子どもにクルミアレルギー急増! NG食材は食べてはいけないの? 専門医に聞く
アレルギー専門医・岡本光宏先生「子どもの食物アレルギー最新事情」#3〜アレルギーのある食材との向き合い方〜
2022.07.03
兵庫県立丹波医療センター小児科医長・アレルギー専門医:岡本 光宏
全3回に渡った岡本光宏先生へのインタビュー。最後に小児アレルギー外来で、多くのアレルギーの子どもと接する岡本先生から、メッセージがあります。
「これまでお話しした通り、ナッツ類を除いて血液検査だけで食物アレルギーの診断はできません。明確なエピソードがない状況で、お子さんがアレルギーかどうかを知るための血液検査はしなくて大丈夫です。むしろそのようなことは減ってほしいと思っています。
そのためには、食物アレルギーの予防や診断方法など、食物アレルギーの確定に至るまでの情報をぜひみなさんに知ってもらいたいと思っています。早い時期からさまざまな食材を少しずつ摂取することが、子どもの食物アレルギーの予防につながることを改めて伝えたいのです」(岡本先生)
親が「うちの子は食物アレルギーのようだから念のために食べさせない」と自己判断し、特定の食材を与えないことはもっとも避けるべきことだと岡本先生は言います。
そうならないために、親が頭に入れておくべき3つのポイントをまとめました。
【1】予防のためには生後6ヵ月の離乳食初期から少しずつ与えて様子をみる
アレルギーのリスクがありそうな食材でも、自己判断で遅らせることなく、下記や自治体等で配布されるガイド等(※2)を参考に、様子をみながら与えてみる。
※2=授乳・離乳の支援ガイド(厚生労働省)
・アレルギーのリスクがありそうな食材は、医療機関を受診できる平日の昼間に与える。
・<卵>固ゆで卵の卵黄を1/8個程度(約2g)から始める。1/8個程度(約2g)が食べられたら、次回は倍量を与え、様子をみながら与える量を2倍ずつ増やしていく。卵黄1個を食べられたら、ゆで卵の卵白1/32個程度(約1g)に挑戦する。引き続き2倍ずつ増やし、ゆで卵1個を目指す。ゆで卵1個を食べられたら、薄焼き卵や卵焼きに挑戦する。量が多くて食べられない場合は、食べられる範囲まででよい。
・<小麦>パンよりも量を調整しやすいうどんから与えるとよい。まずはうどんを2cm(約0.5g)から始め、次回は倍量にするなど、様子をみながら与える量を2倍ずつ増やしていく。うどんを32gまで食べられるようになったら、その後は食パン1/8枚に挑戦し、うどんと同様に与える量を2倍ずつ増やしていく。量が多くて食べられない場合は、食べられる範囲まででよい。
・<そば>小麦が混ざっているものもあるため、先に小麦を食べさせてアレルギーの有無を確認してからそばを与える
・<ピーナッツ>窒息や肺炎の恐れがあるため、スムースタイプのピーナッツバターを与える
【2】食物アレルギーのような症状が疑われたら専門医を受診する
【3】食物アレルギーが明らかになったら、その食材との向き合い方(摂取の有無、摂取量、進め方)などを専門医と相談しながら決める
この3点を頭におきつつ、我が子を観察して、食物アレルギーと慎重に向き合っていきましょう。
岡本光宏(おかもと・みつひろ)
兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。
※アレルギー専門医岡本光宏医師「子どもの食物アレルギー最新事情」は全3回です。
#2 0歳児の食物アレルギー予防は「生後6ヵ月から少しずつ摂取」を専門医が推奨
#1 子どもが食物アレルギー? 専門医が教える「受診の目安」と「意外な落し穴」
畑 菜穂子
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
岡本 光宏
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/