保育園から使用済みおむつ持ち帰りは約6人に1人 どうしたらなくなるの?

SDGsで考える「おむつの未来」 #1 保育園のおむつについて

遠藤 るりこ

園廃棄への切り替え要望は通るのか?

では、使用済みおむつを持ち帰っている保護者が、「うちの園でも持ち帰りをやめて、園廃棄に切り替えてほしい」と要望する場合、どこにどのような働きかけをしていけばいいのでしょうか。

東さんは、「公立保育園と私立保育園とでは、アプローチの仕方が異なる」と教えてくれます。

「公立保育園の場合、各園で最終判断ができないので、自治体に訴えたほうが効果的です。多くの自治体では、ホームページに『お問い合わせ(ご意見)フォーム』を準備しているので、そこに意見を書くといいと思います。

また、地元で活動をする市議会議員、とくに子育て支援に熱心な議員に訴えるという手もあります」(東さん)

私立保育園の場合も、自治体+市議会議員への働きかけは有効だとしながらも、「最終的な結論は園の判断となるので、園に要望を伝えることになります」と、東さん。

しかし、子どもを預けている手前、なかなか意見を言いにくいものなのでは……。

「賛同する保護者を集めて、なるべく複数名で訴えること。その際、『まずは、おむつ持ち帰りについて保護者たちのアンケートを取ってほしい』と陳情し、その結果をもとに説得するのがいいですよ」(東さん)

アンケートで多数の保護者が持ち帰りを負担と感じていることがわかれば、園も対応せざるを得なくなるのです。

同会はこのように、おむつの持ち帰り廃止を望む保護者のフォローをしたり、国や自治体への働きかけを続けています。

「コロナ禍をきっかけに、感染対策として持ち帰りをやめ、園廃棄に切り替えた自治体もあります。少しずつですが、保護者と保育者の負担が軽減できているなという実感があります」(東さん)

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同会を運営するBABY JOBは、多岐にわたる子育てサポート事業を行うなかで、「正直なところ、おむつ持ち帰りの問題が保育の課題のなかでの最優先事項だとは思っていない」(東さん)と語ります。

「でも、この問題は保育士と保護者双方の負担が軽減できて、費用がそこまでかからずに改革できる、ハードルの低い課題なんです。

裏を返せば、この問題すら解決できないのなら、子育て施策の何か大きなことを変えていくのは難しい。日々の小さな負担を甘んじて受け入れずに、しっかりと向き合って解決していくことで『子育てが楽しいと思える社会』が実現できればいいなと考えています」(東さん)

次回は、こちらも保護者と保育者の毎日のタスクを減らす、新しいサービス「おむつのサブスク」について。新しいサービスを運営する6社にお話を聞きました。

取材・文/遠藤るりこ

※SDGsで考える「おむつの未来」、連載は全4回。(公開日時までリンク無効)。

#2 保育園で「おむつのサブスク」急増 最新事情を6社に徹底取材!
#3 紙おむつが抱える資源・環境・温暖化問題の解決法! おむつ再生技術が期待されるワケ
#4 紙おむつの捨て方が変わる? 使用済みおむつがリサイクルされる日

取材協力
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」
https://no-mochikaeri.org/

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe