なぜ持ち帰らなければいけないの?
同会では、全国的な実態調査と合わせて、おむつ持ち帰りをしている自治体や園に対して「どうして持ち帰りをしているのか」の理由も聞いています。
東さんは、持ち帰りをさせている行政や保育園側の主張としては、大きくいうと以下の4つのものがあると話します。
「まず、一番多い持ち帰りの理由は、①子どもの体調管理のため。保護者に持ち帰ったおむつの中のうんちを見てもらって、子どもの体調を確認してくださいというもの。
でも、実際に持ち帰りをしている保護者に聞いても『帰宅後、使用済みのおむつの中身を確認している』という方はごくごく少数派です」(東さん)
便になにか問題があれば、おむつの中の便の状態を写真に撮って見せる、などの方法で解決するのではないか、という考え方もあります。
「感染症コンサルタントの方も言っていましたが、感染対策の観点からみても、排泄物の入ったおむつを持ち帰らせるのは、感染症をひろめるリスクにつながる可能性があり、好ましくないと思います」(東さん)
次点で、②今までずっとこうしてきた、理由はわからないという回答があります。
「『昔からこうしてきたから、なぜ持ち帰っているかわからない』という理由は、悲しいですよね。布おむつの時代にできた『使い終わったおむつを持ち帰り、家庭で洗って持ってくる』という流れを、紙おむつになっても変えずにいるだけだと思います」(東さん)
また、園廃棄に切り替え、事業ゴミとして排出する場合の③ゴミの保管や回収の点で問題がある、④予算がつかないと主張する園もいます。
「使用済みのおむつは多くの自治体で、事業系一般廃棄物扱い。園内調理のごみ等も含めたごみ処理費用は、園児一人当たり月額数百円単位で解決する話です」(東さん)
ほかに、「保護者からの要望がない」と回答する自治体もありましたが、同会の元へはおむつ持ち帰りについての批判的な声が続々と集められています。