「不登校の子ども」の親へ 鴻上尚史が助言 我が子が「学校に行きたくない」と言ったらどうすればよいのか?

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#8‐3 作家・演出家の鴻上尚史さん~親の役割~

作家・演出家:鴻上 尚史

劇作家・演出家の鴻上尚史さん。1981年に初演の「朝日のような夕日をつれて」は1987年に紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞。2024年8・9月は、『朝日のような夕日をつれて2024』が上演された。  写真:日下部真紀
すべての画像を見る(全3枚)

近年、不登校児が増加すると同時に増えているのが「不安な親」です。「学校に行けない」我が子をどう見守ればいいのか。「行きたくない」と言う子どもの声にどう返事するべきなのか。

スムーズに通学するよその子がうらやましく見えたり、夫婦で意見が合わずバトルになったり……、先が見えない毎日に「無理やり学校へ行かせないほうがいいとは聞くけど、じゃあどうすればいいんだよ!」と、不安と焦燥感でいっぱいになることも。

今の10代に向けて生きるヒントを記した本『君はどう生きるか』を上梓した、作家で演出家の鴻上尚史さんに、親の腹のくくり方を聞きました。

※3回目/全4回(#1#2#4を読む)公開日までリンク無効

●鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)PROFILE
作家・演出家。1958年愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1981年に劇団「第三舞台」を旗揚げ以降、数多くの作・演出を手がける。紀伊國屋演劇賞、岸田國士戯曲賞、読売文学賞戯曲・シナリオ賞など受賞。エッセイスト、小説家、テレビ番組司会、俳優、映画監督、ラジオ・パーソナリティなど幅広く活動。『君はどう生きるか』(講談社)ほか、著書多数。

親が子どもをさらに苦しめるのはやめよう

これは何度でも繰り返し強調したいんですけど、学校に行けないことが人生の失敗につながるなんてことはまったくありません。不登校になったら将来にわたって社会的に失敗するなんてことはぜんぜんありません。

親御さんとしては、我が子が「学校に行きたくない」と言い出したり、実際に行けなくなったりしたら、大きなショックを受けるでしょう。その子ごとに原因や理由はさまざまでしょうけど、とにかく本人は今、そうせざるを得ない状況にあるんです。

何はさておき、我が子の切実な訴えを受け止めてあげてください。話を聞いてあげてください。

ひと昔前は、首に縄をつけても学校に行かせるのが「親の愛情」という考え方がありました。学校の側も「学校に来させることをめざすのが大前提」だった。今はまったく違います。無理に行かせても、いいことなんてない。文部科学省も7年前(2017年)に、不登校の児童生徒に対して「登校だけを目標にしない」という基本方針を発表しました。

学校に行けない、行きたくない我が子は、とても苦しんでいます。そんな我が子にとっていちばん大事なことは何か。

次のページへ 鴻上さんが「親のいちばん大事なこと」を指摘
18 件