「食薬」で女性特有の不調・子どもの食習慣を改善 漢方薬剤師の知恵

漢方薬剤師・大久保愛さんが教える「食薬」のススメ#1~食薬と産後トラブル~

漢方薬剤師:大久保 愛

食薬② 貧血に「切り干し大根とひじき」

産後は慣れない育児に追われ、自分の食事がおろそかになりがちに。また、出産時の出血量や母乳などによって鉄分が不足して貧血症状が現れやすくなります。鉄剤やサプリメントなどもありますが、まずは食事からしっかり鉄分を補いましょう。

「切り干し大根とひじきは、なんといっても鉄分が豊富です。また、貧血は胃腸の働きが弱い人に多くみられ、鉄剤を服用するとお腹の調子が崩れるなどで体内にうまく吸収できず、ヘモグロビン値の改善に時間がかかることが多いです。

その点、大根は消化酵素や食物繊維が豊富なので胃腸の働きを整えやすく、鉄の吸収を促すビタミンCも豊富に含まれています」(大久保さん)

大久保さんおすすめの乾物「干しエビ」は、タンパク質やミネラル、ビタミンB群など体の基礎となる栄養素が豊富。かわいい瓶などに入れて保存すれば気分もアガります。 写真提供:大久保愛

食薬③ ホルモンバランスに「山芋と高野豆腐」

妊娠中に分泌されていたホルモンは出産を終えると急激に減少し、バランスが大きく変化します。その影響で、涙もろくなったり、夫に対して攻撃的になってしまったり……と、さまざまな不調を感じやすくなります。

そんな時、大久保さんがすすめるのは「山芋」です。

「女性ホルモンのもとになるDHEAを作るのに必要なジオスゲニンを豊富に含む、山芋を取り入れてみてください。山芋は、漢方では山薬(さんやく)という生薬として使われます。ホルモンバランスを整えることから、アンチエイジングにも効果が期待されているんですよ。

さらに高野豆腐を一緒に入れると、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンも取れて、なお良いです。高野豆腐は、タンパク質が納豆の約3倍、木綿豆腐の約7.5倍と栄養価も高いです」(大久保さん)

食薬④ 気分が沈む時は「かきたま豚汁」

我が子の成長を喜ばしく感じる一方で、ふと気分が落ち込んだり、孤独を感じてしまったりと気持ちが不安定になる時もありますよね。心身ともに不調を起こしやすい時期にこそ、普段の食事の栄養バランスを見直してみましょう。

「抑うつ症状が起こるのは、鉄分やタンパク質、ビタミンB群などの神経伝達物質の生成を促す栄養素が不足している時。そんな時は、好きなお野菜をたっぷり入れた豚汁に卵をプラスした『かきたま豚汁』がおすすめです。聞くだけで栄養価がとても高そうですよね(笑)。

さらにニンニクも入れれば、辛味成分であるアリシンのおかげでスタミナもアップ! 同時に、豚肉に豊富に含まれるビタミンBの効果を持続させる働きもしてくれます」(大久保さん)

産後は、授乳しているママはとくにタンパク質が不足しがちに。「栄養状態が悪いと、甘いものを過食しがちになる」と大久保さんは話します。

忙しい子育ての合間に「何か食べなきゃ」と、つい手軽な菓子パンなどを食べてしまう人も多いのでは? そんな時は、かきたま豚汁でリカバリーするよう心がけてみてください。

時には甘いものを食べつつも、食薬で栄養バランスを取る──。ストレスなく、少しずつ食事を見直していければいいですね。

『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(大久保愛著、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)。「人間も自然のなかの一部である」という漢方の考え方をベースに、日本特有の雨、風、気圧の変化、日照時間がどのように心に影響するかを分析し、その季節特有の心バテ症状に合わせたシンプルで簡単な「食薬プログラム」を紹介。
『1週間に1つずつ 体がバテない食薬習慣』(大久保愛著、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)。各シーズン・毎週ごとに陥りやすい不調のメカニズムを解明して、その対策のための食薬プログラムを提案。毎週の食べるといい食材をスープや料理の具材として使うだけで大丈夫。食べるもののチョイスを少し変えるだけで、ためこまない、めぐりがよい、「バテない体」へ導いてくれる。

取材・文/稲葉美映子

※大久保愛さんのインタビューは全3回です。
次回(第2回)は2021年12月29日公開予定(公開日までURL無効)
#2 漢方薬剤師が推奨 「食薬」で子育て中の体調トラブル&イライラを乗りきる!

第3回は2021年12月30日公開予定(公開日までURL無効)
#3 体調を整える「食薬」+子どもに「食育」 漢方医が教える簡単レシピ

22 件
おおくぼ あい

大久保 愛

漢方薬剤師

秋田県出身。薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。 アイカ製薬株式会社代表取締役、漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。 昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳を始め医療と美容の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わっている。

秋田県出身。薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。 アイカ製薬株式会社代表取締役、漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。 昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳を始め医療と美容の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わっている。

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。