災害発生の前に何をする? “マイ・タイムライン”でわかる備え

“マイ・タイムライン”って知っていますか?(③「作ってみよう」編)

時政 美由紀

“マイ・タイムライン”とは、災害が起きたことを想定して、“わたし”が、いつ、どのような行動を行うかを時系列で整理したものです。

「台風が接近しているので災害に備えて!」と言われても、準備をしていなければ何をしていいのかわかりません。

そうならないために、何もまだ起きていないうちに、マイ・タイムラインを作っておきます。いざという時の行動をどうするか、家族を守るためにも、今からできることをやっておきましょう。

マイ・タイムラインリーダーとして、小・中学校やセミナーでマイ・タイムラインの作り方を教えている防災士の堀中里香さんに詳しくお聞きしました。

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マイ・タイムラインを作ってみよう

「調べておこう」編で、①住んでいる場所と家庭の状況について確認 ②川の水が氾濫するまでの流れを確認 ができたら、以下の順番で作っていきます。

③川の水が氾濫するまでにやることを確認 ④マイ・タイムラインを完成させる です。

③川の水が氾濫するまでにやることを確認しよう

「“川の水が氾濫するまでにどんなことをすればいいか”について、ぜひお子さんと考えてほしいと思います。資料2を使って、『安全なところってどこ?』『避難しやすい服装ってどんな服装?』……など、クイズ形式にもなっていてヒントも隠されているので、遊びながら楽しくできると思います」(堀中さん)

「台風が発生」してから「川の水が氾濫」するまでの備えを考えよう!!(資料2)

「安全なところは、必ずしも避難所とは限りません。親戚や知人宅のほうが安全な場合もあるでしょう。また、ホテルなど宿泊施設が安全な場所にあるなら、プライバシーも守られ、気兼ねせず利用できるなどのメリットもあります」

資料2の使い方は、例えば、「ア.安全な所へ移動を始める」は、「台風が発生」してからどの順番で行動すればいいかを考え、ア~カまでを並べていきます。同時に、自分にとって「安全な所ってどこかな?」と考える機会になります。

「順番は家庭によって違うので、順番が違っても間違いではありません。家族で考えることが大切なのです。しかし、少なくとも“川の水が氾濫する”前に、“安全な所へ移動を始める”のシールが貼られないとダメですね。氾濫する前にしっかり安全な場所に避難できるように、マイ・タイムラインを作成しましょう」

④マイ・タイムラインを完成させる

いろいろ調べたり、考えたりしてきましたが、ここまで来たらマイ・タイムラインの完成間近です。「逃げキッド(マイ・タイムライン 検討ツール)」でダウンロードした、以下の台紙に「主な備えシール」(※要のり付け)を貼って、仕上げていきます。

「マイ・タイムライン」をつくってみよう!!(台紙)
マイ・タイムライン 主な備えシール

「ここではじめて、“自分はどう動くか”について考えます。逃げキッドの“主な備えシール”の項目だけでなく、例えば、食料品の備蓄を買いに行く、家の周りを片づける、○○のサイトを見る、避難する時の持ち物は○○に置いてある……など、自分に必要な項目を書き入れていけば、まさに自分だけのマイ・タイムラインになります」

また、せっかく作ったマイ・タイムラインを仕舞いこんでしまっては、「台風来るけど、どこに置いたっけ?」では役に立ちません。家族がよく見える場所、取り出せる場所にいつも置いておくようにしましょう。

さらに、時間がたてば新しい道路や施設ができたり、子どもの通学先が変わったり……、自分たちを取り巻く状況も変わります。毎年、6月の長雨のシーズンや9月の台風のシーズンの前に、マイ・タイムラインの再検討ができるといいですね。

作ったマイ・タイムラインは家族が見やすいところに貼っておきましょう

ここまで、国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所の「逃げキッド 」を使って説明してきましたが、以下のサイトからダウンロードできます。
https://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate00626.html

マイ・タイムラインのツールは国土交通省だけでなく、各自治体でも独自のものを作成しています。

東京都
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/
横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/bousai-kyukyu-bohan/bousai-saigai/wagaya/timeline.html
長野県
https://www.pref.nagano.lg.jp/bosai/kensei/koho/mytimeline.html

上記はほんの一部ですので、住んでいる県や市町村がマイ・タイムラインのツールを作成していれば、それを使って作成してみてもいいでしょう。

堀中里香(ほりなか りか)
プロフィール
防災備蓄収納マスタープランナー、防災士、整理収納コンサルタント。「あなたのいえのかたづけこびと、そだてませんか」をモットーに、日常は整理収納、非常時は防災備蓄で、安全で安心な暮らしをサポートする。防災を考慮した整理収納サポートや、オンラインの整理収納×防災備蓄セミナーが好評。整理を習慣づける週一オンライン部活動『みんなでおかたづけクラブ』も行っている。NHKひるまえほっと出演。ブログ『かたづけこびとのみつけかた』 https://ameblo.jp/karikanariho/

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ときまさ みゆき

時政 美由紀

構成・取材

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。