いつもの顔・におい・肌触りを近くに
赤ちゃんは感度が高い一面を持ち合わせています。非常事態を鋭く察知すると、ふだんよりさらに泣き声は大きくなり、親も気が気ではありません。
「パパママも不安だと思いますが、その表情が赤ちゃんを不安にさせている原因かもしれません。できるだけ日常に近づけて、安心感を与えてあげることが第一。
いつものように抱っこして体温を分かち合い、スキンシップを心がけてください」(井上さん)
避難所などに移動しなければならないとき、食品以外はどんなものを持っていけばいいでしょう?
「遊び相手のぬいぐるみやおもちゃは、何かひとつでもあると安心材料になります。また、使い慣れたタオルや毛布など。いつもの肌触りがあるだけで、ホッと和みます。
バスタオルは敷いたりかけたり、包んだり、おくるみとしても使えて便利ですよ」(井上さん)
食べ物以外の備蓄や地域情報も大切
赤ちゃんの暮らしには、食べ物以外にも必需品がありますよね。
「おむつ、お尻ふき、ティッシュ、ウエットティッシュ、ガーゼ、コットンなど。ふだん使い慣れているものを日常備蓄として多めに用意してください。絆創膏などもあると安心です。
また、すぐに温まる使い捨てカイロは、体を温めるだけでなくミルクや離乳食を温めることができます。ポリ袋は袋としてだけでなく袋調理としても使えますし、ラップは包むだけでなく紐にもなるので用意しておきましょう。
備蓄品はリュック(避難するときは両手が空いた状態がよい)にまとめておき、玄関近くの収納棚やリビングなどすぐに持ち出せるところへ保管します」(井上さん)
避難場所は住まいの近くに設置されることがほとんど。地域について事前に把握しておくことも大切です。
「日本栄養士会は東日本大震災をきっかけに、大規模災害時に乳児用ミルクや離乳食の提供などを行う『特殊栄養食品ステーション』を被災地に設置するようになりました。
『災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック』もHPからダウンロードできるので、備蓄品と一緒にリュック入れておいてもよいですね。
※『災害時に乳幼児を守るための栄養ハンドブック』
また、自治体によっては、妊産婦や赤ちゃん向けの避難所の設置もあるので、お住まいの地域にあるか事前に調べておくと安心ですよ」(井上さん)
◆ ◆ ◆ ◆
備蓄というと特別な事態のものに感じますが、ふだんの生活にとり入れることで親も赤ちゃんにも非常時への対応力がついてきます。
いつ、どこで起こるかわからない自然災害。少しでも安心材料をつくっておくことが、いざという時に危機を乗り切る力になります。
※井上 真里恵さんに教わる子どものための「防災と備蓄」は全2回。
後編の幼児編は2022年3月11日公開予定です(公開日までリンク無効)
【防災企画】後編「子どもの防災食」をローリングストック法で用意しよう
須永 久美
編集ライター・料理研究家。食物学を学び、飲料の研究開発や冊子編集等を経験したのちフリーランスの編集ライターに。2006年より料理家としても活動開始。神奈川県湯河原町の自宅キッチンで旬の魚介や野菜に刺激されながら、食いしん坊ならではの視点で楽しくお財布も納得の簡単レシピを考案している。
編集ライター・料理研究家。食物学を学び、飲料の研究開発や冊子編集等を経験したのちフリーランスの編集ライターに。2006年より料理家としても活動開始。神奈川県湯河原町の自宅キッチンで旬の魚介や野菜に刺激されながら、食いしん坊ならではの視点で楽しくお財布も納得の簡単レシピを考案している。
井上 真里恵
料理研究家/井上食生活デザイン主宰。雑誌、広告、企業へのレシピ提案、料理製作など多様な分野で活動。東京都防災部発行のパンフレット「『日常備蓄』で災害に備えよう」では防災レシピを提案。一児の母として家庭にある備蓄品を使った料理やおやつを伝えている。 marie.courantmarin inoue.fooddesign
料理研究家/井上食生活デザイン主宰。雑誌、広告、企業へのレシピ提案、料理製作など多様な分野で活動。東京都防災部発行のパンフレット「『日常備蓄』で災害に備えよう」では防災レシピを提案。一児の母として家庭にある備蓄品を使った料理やおやつを伝えている。 marie.courantmarin inoue.fooddesign