大阪市が直面した不登校率の高さ
── まずは、心和中学校が設立に至った経緯をお聞かせください。
盛岡栄市校長先生(以下、盛岡先生):大阪市の中学校の不登校率が、全国と大阪府平均と比べて非常に高かったこと。また、市内の夜間学級4校のうち2校が、校舎の老朽化と生徒の減少という2つの課題を抱えていました。
この課題を同時に解決する策を考えていろいろ調べたとき、京都府にある「京都市立洛友中学校」が、「学びの多様化学校」と「夜間部」の両方を持つ学校として大変評価されていることを知りました。そこで洛友中学校をモデルにさせていただきました。
そうして、2024年度に大阪市で初めて開校した夜間部を併設した「学びの多様化学校」として「心和中学校」を開校することになりました。
生徒の学びを取り戻すための試行錯誤
──心和中学校の教育課程における特徴は何ですか?
盛岡先生:5教科については、他校より週1時間ずつ少なく設定しています。逆に言うと、総合的な学習の時間を増やしています。
子どもによって不登校になった時期はそれぞれです。小学校の低学年という子もいるし、中学2年生になってから不登校になったという子もいる。そのため、学力でいうと相当な差があります。それを補うために学習時間を設けて、学び直しの中で学力を取り戻していこうという試みです。
──総合的な学習では、具体的にどのような授業を行っているのでしょうか。
盛岡先生:最初は自由進度での自学自習を試したのですが、学ぶ習慣のない生徒にはなかなか難しく。次に教師が設定した講座から、生徒が選ぶ形式に切り替えましたが、学力向上への直結は難しいと感じました。
現在は、探求学習に力を入れています。教科を横断的に学習することによって、学習に向かう姿勢が良くなり、学習の仕方を覚えるという意味では、一定の効果がでているように思います。
例えば、1年目はドローン操縦、2年目はストレッチポールを使ったピラティス、3年目の今年2026年は、色鉛筆を使った立体絵画を実施。実際にプロのアーティストを招いて実技指導を行います。
内容は教師主導で内容を決めていますが、今後は生徒の意見をどう反映させていくかが課題ですね。
子どもたちが自ら動き出す探求学習とは
──探求学習を進める中で、印象的だった出来事はありますか?
盛岡先生:昨年、ゲームイベント企画班と究極のレモネード作成班に分けた縦割りの探究活動を行いました。
ゲームイベント企画は自分たちでゲームをするのではなく、土曜参観に来た保護者や兄弟にゲームを体験してもらうというものです。
盛岡先生:究極のレモネード班は、配合や味、儲けまでを考えてレモネードを作るというもの。子どもたちは2ヵ月間、いろいろ研究しながら頑張って準備しました。どの子もとても積極的に活動していましたね。
──このような経験から、自信を取り戻すといった生徒も見受けられましたか?
盛岡先生:そうですね。実際、ゲーム企画班でほとんど登校できない生徒がいましたが、でもそのときだけは、午前中から登校して点検作業をしたり、とても意欲的でした。
その後また学校には来なくなってしまったのですが、実は学校の近くにゲームイベント企画でお世話になった「eスタジアム」というeスポーツの拠点があり、まずそこに通ってみることを提案しました。
すると、大人に混じっていろんな体験をしたり、話を聞いたりするうちに今年26年1月から「eスタジアム」に週2回通うようになったのです。さらに4月からは、学校にも来るようになりました。
































