【子どもとGIGAスクール】未就学児〜小中高等学校 インターネットやデジタル端末の安全な使い方

「GIGAスクール構想」子どもと親の向き合い方|専門家の「わかりやすい解説」

写真:アフロ

GIGAスクール構想とは?

GIGAスクール構想とは、文部科学省が推進する教育改革構想のことです。具体的には、小中高等学校などで児童生徒一人ひとりにICT端末(PCやタブレットなど)を配布し、各自がそれを活用できるようにしていきます。

GIGAスクール構想では、2023年度までに一人一台の端末配布を完了し、同時に小中学校に高速大容量の校内LANを整備、さらにクラウドも活用することになっています。

一方、子どもたちが自分の端末を持つことについては、保護者の一部から不安の声が上がっているのも事実です。また、学校の先生たちの間でも試行錯誤が続いています。

この記事ではICTを活用した教育の専門家のアドバイスを中心に、これまでコクリコで取材してきたGIGAスクール構想関連の現状を振り返っていきます。

GIGAスクール時代を生き抜く!未就学児のインターネットの歩き方

子どもたち一人ひとりにデジタル端末が配られるGIGAスクール構想。ICT機器やインターネットの使い方をめぐり不安を持つ保護者も少なくありませんが、教育学者で国際大学GLOCOM主幹研究員の豊福晋平先生は「折りたたみナイフのヒゴノカミ(肥後守)」と一緒」と語ります。

つまり「とても便利なものだけれども、使い方を間違うとあぶない」ということです。

「ICT機器を子どもに渡すときも、これと同じでいいと思います。リスクはちゃんと教えて、でも、必要以上に怖がらせる必要はありません」(豊福先生)

知らない人に声をかけられても応答しないこと。個人情報やお金のやりとりはしないこと。入っていい場所、いけない場所があること。危険を感じたとき、判断ができないときはすぐに大人を呼ぶこと。幼少期なら、このあたりから教えていくのがいいでしょう。

豊福先生は、フィルター規制や使用制限といった基本的な対策も必要ですが、ただ制限するのではなく「きちんと理由を説明して、納得させること」がじつは大切だといいます。

それはいったい何故でしょうか。

GIGAスクールに準備せよ!幼児期からのICT教育はじめの一歩

就学前の幼少期の子どもを持つ親にとって、どのタイミングで「本物のICT機器」に触れさせるかは悩みの種です。ただ、親がスマホやPCを使っている家庭なら、子どもがそれを欲しがる可能性が高くなって当然です。豊福先生は「忌避するのではなく、ポジティブにとらえた上で、リスクコントロールする方が現実的」と語ります。

タブレットで絵を描く、写真を撮る、動画を作るなど、アナログでは難しかったり手間がかかったりすることも、気軽に試行錯誤できるのがデジタルの強みといえます。アナログでもデジタルでも「子どもにとっては同じ経験」です。子どもの可能性を広げるツールとして、積極的にデジタルを活用することを豊福先生は提案しています。

一方、GIGAスクール構想に先行して始まった「プログラミング必修化」を受けてプログラミング教室が注目されていますが、豊福先生の意見は「好きでもないのにプログラミング教室に通わせる必要はない」というもの。まず親がやるべきことは「環境を整えてあげること」だと言います。

では、具体的にどのような環境を整えてあげればいいのでしょうか。

祝GIGAスクール元年!コロナ禍で加速したニューノーマルな学校生活とは

豊福先生によると、日本の教育情報化は世界でも「最底辺」だと言います。

2009年と2018年の「校内外のICT学習活用度スコア」を比較すると、諸外国の教育情報化が大きく進んだのに対し、日本はほとんど進歩していません。

原因のひとつと考えられるのが、日本の学校が「デジタルを“危険なもの”」と認識し、「年に数回だけ、先生の監視下で使わせる“教具”」と見なしてきたことです。タブレット端末は特別なものではなく、えんぴつやノートと同じように「子どもたちが主体的に使える“文具”にしていかなければならない」と豊福先生は話します。

現代の子どもたちが生きているのは、将来が予測不能な情報社会。20年後、子どもたちが社会に出たときに必要な職能を身に付けるためにも、ICTスキルを身に付けておくことは重要です。

では、海外で暮らす小学生はどのようなICT教育を受けているのでしょうか。

米国マサチューセッツ州ボストンは子ども向けプログラミングソフト「Scratch」を開発したマサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめ、多くの名門大学がある学園都市です。ここボストンで暮らす小学4年生の保護者を取材しました。​

教師の残業100時間!子どもの教育の質を左右する「危機的な実態」を専門家が解説

一方で、GIGAスクール構想が学校の先生たちに与えている負担も無視できません。文部科学省が2022年に公表した勤務実態調査によると、1ヵ月あたりの残業時間は小学校の先生で平均82時間、中学校では平均100時間にも及んでいます。

先生たちの勤務時間が多い理由として、「業務が多すぎる」ということがあげられます。授業の準備に加え、保護者対応やいじめ・不登校への対応など、仕事は増える一方です。業務を効率化するためにICT活用が推進されているものの、そのスキルを身につけるために「新たな学びが必要」になっています。

現場の先生たちからは「ICT活用など本来教員が請け負うべきでないものは専門の人材を雇ってほしい」「気持ちに余裕がなくなり、本来とるべき対応がとれなくなる」などの声が上がっていました。

教員の過重労働問題に詳しい内田良教授(名古屋大学)によれば、先生たちの働き方や処遇、働きがいを巡る議論は、決して教育界だけで考えることではなく、社会全体で議論すべきことだと言います。

あなたなら保護者として、この現状をどう考えますか?

超快適! ランドセルの“買い足し”便利グッズ8選 重さ軽減からPC対応まで

最後にちょっと視点を変えて、GIGAスクール構想に対応する「グッズ」に注目してみましょう。GIGAスクール構想では児童生徒一人に一台の学習用端末が配布されるため、子どもたちの荷物はどうしても重くなってしまいます。

そこに目を付けたのが、ランドセル用スティックキャリーの『さんぽセル』です。本体はコンパクトで軽いスティック状ですが、ランドセルを「いつでもキャリーケースに返信させる」優れもの。

ほかにもランドセル用の補助バッグや、PCを収納できるランドセルカバー、ランドセルの中で使うPCケースなど、この時代の小学生に必須の便利グッズをチェックしてみてください。

GIGAスクール時代と子どもたち まとめ

GIOGAスクールは、子どもたち一人ひとりが情報化社会に必要な知識とスキルを身につけるための画期的な構想です。ですが、これまでICT端末にあまり触れてこなかった親や端末を特殊な教具と見なしてきた教員たちも、子どもたちやICT端末との新たな向き合い方を身に付けなくてはなりません。

教育情報化のプロが語るヒントやアドバイスを参考に、GIGAスクール構想の理念を最大限に生かしていきましょう。