男の子の【精巣捻転】とは? 6時間以内に緊急手術をしないと「精巣・金玉・睾丸」が失われる危険性 泌尿器科医が詳しく解説
泌尿器科医・岡田百合香先生に聞く、「精巣(金玉)」トラブル #1 ~精巣捻転 (せいそうねんてん)~
2024.11.11
泌尿器科医:岡田 百合香
いかに早く手術に辿り着けるか
そしてもうひとつ、緊急で病院にかかる際に覚えてほしいことがある、と岡田先生。
「受診の際に受付スタッフや医療者に『精巣捻転かもしれない』と一言伝えてください。
緊急性が高いという性質上、早めに診察の優先度を評価してもらう必要があります。時間勝負の疾患なので、普通に問診表を書いて、順番待ちをして……という時間のロスは極力避けたいです」(岡田先生)
精巣捻転に関しては、手術が半分、診断も兼ねているといいます。開けてみないと確実にはわからない病気だからです。
「『手術をしてみたら捻転ではなかった』というケースもありますが、精巣捻転の手術は、泌尿器科領域の手術の中では、リスクや身体への負担はそれほど大きいものではありません。『疑わしきは手術で確認』というのが基本的な方針です。
精巣捻転において重要なのは『いかに早く手術できる病院に辿り着けるのか』に尽きます。一方で、地域によって医療事情は様々なので、必ずしも自力で行ける範囲にそのような総合病院があるとは限りません。
夜間は特に相談先が限られてしまい、保護者のみで情報を得るのにも限度があります。#8000(電話で小児救急の受診先について助言を聞ける)や自治体が提供する医療相談窓口も活用してください」(岡田先生)
痛みが強い場合は救急車を
命にかかわる病気ではないので、「必ず救急車を呼ばなければいけない」というわけではありません。しかし時間勝負の緊急疾患であるため、子どもの痛みが強い場合や夜間早朝で受診先がない場合には、救急車を呼んでもよいということ。
「精巣捻転は思春期の男子に発症することもあり、『思春期の発症は羞恥心によって受診が遅れることが大きな問題』と言われています。この記事にたどりついた男子には、「精巣の痛みがあればすぐに病院受診すること」の重要性をぜひ覚えておいてほしいですね。
病院で勤務する医師は、患者さんが病院までたどり着いてくれないと何もできません。一人でも多くの方にこの病気を知ってもらい、少しでも早く適切な処置を受けてもらえるように願います」(岡田先生)
───◆─────◆───
次回は、幼児期に多い精巣(金玉)トラブルについて。乳幼児期の健診で、おちんちんをみたり、精巣(金玉)をさわったりされたことありませんか? それって必要なの? と思った保護者の方、実は大事な確認だったのです。
2回目は、「乳幼児期に多い睾丸トラブル」について。引き続き、岡田先生にお話を伺います。
取材・文/遠藤るりこ
岡田百合香先生による「精巣(金玉)トラブル」は全3回。
2回目を読む。
3回目を読む。
※公開時よりリンク有効。
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
岡田 百合香
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。