「自由進度学習」で子どもも先生も劇変! 広島・公立小・驚きの実例公開

【小学校教育2.0】廿日市市立宮園小学校の挑戦#1「自由進度学習、驚きの効果」

ライター:川崎 ちづる

「子どもたちが自分で手を動かし、体験することにより、知識がより定着し、理解が深まる効果があります。さらに、体験学習の種類によっては、身につけた知識や技能を活用しながら進めていくものもあり、思考力や判断力の育成につながります。

子どもたちはねんどの感触、重さ、匂いなどから学びを深めていきます。  写真提供:宮園小学校

教科書やドリルの練習問題を解いているだけだと、思考力や判断力を伸ばしていくのが難しいんです。体験学習では実感を伴った学びができるため、深い理解や新たな気づき、疑問などが生まれやすく、それらが思考力・判断力を育てていきます。

子どもたちを見ていても、体験することで『生きた学び』を得ていると感じます」(二野宮先生)

劇的に変わった子どもたちの「学ぶ姿勢」

自由進度学習の一般的なメリットとして、自分のペースで進めることができるので待ち時間が少ない、わからなくなったその時に友だちや先生に聞ける、などが挙げられます。こうした点については、宮園小学校でも例外なく効果があったといいます。

しかし、最も大きく変わったのは、「子どもたちの学ぶ姿勢」でした。

「実は、私たち教師は自由進度学習を取り入れる前、本当に子どもたちが自分で学習を進められるのか、少し不安に思っている部分がありました。

でも、実際に始めてみると、とにかく子どもたちの学びと向き合う姿が変わりました。どの子も意欲が高まって、楽しそうに学習しているんです。全員が主体的に授業に取り組んでいます」(二野宮先生)

素材の形を変えると重さは変わるか、実際に確かめながら学習しています。  写真提供:宮園小学校

昨年度3年生の担任だった川口竜彦先生も、当時の印象をこう語ります。
「一斉授業のような『教える』作業をまったくしていないのに、子どもたちは自らの力で学習し、しかも『もっとやりたい』とどんどん学びを前に進めていく。自分のペースで進められる、自分で選択するということが、こんなにも子どもの意欲を引き出すのかと衝撃を受けました」

そして、こんなエピソードも教えてくれました。
「算数の苦手な子にとっては、一人で進める自由進度学習は難しいのではないかと考えて、二人一組で行う『ペア学習』を取り入れました。

ペア学習の様子。友だちと助け合って進めていきます。  写真提供:宮園小学校

2人のうちどちらかは算数が得意な子になるようグループ分けをし、苦手な子がそろってしまった場合は、私がそのグループと一緒に活動してフォローしようと考えていたんです。

でも、授業を始めてみたら、その必要はありませんでした。どのグループも積極的に取り組んでいて、楽しそうに『こっちをやってみよう』とか『あっちはどうかな』といった具合に、すべて自分たちで進めることができました。結局、最後まで私が特定のグループに付いて支援することはなかったんです。

楽しそうにペア学習に取り組む子どもたち。全員が積極的に取り組みました。  写真提供:宮園小学校

それまで算数が苦手そうに見えた子でも、自分のペースで自由に学びを進められると、こんなにも積極的に取り組むんだと、本当に驚きました」(川口先生)

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