国交省に聞く「ベビーカートラブル」対策 「必要なのはお互いの“思いやりの気持ち“」

安全・快適な「ベビーカー移動」のために2023 #1~国交省・こそモビ編~

ライター:遠藤 るりこ

2022年11月、元バレーボール日本代表選手の大山加奈さんが、双子ベビーカーでの乗車で乗車拒否されたとSNSに投稿。多くの賛否で炎上した。  イメージ写真:アフロ
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「車内でベビーカーがジャマ」「なぜ折りたたんで乗車しないのか」

電車やバスなどの公共交通機関におけるベビーカー利用については、たびたび“炎上”し、ニュースになります。

2022年11月にも、元バレーボール日本代表選手の大山加奈さんが、「双子ベビーカーでの乗車を都営バスで拒否された」とSNSに投稿。ベビーカー移動がトラブルになるたびに賛否両論、さまざまな意見が飛び交いますが、はたして2023年の今、“正解”はどこにあるのでしょうか。

国土交通省は「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」を2013年に設置。その後、発展的に解消し「子育てにやさしい移動に関する協議会(略称:こそモビ協議会)に。子ども連れの人が移動しやすい環境を実現するよう、協議し続けています。

ベビーカーを使った公共交通機関の利用について、今、国はどう考えているのか。今回は「こそモビ協議会」事務局の国土交通省の久島勇一(ひさじま・ゆういち)さんにお話を聞きました。

※全4回の1回目

世間的にベビーカーは迷惑な存在?

乳幼児と外出する際、子育て世代になくてはならないベビーカーの存在。なんと、日本に初めて上陸したのは1867年で、福沢諭吉が自分の子どものためにアメリカから持ち帰った乳母車(うばぐるま)が最初だとされています。

近年はその機能性もさまざまで、大型で安定感よく走行性が優れているもの、軽量でコンパクトになるものなど、利用者のニーズに合わせて発展しています。

「統計データがあるわけではないのですが、昔に比べてベビーカーで電車やバス移動をされる方は増えてきていますね」と話すのは、「子育てにやさしい移動に関する協議会(略称:こそモビ協議会)」事務局の久島勇一(ひさじま・ゆういち)さん。

こそモビ協議会は公共交通機関でのベビーカー利用について考えることを目的に2013年に始まった、「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」が前身。当初は、「ベビーカーマーク」の作成と普及を目的に設置されました。

逆を言うと、それまではベビーカーに関するマークがなかったということ。

「現在のベビーカーマークは、交通のバリアフリーに取り組んでいる公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団を通じてJIS規格化しています。マークの作成や使用については、有識者、特に子育て団体の方に参画いただいて、ご意見を伺いながら『どういう意味合いを持たせるのか』そして、『どうしたら広く普及するのか』を考えていきました」(久島さん)

2015年ごろから公共交通機関などで目にするようになったベビーカーマーク。ベビーカーを押す大人と、ベビーカーに乗車する子どものアイコンがマークに。  提供:国土交通省

ベビーカーマークは、2014年3月に作成され、2015年5月にはJIS規格化。国土交通省は啓蒙ポスターなどを作成し、以後、ベビーカー利用への理解を深めていく活動を推進していきます。

「国土交通省がマークとして作ったものを、次の段階では公共交通機関や事業者に利用してもらいます。例えば、バスや鉄道などの車両にマークを貼ってスペースを確保してもらい、ここはベビーカー優先スペースで『折りたたまず利用していい場所』だということを周知するんです」(久島さん)

マークの作成・規格化からもう9年。現状どれくらいの人が、このベビーカーマークを理解しているのでしょうか。

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