小学1・2・3年生の「算数」 ここでつまずく! 子どもがわかる算数の解き方・親の教え方 〔元小学校教諭の教育評論家〕が伝授

子どもがすっきりわかる「算数」の解き方・教え方 #2

教育評論家:親野 智可等

2年生 「九九」のマスター術

完全バラバラ九九の見本:コクリコ作成
すべての画像を見る(全5枚)

2年生の算数で最大の難関といえば「九九」でしょう。

九九は、3年生以降のほとんどすべての単元の土台になっています。そのため、順番どおりにいえただけでは不十分。九九でケアレスミスをするなら、今後のためにも、2年生のうちに順不同、かつ瞬時に答えられるように練習が必要です。

子どもが『上がり九九』『下り九九』がスラスラいえない場合は、しっかりと覚えていませんから、表などを見ながら唱え、覚えたら何も見ずにいう練習をしましょう。

次は『段ごとのバラバラ九九』をマスターし、最終的には『完全バラバラ九九』に瞬時に答えられるようにします」(親野先生)

親野先生の九九マスター術

■上がり九九と下り九九
1の段を除いた、2×1~9×9まで、9×9~2×1までを順番に唱える。最初は九九表などを使い、覚えたら何も見ずに行う。

■段ごとのバラバラ九九
単語カードを九九カードに仕立て、表に式、裏に答えを書く。段ごとに上がり九九、下り九九を唱えることができたら、段ごとにランダムに並べて唱える。

■完全バラバラ九九
1の段と各段の×1を除いた、完全に順不同にした九九カードを使って唱えたり、64個の九九をランダムに並べた「完全バラバラ九九」プリントを使って習熟する。

「プリントでの完全バラバラ九九は、何回でもやってみましょう。最終的には1分以内にすべてに答えるなど、時間制限があると子どもははりきって何度でも取り組みます

さらに、子どもは答えを書く順番や位置を覚えていることがあるので、問題は定期的に入れ替えるのもおすすめです」(親野先生)

3年生 アナログ時計が「時刻と時間」の理解を深める

時計の計算問題につまずいている場合は、アナログ時計に慣れ親しむといいでしょう。  写真:maruco/イメージマート

2年生では「時間」「分」を習いますが、3年生ではさらに内容が進んで時刻と時間の計算を習います。低学年で時間の勉強に触れていたとしても、計算問題になることで子どもは混乱します。

「たとえば3年生では、『東京駅を10時09分に出発する新幹線があります。名古屋駅に到着するのは11時45分です。かかる時間は何時間何分ですか?』のような計算問題を勉強します。

時計は60進法と12進法の組み合わせなので、子どもにとっては大変難しい計算です。

時計の計算問題につまずいている場合は、デジタル時計での暮らしに慣れている可能性があるので、アナログ時計で60進法と12進法に慣れ親しみましょう

『パパは11時に家を出発するけれど、あと何分で11時になるでしょうか?』と、日常生活の中でクイズを出してみてください。きっと楽しみながら子どもは時計と時刻を学ぶはずです」(親野先生)

時計は文字盤や長針、短針のデザインが見やすく工夫されていて、何分かを表す数字もはっきりとわかる知育時計がおすすめです

生活に直結することは、暮らしの中で算数を教えることがコツです。子どもは実感を持って学べます。

次回は4・5・6年生がつまずきがちな算数の単元について解説。わり算の筆算、割合、速さの教え方のコツを紹介します。

取材・文/梶原知恵

─◆─◆─◆─◆─◆─◆

◆親野 智可等(おやの ちから)
教育評論家
長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。

【子どもがすっきりわかる「算数」の解き方・教え方】の連載は、全3回。
第1回を読む。
第3回を読む。
※公開日までリンク無効

【関連書籍】

~楽しく学べる人気シリーズ~

この記事の画像をもっと見る(全5枚)

前へ

3/3

次へ

32 件
おやの ちから

親野 智可等

Chikara Oyano
教育評論家

長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。 教育評論家・親野智可等ホームページ 「親力(おやりょく)」

長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。 教育評論家・親野智可等ホームページ 「親力(おやりょく)」

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。