55倍に急増し今や「キッズ脱毛」が新規客の3割! 最新事情を専門家に聞く

専門家が答える「毛の問題」#3‐1 キッズ脱毛~最新事情~

ライター:星野 早百合

毛抜きでの処理は、毛穴を刺激して炎症を起こすことも。子どもがムダ毛を気にし始めたら、正しいケアの方法を教えましょう。  写真:アフロ

ママパパ、子どもが気になるであろう毛のあれこれについて、専門家が解説するシリーズ「毛の問題」。第3回は、子どもの脱毛「キッズ脱毛」を取り上げます。

“脱毛は、大人がするもの”というイメージは、今や昔。近年、子どもが施術できる医療脱毛やサロン脱毛が増え、注目を集めています。

なぜ、子どもの脱毛が注目されているのでしょうか。実際のところ、成長過程の子どもの体に影響はないのでしょうか。

キッズ脱毛のメリット・デメリットや注意点について、皮膚科医で小児皮膚科や脱毛にも精通する尾見徳弥(おみ・とくや)先生と、キッズ脱毛を提供しているTBCグループの広報室主任・山下真里奈(やました・まりな)さんにお話を伺いました。

※全2回の前編

尾見徳弥(おみ・とくや)PROFILE
日本皮膚科学会認定専門医、日本美容皮膚科学会理事・総務委員長、日本小児皮膚科学会運営委員、神奈川県・横浜市「クイーンズスクエアメディカルセンター」皮膚科部長。皮膚疾患全般を診療するほか、美容皮膚科を含む光線・レーザー治療の分野においても豊富な実績を持つ。日本医科大学客員教授、東京医科大学兼任教授も務める。

「脱毛処置は金額も高額ですし、本当に子どもにとって必要かを冷静に考えることが大切だと思います」と、尾見先生。  写真提供:本人

キッズ脱毛の割合は10年間で約55倍に

キッズ脱毛とは、子どもを対象にした脱毛のこと。

キッズ脱毛を提供しているTBCグループの脱毛サロン「エピレ」では、2011年のサービス開始当時は新規顧客のうち、キッズ脱毛の比率は0.6%でしたが、年々右肩上がりに増加。

2021年には33.2%にまでアップし、新規顧客の3人にひとりがキッズに! キッズが占める割合は10年間で約55倍にもなり、需要が高まっていることがわかります。

脱毛サロン「エピレ」の2011年9月~2021年12月 新規顧客に占めるキッズ(7歳~15歳)の割合  提供:TBCグループ

脱毛を受けられる年齢は「7歳以降」「10歳から」「初潮を迎え、生理周期が安定してから」、中には「3歳から可」というところもあり、医療機関やサロンによってさまざま。

子どもはどのような方法で脱毛をするのか、TBCグループの広報室主任・山下真里奈さん(以下、TBC・山下さん)に聞きました。

「TBCでは、7歳から15歳の女の子を対象にした脱毛を『キッズ脱毛』と呼んでいます。お客さまに体感を確認しながら施術を行い、じっと横になっていられる年齢を考慮して7歳から脱毛コースを提供しています。

脱毛方法は大人と同じ、光を照射して毛を作る組織にアプローチする光脱毛です。TBCでは『ライト脱毛』といい、短時間で広範囲を処理できて、抑毛(よくもう)・減毛(げんもう)効果が期待できます。うるおい成分配合の美容ジェルで肌のトリートメントも同時に行い、肌がきれいに仕上がるのが特徴です。

TBCでは、肌にやさしく安全なオリジナルの脱毛マシンを開発し、安全性や効果を確認した上でサービスを提供しています。また、第三者機関である日本エステティック振興協議会の認証を受けている点でも、安心してご利用いただけます」(TBC・山下さん)

小児皮膚科に精通し、脱毛にも詳しい皮膚科医の尾見徳弥先生(以下、尾見先生)は、脱毛方法の変遷についてこう話します。

「脱毛というと、以前は毛穴に電気を流して毛根にダメージを与える『ニードル脱毛(電気脱毛)』しか方法がなく、刺激もありました。

それが2000年以降、レーザー脱毛や光脱毛が開発されるなどして、脱毛方法が進化。痛みもかなり軽減されて、子どもにも使える脱毛器も登場しました。

さらに、最近では弱い熱を繰り返し肌に照射して、発毛を阻止する『蓄熱(ちくねつ)脱毛』のレーザー脱毛器も。

医療機関のみで使えるレーザー脱毛器の一種ですが、出力が分散されるため痛みが少なく、やけどのリスクも少ないでしょう。キッズ脱毛には、この安全性が高い蓄熱脱毛をすすめているクリニックもあります」(尾見先生)

小学生は【腕・脚】中学生は【ワキ】が人気

実際にどんな子どもが、キッズ脱毛を利用しているのでしょうか。

TBCグループの脱毛サロン「エピレ」では、2021年1月から12月までに体験コースを予約したキッズを年齢別に分けると、10~12歳がもっとも多く、キッズ全体の49%と約半数。

次いで13~15歳が31%、7~9歳が20%で、小学校高学年あたりになると、ムダ毛を気にする子ども(もしくは、その親)が増えていると考えられます。

「小学生は腕や脚の脱毛を希望されることが多く、中学生になると、さらにワキをプラスするお客さまが多いです。

脱毛をする理由は『水泳やダンス、バレエなどの習い事で水着や衣装を着るため』『体育の授業で毛が気になるから』というお客さまが多い印象です。

最近では、SNSにあげる写真や動画にうつることを意識しての方もいらっしゃいます。女の子は体の成長や周囲との違いを意識するのが早いことも、年々キッズ脱毛の利用者が増えている理由のひとつではないでしょうか」(TBC・山下さん)

また、キッズ脱毛に通う子どもの母親は、サロン脱毛経験者も多いと続けます。

「お母さま自身がエステティックサロンで脱毛を経験していると、お子さまがサロンで脱毛することへの抵抗感があまりないように思われます。

『子どもがカミソリなどで自己処理をする前に、サロンで脱毛をさせたい』『自分が子どものころ、毛が気になって大変な思いをしたので、同じ思いをさせる前に娘にはサロンに通わせたい』などという、お母さまも多いですね」(TBC・山下さん)

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