約85%は具体的なあてがない! 保護者170人調査で見えたフリースクールの現状と課題

【アンケート調査】わが子の「第3の居場所」に求める条件と情報不足のリアル

写真:takasu/イメージマート
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「まさかうちの子が……」「信じられない」

わが子が不登校になったとき、親が現実を受け入れられず、どう対応していいか戸惑ってしまう保護者は少なくありません。学校を年間30日以上欠席する「不登校」の児童・生徒は年々増加の一途をたどり、文部科学省の2024年度の調査では、過去最多の35万人を超えました。不登校は決して一部の家庭に起こる他人事の問題ではないのです。

子育てサイト「コクリコ」では、子育てに奔走する保護者の本音を探るべく、「フリースクール」についてのアンケートを実施しました。フリースクールとは、不登校の子が、家庭と学校以外の第3の居場所として過ごす民間の教育施設です。アンケート結果から、常に不登校の問題のそばにいる保護者の等身大の姿が見えてきました。

学校に行けないという、とてつもなく大きな壁に直面してしまったわが子に、どんな言葉をかけ、どんな新たな道を提示できるのか?日頃からの準備と心構えについて考えてみましょう。

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不登校 8割の保護者が「身近な問題」と認識

2026年4月8日から4月12日にかけて実施された今回のアンケートでは、170名の保護者から回答が得られました 。回答者の男女比はおよそ男性1:女性10。年齢層は40代が約50%と最も多く、30代の約36%、50代の約11%と続きます。

子どもの人数は2人が約50%、1人が30%、3人が17%、4人以上が1%。第1子の学年は小学1年から中学3年が約76%、第2子の学年は未就学から小学4年までが半数を占めることから、小中学校に通う子どもを持つ母親が、フリースクールについて高い関心を寄せていることがうかがえます。

まず注目すべきは、わが子が将来不登校になる可能性についての意識調査です。第1子の在籍校(または原籍校)への登校状態を見ると、有効回答数から約8割の子どもが毎日学校に通っていることがわかります。にもかかわらず、第1子の保護者のうち、わが子が将来不登校になる可能性について「考えたことがある」と「少し考えたことがある」が合わせて83%を占めました。これらの2つのデータは、多くの保護者にとって不登校が「決して他人事ではない、身近な問題」と捉えられていることを示しています。

順調に登校できている現状は当たり前ではなく、いつ揺らぐかもしれない危うさを多くの保護者が肌で感じている実態が浮かび上がっています。

不登校への危機感が強まる一方で、「学び」や「居場所」の受け皿となるフリースクールへの理解はどうでしょう。結果からは、「関心度と知識のギャップ」とも言える深刻な「情報不足」が見えてきました。

第1子が不登校になった際、通えそうな施設に「具体的な心当たりがある」と答えた人はわずか約9%。一方で、「探し方や場所など、全く見当がつかない」と回答した人は約47%、さらに「名前を聞いたことがある程度で、具体的な心当たりはない」と回答した人は約38%にのぼります。実に全体の保護者の約85%が、フリースクールについて具体的な情報を見つけられずにいるのです。

多くの保護者が、我が子が仮に不登校になった場合の選択肢としてフリースクールという存在自体は認識しています。しかしながら、「いざというときにわが子をどこに連れていけばいいのか」という具体的なステップでは、思考停止の状態に陥ってしまいます。

さまざまな学校現場に詳しく『フリースクールという選択』(講談社+α新書)という著書もある、教育ジャーナリストのおおたとしまささんは次のようにアドバイスします。

「わが子が学校に行かなくなると、焦りから、少なくない親御さんがある種のパニック状態に陥ります。強引に登校させようとしたり、親御さんのほうが塞ぎ込んで鬱っぽくなってしまったり……。

転ばぬ先の杖として、いざというときに頼れそうなフリースクールにいくつか目星をつけておくと、心に余裕ができのではないでしょうか。その心の余裕がいざというときに、子どもだけでなく親自身のことも守ってくれると思います。

『うちの子もいつか学校に行けなくなるんじゃないか』とビクビクするのではなく、『学校に行かなくても大丈夫な道がある』と知るために、塾や習い事について調べるのと同様に、家の近くのフリースクールについて、軽く下調べしておくとよいのではないでしょうか」

保護者が切実に求める5つの「核心的」情報

では、保護者はフリースクールについて、どのような情報を具体的に求めているのでしょうか。アンケートでは複数回答で「知りたいこと」を尋ねました。結果から見えてきたのは、切実な悩みの優先順位です。

最も多くの回答が集まったのは「その後の進路」「活動・学習内容」の二項目で、いずれも約84%保護者が選択しました。

「学びが将来にどうつながるのか」という出口戦略や、「学校に行かない代わりに何を学び、家庭にはないどんな刺激を受けられるのか」といった点は、親として最も気になる部分です。ただ過ごすだけでなく、子どもの好奇心や才能をどう伸ばしてくれるのか、そのプログラムの内容と質が問われています。

続いて多かったのが「料金」の約78%です。公的補助がまだ十分ではないフリースクールにおいて、月々の授業料は家計に直結する大きな問題です。経済的な理由により子どもの望みある選択肢を諦めたくないというのが親心です。

3番目は「先生・スタッフの質」の約70%。不登校に直面する子どもは、心に傷を負っている場合が少なくありません。子どもの心に寄り添い、信頼関係を築ける専門家がいるかどうかは、施設選びの決定打となります。

さらに「原籍校での出席扱い・成績評価」の約58%が続きます。将来の進路への不安のみならず、「現在の学校との関係をどう維持するか」という足元の制度面についても、多くの親が切実な関心を持って注視していることがわかります。

この結果について前出の教育ジャーナリストおおたとしまささんは次のように分析します。

「具体的なフリースクールに心当たりがない保護者の関心の1位が『活動・学習内容』というのはある意味象徴的です。拙著『フリースクールという選択』(講談社+α新書)に、次のようなくだりがあります。わが子が不登校になり、自らフリースクールを立ち上げた女性の話です。

『学校の先生も「フリースクールで国語、算数、やってますか?」なんて言ったりしますけど、「いいえ、先生、まず生きるか死ぬかです」という状況です。私自身、子どもが不登校になったときは、社会からの排斥感とか、敗北感とか、挫折感みたいなものをものすごく感じたし、一夜にして社会的マイノリティーになる苦しみを味わいました』

また、自身も不登校を経験し、現在はさまざまなフリースクールの現場にかかわる女性は次のように証言します。

『その子どもが心から信頼できるひとに出会えれば、もうフリースクールとかオルタナティブスクールはそこでよくって。どんな教育法かとか、どんな場だとかは、どうでもいい。その子にとって百パーセント信じられるひとがいるフリースクールが、その子にとっての最善解なんだと、私は最近思ってます』

どんな学習をするのかよりも、大人や社会に対する信頼を回復し、子どもが自らを取り戻す足がかりとしての意味合いがまずは大きいというのです。これは、いざその立場になってみないと想像が難しいことでしょう」

フリースクールは学校の代わりではない、第3の「居場所」

アンケートの中には、すでに困難を乗り越えた、あるいは現在進行形で前向きに取り組んでいる方からの貴重な意見もありました。

「すでに不登校を経験していて、フリースクールに通っていた。今も関わりがあるので、何かあったときはいつも助けていただいている(30代女性)」

この言葉には、フリースクールが単なる「学校の代わり」ではなく、家族全員の「伴走者」となり得る存在であることが伝わってきます。親だけで不登校問題を抱え込まず、第3の居場所を持つことで、親子関係が劇的に改善されるケースも少なくありません。

一方で、「フリースクールから通常の学校に戻れるのか」「学校の扱いとは完全に別なのか」といった、システムへの不慣れさを隠せない声もありました。こうした声こそが、今の日本の教育制度が抱える構造的な問題を端的に象徴していると言えます。

今回の170名への調査は、多くの保護者が「学校一辺倒ではない、多様な学びの場」や「子どもの居場所」を、切実に探し求めている姿勢を浮き彫りにしました。

不登校の原因は決して、子どもの「甘え」でも、親の「教育不足」でもありません。既存の学校という枠組みに、子どもがたまたまフィットしなかっただけなのです。そんな中で、フリースクールは、学校に行けない子のための「避難所」としてだけではなく、自分らしく、自分のペースで学ぶための「積極的な選択肢」へと進化しています。その選択肢を一つでも多く持っておくことは、親の心にゆとりを生み、結果として子どもを追い詰めない、温かな家庭環境を保つことにつながるでしょう。

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