「児童手当」10月改正で あなたの家庭もらえる・もらえないをFPが総点検

児童手当の改正で手当が支給されなくなる家庭とは?子育てを支える制度と手当を確認しよう#1

制度は変更されることがあります。すでに知っていると思っていても、改正されると暮らしに影響することがあるので都度、確認は必要です。  写真:アフロ

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多くの子育て家庭が国や自治体から、なんらかの支援を受けていることでしょう。子どもの健康維持や教育にもかかわることなので、申請などの必要があれば、定期的に申し入れしている方は多いはずです。

しかし、申請などを漏らさずしていたとしても制度の内容自体が改正されることがあり、変更によっては暮らしが変わる家庭も出てきます。

利用できるものは余さず使いたい一方で、制度が改正されるのに伴って生活に影響が及ぶのなら心づもりはしておきたいもの。

知っているはずの制度や手当などについて、CFP認定のファイナンシャルプランナーであり、個人の資産運用などについても多くの相談を受けている新井智美先生に教えていただきます(全3回の1回目)。

子どもや子育て家庭対象の制度とその目的とは?

「子どもや子育て家庭を対象とした支援はさまざまありますが、どれも子どもの健全な成長とそれを支える家庭の生活安定を目的としています。

追って解説する『児童手当』や『児童扶養手当』などが主に知られていますが、このほかに自治体による独自の施策もあるので、この機会に今一度、お住まいの地域の支援を確認してみるといいですね」(新井先生)

厚生労働省が発表している「令和3年度版共働き等世帯数の年次推移」を見ると、共働き世帯は1,240万世帯です。同白書によると〈男性雇用者と無業の妻からなる世帯〉、つまりは夫婦のうち夫が働き、妻が専業主婦などで働いていない家庭は571万世帯なので、共働き世帯は倍以上あるということになります。

また、同省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、子どものいる世帯において母親が仕事をしている割合は72.4%と7割を占めています。

現代社会では、このように多くの世帯で夫婦ともに働いて一生懸命に子育てをしています。しかし、昨今の給料が上がらないという問題や物価の高騰などの背景を受けて、経済的負担が大きくなっている子育て家庭は少なくありません。

子育て支援制度の目的にも掲げられているとおり、子どもの健全な成長のために、生活の助けとなる支援は非常に有効であり、余すところなく利用していきたいところです。

2022年10月支給分から一部変わる「児童手当」をおさらい

「児童手当は、0歳から中学校卒業までの児童を育てている方に、原則として毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までが支給される手当です。

支給額は、子ども1人ひと月あたり5,000円~15,000円で、3歳未満は一律15,000円、3歳以上小学校卒業までは10,000円です。ただし、この期間は3人目の子どもからは15,000円がもらえます。中学生は一律10,000円です。

ここで注意してもらいたいのが、これまで一定所得以上の方に対しては、特例給付として子どもの年齢にかかわらず1人あたり月額一律5,000円が支給されていましたが、2022年10月支給分より一定の所得(所得上限限度額)以上の方に対しては、それが支給されなくなります。

一定の所得以上というのは例えば……、

■子どもが1人で配偶者の年収が103万円以下の場合 1,162万円以上
■子どもが2人で配偶者の年収が103万円以下の場合 1,200万円以上
■子どもが3人で配偶者の年収が103万円以下の場合 1,238万円以上

の年収がある世帯です。

ちなみに所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の方は、引き続き子ども1人あたり月額5,000円が支給されます。収入額が1,000万以上の方が特に注意が必要です。

国税庁から発表されている『令和2年分 民間給与実態統計調査』によると、1,000万円を超える収入がある給与所得者数はおよそ240万人います。

このうち子育て世代がどの程度いるかは不明ですが、お金にまつわる相談を実際に受けている中で感じたのは、40歳を超えてくると1,000万以上の年収の方が少なからずいるということです。

現在は結婚年齢が男女ともに上がり、子どもを出産する年齢も上がっているため、40代以降でも、まだまだ児童手当が支給される子育て世代です。

制度が改正されるときは、『うちは対象外』と最初から思い込んだり、調べるのが面倒と感じる方は多いものですが、変更の内容はご家庭それぞれで確認することが大切です」(新井先生)

児童手当が支給されなくなったあとに所得上限限度額が規定を下回った場合、つまり児童手当の受給者の収入額が減ったときは改めて認定請求書を提出をしないと支給が再開されないという注意事項もあります。

改正後に影響を受けるのは一部の家庭ですが、制度内容が変わるときはいずれの家庭も念のため、注意事項まで確認しましょう。

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