国交省に聞く「ベビーカートラブル」対策 「必要なのはお互いの“思いやりの気持ち“」
安全・快適な「ベビーカー移動」のために2023 #1~国交省・こそモビ編~
2023.02.20
ライター:遠藤 るりこ
マークの認知度は4割程度に
国土交通省では毎年、インターネットモニターアンケート調査(※1)を実施しており、その中で「ベビーカーマークの認知度」を調べています。
「2022年11月に行われた第7回協議会で報告された最新のアンケート結果によると、ベビーカーマークの認知度は43パーセントです。その前の年は47パーセントでした。過去に比べて上がってきているものの、ここ数年は大体4割から5割弱程度の横ばいです」(久島さん)
ベビーカー移動についての賛否がニュースになると、この認知度は一時的に高まったりする、と久島さん。
「データをとっているわけではないのですが、こういった“炎上”は不定期で起こっているように感じます。しかし、SNSなどで賛否両論の声があがるのは悪いことばかりではないんです。ベビーカー利用への理解と、マークへの認識が上がるきっかけにもなりますので」(久島さん)
さらに、同モニター調査で「原則としてベビーカーを折りたたまずに乗車していいことを知っているのか」という質問には、54.7%が「知っている」と回答しています。
「折りたたまなくていい」と知っている人が半数以上いるにもかかわらず、ときには、利用者に対して心無い意見を言ったり、折りたたむことへの理解がどうしても得られない場合も。これは、世代間の格差もあると言う久島さん。
「移動にベビーカーを使っていなかった世代から、ときにご意見が届くことが多いように感じます。『国交省が、折りたたまずに乗車していいと言ったから、迷惑している』といった電話を頂いたりしますよ」(久島さん)
ベビーカーがここまで目の敵にされるのはどうしてなのでしょうか。
「アンケート調査には、いろいろな意見が寄せられています。『ベビーカーを広げているのに、子どもは抱っこしている。荷物を乗せているだけだ』なんて声もありますよね。でも、どうしても子どもが機嫌を損ねて泣いたりして、そういうシーンもあるでしょう。
国土交通省としては、『荷物だけ乗っていたとしても、たたまなくていいですよ』と言っています。しかし、やはりすべての人からの賛同を得るのはすぐには難しいのも現実です」(久島さん)
一方で、「原則としてベビーカーを折りたたまずに乗車できることに対してどう思うか」という質問には、なんと90.1%の人が「賛成・どちらかというと賛成」と回答していることがわかっています。これは、ベビーカー移動を余儀なくされる子育て世代にはうれしい結果です。
ベビーカー利用者も、周囲の人も、お互いへの配慮が必要だと久島さんは言います。
「利用者も状況に応じた対応が必要なときもありますし、何より、ぶつからないようになど周囲に気をつかっていただければ。バスなどは乗車の際のベビーカーの向きや、ベルト固定などのルールがありますので、そちらを遵守(じゅんしゅ)していただければと思います」(久島さん)