
「不登校」の子が自ら動き出す親の見守り方 教育現場を“観察”し続けた識者が見つけた「選択肢」
「おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)✕辻田寛明(ワオフル代表)」特別対談 後編 (3/3) 1ページ目に戻る
2026.07.07
おおた:人間って本来、自然と足を踏み出す力を持っていると思うんです。大人もそうだし、子どもならなおさら。自ら踏み出せるし、それでちゃんと道ができるのに、「学校が正しい道」といわれると、それ以外に踏み出したくても否定されるから動けなくなってしまう。
でも、「自分はこのままでいいんだ」「周りの人は自分を認めてくれる」という安心感があれば、おのずと道は開けます。
辻田:「おのずと道はある」という言葉は、非常に勇気をもらえます。
おおた:不登校の渦中にいて、なかなかいいフリースクールや居場所が見つからないと、私の選択肢はどこにあるのかって苦しくなっちゃうと思うんですけど、それは外に答えを求めようとしているからなんじゃないかなって思うんですね。
お子さんの中に答えは絶対あるはずです。それがオモテにポッと出てくるためには安心感みたいなものがすごく必要。自己肯定感といってもいいですが、もっとシンプルに「自分は自分でいい」と胸を張れる安心感があれば、選択肢は自然と見えてくる。
「そのままでいい、間違ってもダメでもいい」と応援してくれる人がいる、誰も文句言わない、そんな安心感に満ちたら、これやってみようって意欲が湧いてくる。それが人間の基本構造なんじゃないかな。
これまでいろんな学校や教育現場を取材してきた中で、すぐれた教育者だなって思う方々は、ほぼ同じようなことをおっしゃいます。これはたぶん間違いない答えなんじゃないかなっていうのが、僕の『シートン動物記』的な観察から得られた結論です。
不登校から大企業の社長になりましたとか、キラキラした成功談や武勇伝はいらないんです。地味で些細なところにある幸せや、自分が“まあまあ”普通だと思える暮らしができていれば、それでいいじゃないですか。身近にある幸せに気づける人間に育ってくれれば、それで大成功だと僕は思います。
辻田:おおたさんの本(『フリースクールという選択』)は僕も本当に勉強になりました。お守りにしたい一冊でもあります。
本の中で僕が運営しているオンラインフリースクール「夢中カレッジ」も紹介されましたが、僕らがオンラインにしているのには理由があります。オンラインだからこそ参加できる子どもたちがいるからです。
おおた:そうですね。学校に行かなくなり、家にいる時間が長くなると、外に出るハードルは非常に高くなります。その状態でリアルのフリースクールを見学して回るのは、親子ともにとても難しい。その間、親御さんもすごく不安になると思うんですね。
そういうとき部屋からつながるオンラインフリースクールがあると、すごくハードルを下げてくれます。オンラインだとしても、子どもが誰かとつながる第一歩になるし、親御さんもスタッフやほかの保護者とつながることができて孤独じゃなくなるし安心感につながる。それがオンラインの存在価値なんじゃないかな。
そのうちリアルなスクールに行くようになったとしても、またちょっと出るのが億劫になったときに、じゃあしばらくオンラインでちょっとエネルギー充電し直そう、とかね。
階段を一気に登るのではなく、0.5段分の足場として、オンラインフリースクールは機能するなって、今回いくつものオンラインフリースクールの取材をして分かりました。
辻田:はい、次の一歩に進む1つの選択肢として、オンラインフリースクールもあると知ってもらえるとよいかなと。
おおた:いつでも戻ってこられるしね。
辻田:そうです。いろいろな形で受け入れられたりもするので。
おおた:一歩を踏み出すといいましたが、そのタイミングは子どもによって違います。親があせってタイミングが来る前にガチャガチャ動いても、余計に子どもを傷つけるだけになってしまうことがあります。
その子にとってのタイミングを一緒に待つ。待ってくれていること自体が、子どもにとって最大の安心感につながるはずです。
※2026年6月2日オンライン開催 「おおたとしまさ✕辻田寛明」特別対談より一部抜粋して構成
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おおたとしまさ
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。