時期を推奨しているので、忘れずに受けていくことが大切です。

「現在は、日本から海外へ渡航する機会も増えてきています。それを踏まえると、親の仕事の関係で海外に移り住む子どもだけでなく、留学する子どもも出てくるはずです。

自費接種とはなりますが、子どもが留学などで長期で海外に行く場合は、髄膜炎菌ワクチンの接種を勧めている医師もいます。

アメリカの大学に留学する場合は、髄膜炎菌ワクチンの接種が義務づけられていることもあるので、子どもが海外で活躍することを視野に入れているなら知っておくといいでしょう。

日本国内でも高校や大学進学に伴って寮で集団生活する場合は、ワクチン接種の検討を勧める声もあるので、子どものこれからの生活に合わせて任意接種についても気を配っておくことが大切です」(新井先生)

定期接種を再開しているワクチンもある

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、2022年4月から順次接種を再開している子宮頸がんの予防接種です。最近ではテレビやWEBでも予防啓発キャンペーンが展開されているので、映像を見た方もいるでしょう。

「親世代の中には、このワクチン名に聞き覚えがある方がいるかもしれません。それというのも2013年4月に一度、定期接種化されたからです。しかし、接種者から副反応の訴えが相次いだために、2013年6月から積極的勧奨が一時的に差し控えられていました。

それが2021年11月、厚生労働省によると『専門家の評価によりHPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当』とされ、安全性については特段の懸念が認められないとのことで、原則として2022年4月からワクチンが再開されています」(新井先生)

HPVワクチンは定期接種となり、公費(無料)にて受けられます。  イメージ写真:アフロ

対象は小学校6年~高校1年に相当する女の子です。HPVワクチンは数種類あり、そのうちサーバリックスとガーダシルという2種類が無料で接種できます。接種回数は合計3回で、種類によってその接種間隔が違います。どちらを接種するかは医療機関へ相談するといいでしょう。

また、2025年3月まではキャッチアップ接種も行われています。平成9年度~平成17年度生まれ(1997年4月2日~2006年4月1日生まれ)の女性で、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢間に接種を逃した方、かつ過去に合計3回打っていない方がその対象です。キャッチアップの接種方法は自治体からお知らせが届いているはずなので、そちらを確認してください。

以前に接種中止がされていると、注射を打つことに後ろ向きになりますが、HPVワクチンは定期接種ではあるものの、絶対に受けなければいけないものではありません。

厚生労働省も「接種を望まない方に接種を強制することはありません」とし、「接種対象者やその保護者の同意なく、接種が行われることはありません」ともアナウンスしています。

該当の年齢に達している女のお子さんやこれから該当年齢になるお子さんがいる場合は、HPVワクチンの定期接種があるということだけでも親子で知っておくことが大切でしょう。

厚生労働省によると、ワクチン接種後になんらかの症状が出たという報告があったのは、10,000人あたり10人で、重篤な状態と判断されたのは10,000人あたり6人といわれています。

HPVワクチンを打っても20歳を過ぎたら定期的な子宮頸がん検診は必要ですが、子宮頸がんを起こしやすい特定の型の感染を防ぐ率は高まり、子どもの健康維持の助けになってくれるとも発信しています。


医療費助成やそのほかの医療にまつわる支援も、児童手当とは別に子どもを育てていく上では重要です。それらはさまざまな種類があるだけでなく自治体により内容が違うため、育児で忙しい最中に把握するのが面倒と思う方も少なからずいます。しかし、改正された内容も含めて、改めて向き合ってみることが大切です。

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新井 智美(あらい ともみ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員。福岡大学法学部法律学科卒業。情報通信会社にて会社員をしつつ、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。その後、世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級も取得する。現在は、個人の資産運用から法人の相談まで、幅広くお金の悩みや提案・設計を行っている。


取材・文/梶原知恵

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