東京育ちで、結婚後は子ども3人&夫の5人家族で神奈川県に暮らしていたライター・片岡由衣さん。突然、夫の仕事都合で、人口約300人の小さな離島・竹富島(沖縄県八重山郡)へ引っ越すことになりました。自然豊かな地での子育てに憧れはあったものの、実際はどんな暮らしが待っていたのでしょうか。
今回は、竹富島で出会った生き物について綴ります。
庭にナナフシやタイワンカブト 学校には金のさなぎ “珍昆虫”が続々
沖縄といえば、虫が大きくて多いというイメージがありますが、それは大正解です。私はそこまで虫が得意ではないものの、息子たちは生き物全般に興味があり、図鑑を見たり虫採りをしたりするのが大好き。東京のじいじ(私の父)は虫の名前を聞くとなんでも教えてくれる昆虫好きな人なので、神奈川にいた頃はよく一緒に虫採りをしていました。
島へ来た頃、「庭でナナフシ見かけたー!」と、次男が叫び、捕まえては洋服にくっつけていました。ナナフシは枝のような見た目のちょっと不思議な昆虫で、見た目は、枝が動いているようにしか見えません。神奈川に住んでいたときは、奥多摩へキャンプに行ったときに見かけて感激したほどです。まさか庭で見かけるようになるとは……。
学校で遊んでいると、金色に輝くさなぎのようなものを見かけました。昆虫に詳しいじいじにスマホのテレビ通話で見てもらうと「蝶々・オオゴマダラのさなぎだね」とのこと。角度を変えるとキラキラと反射する見事な金色に、自然の生き物がこの色を作り出すのが不思議で、みんなでしばらくじーっと観察しました。
オオゴマダラは白地に黒い斑点が特徴で、羽を広げると13cmにもおよび、日本最大級の蝶といわれています。よく植物園や蝶園で飼育されていますが、国内だと南西諸島にしか生息していません。竹富島は「蝶の島」とも呼ばれ、オオゴマダラの他にツマベニチョウ、シロオビアゲハなどの蝶がふわふわと優雅に舞っているのをよく見かけます。
朝起きると「タイワンカブトがいたー!」と庭で騒いでいたこともありました。タイワンカブトとは、サイカブトとも呼ばれる沖縄に生息するカブトムシです。昆虫採集に行かずとも、島で出会う希少な生き物を楽しんでいる子どもたち。そんな姿を見ていると嬉しくなります。洗濯物を干しているときに目の前に大きなバッタがピョーン! と飛んでくるのだけは遠慮してもらいたいけれど……。