「自由進度学習」で子どもも先生も劇変! 広島・公立小・驚きの実例公開

【小学校教育2.0】廿日市市立宮園小学校の挑戦#1「自由進度学習、驚きの効果」

ライター:川崎 ちづる

自由進度学習の様子は、授業参観を行い保護者にも見てもらいました。その後感想を書いてもらいましたが、9割以上の保護者が回答し、その内容はプラス面を評価するものでした。

「子どもたちがとてもよろこんでいる」「自由に学習させてしまうと、子どもたちが真剣に取り組まないのではないかと思っていたが、自由=自分のための学習と捉えて、とても真剣に取り組んでいるのが印象的だった」「机に座って勉強する以上のものが得られるのではないかと思う」

意欲的に学習に取り組む子どもたちの姿。  写真提供:宮園小学校

子どもたちのいきいきとした姿は、保護者の目にもしっかりと焼き付き、「授業や学習のあり方」についての意識を大きく変えたようでした。

「楽しい」が高い平均点につながった!

自由進度学習で学んだ内容は、「学力」として定着しているのでしょうか?

昨年(2021年)度に自由進度学習で取り組んだ学習のテスト結果は、おおむね良好でした。一例として、3年生の算数で、該当部分の平均点を見ると、知識・技能面が91.4点、思考力・判断力・表現力が46.4点(50点満点/100点換算で92.8点)でした。

同じく理科は知識・技能面が96.4点、思考力・判断力・表現力は41.5点(50点満点/100点換算で83点)でした。

強制しなくても子どもたちは真剣に学び、学力も上がりました。  写真提供:宮園小学校

この結果について、川口先生はこう付け加えます。
「もちろん、まだまだ課題はあり、すべてがうまくいっている、というわけではありません。細かい部分は今後も改善の余地があると考えています。ただ、自由進度学習によって子どもたちの自主性が大いに発揮され、楽しんで学んだ結果、学力にも良い影響が出てきていることは確かだと思います」

自分のペースで進めながら、友だちとも助け合える自由進度学習。子どもたちは学びの楽しさを実感しています。  写真提供:宮園小学校

全体の授業のなかではまだ一部の実践ですが、子どもが自ら学びに向かい、学力の向上にもつながっている宮園小学校の自由進度学習。子どもたちは「次はいつ自由進度学習やるの? 」と楽しみにしているといいます。

しかし、最初から「順風満帆」だったわけではありません。このような成果をもたらすまでには、先生方の様々な試行錯誤がありました。

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第2回は、課題に向き合って重ねた改善の具体的内容と、先生たちの意識の変化についてうかがいます。

取材・文 川崎ちづる

※【小学校教育2.0】廿日市市立宮園小学校の挑戦は、全3回。第2回は8月9日、第3回は8月11日公開予定です(公開日までリンク無効)。
#2 話題の「自由進度学習」 判断力と思考力を鍛える「体験的な学び」とは?
#3 「自由進度学習」のさらなる挑戦「複数教科同時進行」「低学年への導入」へ

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。