
「不登校30万人時代」の新たな選択肢【学びの多様化学校】300校構想 フリースクールと何が違う? 〔専門家が解説〕
不登校の子の新たな学びの選択肢「学びの多様化学校」 #1
2025.09.13
小・中学校における不登校児童生徒は過去最多
──現在、小・中学校における不登校の児童生徒は34万人を超え、過去最多を更新し続けています。小学校では全体の2.1%、中学校では6.7%の子どもが不登校になっているようです※。背景にはどんなことが考えられるのでしょうか?
※令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
伊藤美奈子先生(以下、伊藤先生):要因は多岐にわたると思います。一つ、コロナ禍による影響は大きいでしょう。行事がなくなり、マスクの着用や給食の黙食などによってコミュニケーションが制限されてしまったことで、学校にいくモチベーションが低下したことが考えられます。
しかし、コロナ以前から不登校は増加傾向にありましたし、コロナ終息後も増えています。一言で「不登校」といっても、いじめ、虐待、LGBTQ、貧困、発達障害など、さまざまな問題が取り込まれているんですね。ここ10年くらいで、子どもたちの置かれている状況がどんどんいきづらくなっているのでしょう。社会全体の課題やしんどさが、不登校と密接に関連しているのを感じます。

学びの多様化学校は3タイプある
──不登校の児童・生徒のための「不登校特例校」として誕生した「学びの多様化学校」ですが、どのような学校なのでしょうか。
伊藤先生:「学びの多様化学校」の設置形態は、新たに独立して設置される「本校型」、母体となる学校とは別の場所に設置される「分校型」、学校の空き教室などを使って設置される「分教室型」があります。ちなみに都市部は、設置のハードルが低い分教室型が多いようです。
学びの多様化学校の大きな特徴は、学習内容や時間数など従来はガッチリ決められていた教育課程を、生徒の実態に合わせて学校が緩やかに設定できることです。
例えば、少人数制で、朝がつらいというお子さんに合わせて始業時間を遅くし、全体の時間数も減らす学校もあります。また、地域について学ぶなどオリジナルの科目を新設したり、学年ではなく到達度別で授業を行うなど、学校ごとにいろいろな工夫をしています。
評価も、従来どおり中間や期末テストで行っている学校もあれば、活動そのものを点数化したり、ボランティア活動を単位として認めている学校もあります。