祖父母のSNS投稿で子どもにトラブル! じいじばあばに伝える写真のリスクとマナー

メディアリテラシー教育研究の第一人者、千葉大学教育学部教授・藤川大祐先生に聞くSNSでの子ども顔出しについて #3 子どもの写真の使い方について祖父母への伝え方

千葉大学教育学部教授:藤川 大祐

高齢者のSNS利用年齢は高く、90代でも多くの方が使いこなしています。  写真:アフロ

子どもの写真を投稿する際に起こりうるリスクやトラブルについて、メディアリテラシー教育研究の第一人者である千葉大学教育学部教授・藤川大祐先生に解説いただく連載最終回。

3回目は、祖父母に孫(=わが子)の写真の使用についての伝え方についてです。スマートフォンを使いこなし、SNSにも抵抗がない祖父母に、わが子の写真を投稿するリスクやマナーを知ってもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

お互いが納得できる具体的な方法について教えていただきました。

(全3回の3回目。1回目を読む。2回目を読む

孫の写真をSNSに投稿したい祖父母に、リスクやマナーをどう伝える?

──今のおじいちゃん、おばあちゃんは、スマートフォンを使いこなし、SNSにも抵抗がありません。しかし、祖父母世代とは考え方や価値観が違うのも事実。祖父母との関係を悪化させずに、投稿のリスクを伝えたいのですが、これがなかなか難しいものです。

藤川大祐先生(以下、藤川先生):祖父母にとっては孫ができることは嬉しいことだし、ご自身が生きてきた人生を肯定されている気持ちになれる。共働きの親をサポートしようと孫の世話をがんばっているおじいちゃん、おばあちゃんであればなおさら、投稿は生活のモチベーションになるし、友人に自分のことを伝えられる一番の話題です。気持ちはよくわかります。

ただ、子どもの写真をどう扱うかは保護者である親が決めるべきことです。ですので面倒がらずに、投稿する際の決めごとは、丁寧に説明してわかってもらいましょう。

例えば、撮影はしてもいいけれど、SNSにアップするのは控えてもらう、投稿するなら斜め後ろからの写真、もしくは顔がはっきりとわからないものに限る、など。

百歩譲って、子どもの顔は大人になるとだいぶ変わるので、2歳までなら投稿はOKと、年齢で区切るのもひとつの方法です。祖父母の気持ちを尊重しつつ、子どもをリスクから守るためにはどうしても必要だという立場で話し合うことが大切ですね。

いずれにせよ、子どもについての方針はすべてにおいて親が決めるべきです。最初が肝心なので、お子さんができたときに、子どもにまつわる決定権は親にあることをきちんと伝えておきましょう。

もちろん、祖父母に助けてもらうことはあるでしょうし、豊富な経験にもとづいた意見がほしいときもあると思います。しかし、責任やリスクも負うのはあくまで親である自分たちであることを忘れないようにしましょう。

投稿の方針は親が決めて祖父母には丁寧に説明すべき

──1回目で教えていただいたように、FacebookやInstagram、LINEなどは投稿範囲を決めて設定してもらう、というのはダメでしょうか。

藤川先生:​祖父母のネットリテラシーが低い場合には、やや危険を伴う気がします。万が一、設定を間違ってしまうと大変なことになりますから。できればアナログなレベルでの約束をするのがおすすめですね。

──祖父母に限りませんが、TikTokやYouTubeなどで、子どもの動画をアップする人が年々増えています。動画投稿について、先生はどう考えていますか。

藤川先生:子どもの成長記録として撮りたい気持ちはわかりますが、動画の公開にはリスクがあります。特に、小学生の可愛らしい姿などを載せると、リスクはより高まります。

温かいコメントで子どもから信頼を得て、住所を突き止められたり、「会おうよ」と呼び出されるなど、SNSを通じて子どもを手なずけるグルーミングの被害に遭いやすい。

お子さんの顔がわかる動画の投稿はおすすめしませんが、もし投稿するのであれば十分注意してほしいです。

意外と見落としがちな「位置情報サービス」のデメリット

──SNS投稿の注意点で、意外と軽視されているのが「位置情報サービス」です。撮影した写真に始めからついている位置情報はどう扱えばよいのでしょうか。

藤川先生:位置情報は、地図アプリや交通機関の乗り換え案内サービスを利用したり、近隣の商業地のクーポンを受信できるなど、いろいろな面で便利な機能ですが、危険なものでもあります。

具体的に言うと、旅行中に撮った写真をそのままアップしてしまうと、自宅が不在だと公表しているも同然です。実際にそうしたユーザーを標的にした住居侵入や窃盗の事件が過去に発生しています。

他にも、子どもの習い事など決まったスケジュールについて投稿すると、「毎週●曜日は必ずこの場所に行く」と所在が特定され、つけ狙われるリスクが高まります。

最近では、Facebook、Instagram、LINE、Twitterなど、主要なSNSでは、画像をアップロードするときに位置情報が自動的に削除される仕組みになっています。しかし、すべてのアプリやサービスが位置情報の削除に対応しているわけではありません。自分で作成したウェブサイトやブログなどに写真をアップする際は位置情報が残ることもあるので注意が必要です。

──確かに、GoogleフォトやAmazonフォトで共有した写真や、Gmailに添付した写真には位置情報が保持され、撮影場所が特定できてしまう場合もあります。

藤川先生:一番簡単で確実なのは、撮影前に位置情報をオフにしておくこと。また、投稿前に必ずチェックをすることです。Exif情報(位置情報)の削除、編集ができるアプリなどを使うのもいいでしょう。

※iPhone向けには「Photo Secure」、Androidスマホ向けには「Photo exif editor」などのアプリがあります(編集部補足)。

今回紹介したように、不特定多数の人が閲覧できるSNSに投稿することは、さまざまなリスクにさらされる危険性をはらんでいます。自分の写真や投稿文に本当に問題がないかチェックをしてから投稿するようにしましょう。わが子を無用なトラブルから守るためにもぜひ参考にしてみてください。

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SNSの投稿について話し合うなんて、と思うかもしれませんが、子どものリスク回避と、これからも安心してSNSを楽しむためにも、ぜひするようにしましょう。

また、子どもと家族を守るためにも、たかが投稿ひとつと思わず、ネットに写真をあげる意味をよく考えて、慎重に行動することを心がけてくださいね。

取材・文/鈴木美和

※藤川先生に聞く「SNSでの子どもの顔出し」連載は全3回。
1回目 SNS投稿で子どもの顔出し 拡散・悪用のリスクと対策を専門家が解説
2回目 SNSで子ども・家族に誹謗中傷 トラブルを回避する文章を専門家が解説

藤川大祐(ふじかわ・だいすけ)
千葉大学教育学部教授。専門は教育方法学、授業実践開発。メディアリテラシー、ディベート、環境、数学などの授業づくりを研究。学級経営やいじめ問題の研究も行っている。メディアリテラシー教育の第一人者として、著書、講演、TV出演多数。

ふじかわ だいすけ

藤川 大祐

千葉大学教育学部教授

千葉大学教育学部教授。専門は教育方法学、授業実践開発。メディアリテラシー、ディベート、環境、数学などの授業づくりを研究。学級経営やいじ...