ひとり親家庭の手当・医療費助成・給付金をFPがくわしく分析

離婚後に子どもと家庭を支援してくれる制度とは?子育てを支える制度と手当を確認しよう#3

ひとり親家庭には医療費助成も別途ある

「ひとり親家庭とその子どもを対象に、『ひとり親家庭等医療費助成制度』というものも自治体にて用意されています。主な対象は母子あるいは父子世帯の子どもと母親または父親、父母のいない子どもで、一定の所得額未満の方に助成されています。

子育てを応援する医療制度として『子ども医療費助成制度』もありますが(#2を読む)、こちらは子どもが中学卒業までを対象としている自治体が多いのが特徴です。一方、『ひとり親家庭等医療費助成制度』は、原則として子どもが18歳に達したあとの3月31日まで、つまり高校卒業まで医療費の一部負担がされます。

注意点は保険診療がその範囲なので、入院の際の個室代や予防接種代、歯科の特殊な材料などは助成の対象にならないことと、健康保険組合等から支給される高額療養費等がある場合はその額を差し引いて助成されることです。

また、『子ども医療費助成制度』と『ひとり親家庭等医療費助成制度』は併用ができません。自治体で設定しているそれぞれの制度の内容を比較し、どちらを利用したほうが得か検討することも大切です。

比較検討した上で、例えばお住まいの地域で前者の対象が中学卒業までなら、そこまでは『子ども医療費助成制度』を利用し、高校生になったら『ひとり親家庭等医療費助成制度』を使うという方法も考えられるでしょう」(新井先生)

『ひとり親家庭等医療費助成制度』の所得制限は児童扶養手当に準じる場合が多く見受けられますが、実際にはお住まいの自治体で異なります。また、負担金も自治体でそれぞれです。申請を含めて、いずれの場合も各自治体での相談や確認をする必要があるでしょう。

ほかにもひとり親をサポートしてくれる制度ってある?

そのほか、ひとり親家庭を応援してくれる制度はあるのでしょうか。

「一般のご家庭からご相談を受けていて、実際に利用をサポートしたことがあるのは『母子父子寡婦福祉資金貸付金制度』というものです。

これは20歳未満の子どもを扶養している配偶者のない女性または男性、寡婦(夫と死別、あるいは離婚したあとに結婚をしていない女性)などが利用できる資金の貸付制度です。

申請や問い合わせはお住まいの地域の福祉担当ででき、教育費だけでなく住宅費や親が事業を始めるときの事業開始費などにも利用できます。

また、この制度の特徴は、修学資金や就学支度資金の場合は無利子で、そのほかの資金の場合は保証人がいるときは無利子、保証人がいないときでも低利で融資を受けられることです。

貸付のため償還期間、つまり返済期間はそれぞれの資金で設けられていますが、最長で20年以内というものもあります。

例えば、子どもが中学校や高校、大学などに進学する際には『就学支度資金』が役に立ちます。これは『就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金』なので、進学前の制服や教科書の購入をはじめ、入学金にもあてることができるでしょう。

奨学金も教育面での経済的なサポートにはなりますが、これは学校に入学してから申請・採用されることがほとんどです。従って、入学前に資金が必要な場合は、『母子父子寡婦福祉資金貸付金制度』を検討するのも手です」(新井先生)

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」は資金の種類により限度額があります。  写真:アフロ

子どもを育てるにあたって、親が車の免許取得が必要となった場合は「技能習得資金」が、引っ越しが必要となった場合は「転宅資金」という資金貸付もあります。さまざまな枠があるので、資金が必要となった場合はチェックをしてみるといいでしょう。

貸付されるまでには、最低でも3ヵ月はみておいたほうがいいです。書類を準備したり、現在の経済状況なども踏まえた審査も行われるため、窓口での相談から始まって申請が下りるまでには時間がかかります。実際の相談でも私はそのようにアドバイスしています」(新井先生)

「貸付の申請が下りるまでには相当な日数を要します」とアナウンスしている自治体もあり、急な対応はなかなか難しいようです。教育費や事業開始費などは、必要性が見通せる費用ではあるので、わかっているものは早めの相談が望ましいでしょう。

また、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度には生活資金への貸付もあります。母子あるいは父子世帯になって間もない家庭だけでなく、失業中の生活補給金にもなるので、生活環境が変わる、あるいは不安定になりそうだといったときも検討できます。


子どもと子育てをする家庭にはさまざまな制度が設けられています。施策によって国であったり、自治体であったり、中心となっている機関やそれにより支援の内容が異なりますが、いずれも子どもの成長を応援していることに変わりはありません。

制度は改正されたり、毎年見直されているものもありますが、子どもとその生活の安定のためには随時、目を向けることも大切です。また、シリーズで紹介した以外にもたくさんの種類がありますから、子どもの成長や家族の生活の変化に合わせて、各家庭にふさわしい支援を調べてみてもいいでしょう。

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新井 智美(あらい ともみ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員。福岡大学法学部法律学科卒業。情報通信会社にて会社員をしつつ、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。その後、世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級も取得する。現在は、個人の資産運用から法人の相談まで、幅広くお金の悩みや提案・設計を行っている。


取材・文/梶原知恵

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