子どものゲーム課金トラブル 「4つの防止策」を教育家が解説 

教育家・石田勝紀さんに聞く、子どもの「ゲーム課金トラブル」の対処法 #2 課金トラブルの対処法と防止策

教育家:石田 勝紀

教育家・石田勝紀さん。「子どもが高額課金をしているのがわかっても怒らない」と言いますが、その理由とは?

教育家・石田勝紀さんに聞く、子どもの「ゲーム課金トラブル」。

1回目では、「国民生活センター」に実際に寄せられた事例を紹介しながら、トラブルを防ぐために親にできることを教えていただきました。

2回目は、実際に子どもが、高額課金をしてしまったときの対処法と実務的な防止策についてご紹介します。


(全3回の2回目。1回目を読む)

石田勝紀(いしだ・かつのり)
1968年、横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。これまで5万人以上の子どもに学習を指導。指導内容は知識の詰め込みではなく、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱にすることで学力だけでなく、自己肯定感も引き上げる独自のメソッドを確立。一般社団法人「教育デザインラボ」代表理事。

頭ごなしに怒るのではなく冷静に伝える

──もし、高額課金が発覚した場合、子どもにはどのような声かけをすれば良いのでしょうか。

石田勝紀さん(以下、石田さん):1回目でもお話ししましたが、最低限のルールを決めてからゲームを与えるということが大前提なので、高額課金が発覚しても頭ごなしに怒らないことです。

まずは、「カードの明細を見たら、心当たりのない出費があったんだけど、知ってる?」というような感じで、第三者的なヒアリングをしましょう。

そして、子どもが正直に事実を話してくれたあとは、「どうしようか?」と、まずは子どもに考えさせます。𠮟るだけでお子さんに不満を残すと、繰り返す恐れがあるからです。

そのあとは、「もし次も同じことがあると困るから、ゲームやスマホはお母さんが管理してもいい?」というように、必ず子どもと話をして、親が管理することを納得してもらうようにしましょう。ルール決定に参加してもらうことで、子どもがあとからルールを破りづらい環境になるというわけです。

──取り乱して第一声から怒ってしまうと、子どものほうもムキになってしまうからですね。

石田さん:感情的に言うと、子どもにはまったく内容が届かないんですよ。声のトーンを低くして、ゆっくりと「大変なことをしたんだよ」、「2回目はないよ」ということを冷静に伝えるようにしてください。難しいとは思いますが、心の底から怒っているということを伝えないといけません。

ある程度お金を使わせることで金銭感覚を養う

──キャッシュレス化が進み、「現金で買い物をしたことがない」という子もいるほど、親と子の金銭感覚に差が生まれています。お金の実体がないから、課金も歯止めをなくしてしまうという部分もあると思いますが、正しい金銭感覚を養うにはどうしたらいいのでしょうか?

石田さん:お年玉をもらったときなどに、ある程度お金を使わせることはいかがでしょうか。もちろん、使いみちは親がきちんと把握しておく必要はありますが、使わないとお金の危険性もわかりませんから。反対に、厳しく制限してしまうと、使いたいという気持ちが大きくなり、隠れて使ってしまう例もあります。

子どもの年齢にもよりますが、ある程度使わせながら、金銭感覚を身に着けさせることが大切だと思います。わが家の子どもたちは中学生と高校生なのですが、中学生になってからはお小遣いを電子マネーであげています。電子マネーでも、使ってみると、危険性も利便性もわかるものですよ。

「厳しくすると、子どもは反対のことをしたがります」(石田さん)

石田さん:形のないものを買うゲームへの課金に親御さん世代は拒否反応があるかもしれません。しかし、それが無駄と思うかどうかは人によって違います。

大人でも、アルコールやタバコにお金を使うことが無駄だと言う人もいますから、考え方は人それぞれです。ぜひ、親子でお金の使い方を考えてみてくださいね。

まずは最寄りの消費者センターに相談を

では、実際に課金トラブルが発覚してしまった場合、まずは最寄りの消費者センターに相談するか、消費者ホットライン「188」に電話しましょう。

そして、覚えておきたいのは、「未成年者取消権」についてです。

未成年者の契約には、法定代理人(親権者など)の同意が必要のため、同意を得られていない契約は取り消せる場合もあります。ただし、取消権を主張するには、返金基準を満たすための情報が必要です。

保護者のアカウントでログインしていたり、年齢確認画面で成人だと偽ったりしている場合は、未成年者の課金であることを説明しなければなりません。もし、事業者から「返金に応じられない」と回答されたとしても、消費者センターと連携を取りつつ情報を整理し、諦めずに交渉してみてください。

オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアル
(消費者庁ホームページより)

携帯端末や利用明細書をこまめにチェック

消費者センターには、高額課金についての相談が多く寄せられています。そうならないための防止策としては、以下の4つが挙げられます。

①端末に登録している情報を管理する
子どもが利用できるスマホやタブレットなどの端末に、クレジットカードを利用するための情報(カード番号やパスワードなど)を登録しない。一度登録した情報は、保存されてしまうことがほとんどなので、子どもに与える前に情報を削除しておきましょう。

②端末を管理する
アプリなどを購入する際には、必ずパスワードを求める設定にするなど、ある程度の制限をかけておきましょう。パスワードは誕生日や電話番号など、簡単に推測できるようなものは避けてください。また、事前にルールを決めて、使用時間の制限をかけておくなど、利用できる機能に制限をかける「ペアレンタルコントロール」を設定しておくとさらに安心です。

③クレジットカードなどの利用明細書を確認する
高額の引き落としがあってから課金に気づくケースが大半です。早めに状況を把握するためにも、カード会社から毎月送付される利用明細書はこまめに確認しましょう。使用したらすぐに確認できるWEB明細サービスも便利です。あわせて定期的な確認も。身に覚えのない請求があった場合には、速やかにカード会社に連絡してください。

④メールを確認する
アプリなどを購入した場合は、必ず購入完了メールが送信されます。また、クレジットカードを利用したら都度通知が送られるサービスも活用しましょう。身に覚えのない購入履歴があった場合は、各社アプリストアやクレジットカード会社に連絡してください。

(引用元:一般社団法人日本オンラインゲーム協会消費者庁

「うちの子に限って」と、子どもが高額課金をしないと思っている親御さんも多いかもしれません。しかし、対処法を知っていると、「もしも」のときに役にたちます。カード会社の利用明細だけでも、こまめに確認することをおすすめします。

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「話をする際は、必ず子どもを誘導せずに話し合うことが大切」と石田さん。子どもの正しい金銭感覚を養い、際限のない課金に疑問をもたせるようにすると同時に、親は子どもが勝手に課金できる環境を作らないようにすれば、「ゲーム課金トラブル」を防ぐことができます。

3回目は、そもそもの大前提である、スマホやタブレットを与える際のルールの作り方について、引き続き石田さんに教えていただきます。

取材・文/石本真樹
撮影/冨貴塚悠太

石田勝紀さんの連載は全3回。
1回目を読む。
3回目を読む。
(3回目は2023年7月12日公開。公開日までリンク無効)

いしだ かつのり

石田 勝紀

教育家

1968年、横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。これまで5万人以上の子どもに学習を指導。指導内容は知識の詰め込みではなく、「心を...