2025年中学入試ふりかえり「国語物語文」にはこれが出た!素材文に選ばれる作品の特徴と注目の出題作を紹介〔中学受験の専門家が解説〕

200校400題の入試問題を大解剖! これからおさえておくべき本を首都圏中学受験塾・教室長が回答

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新傾向!? かなり珍しい出題

少し前の本ですが物語文でも論説文でもない本が入試に出題されたので紹介しておきます。

すとうけんたろう『5文字で四字熟語』が、今年付属校人気で話題の立教池袋で素材文として出題されました。おもしろい問題なので紹介しておきます。(2025年立教池袋1より一部抜粋)

受験生が実際に入試問題を解いたときに緊張がほぐれてほっこりしたはずです。続きが気になる方はぜひ手に取ってみてください。

五.『5文字で四字熟語』(著・イラスト すとうけんたろう)から選んだ四字熟語とその説明です。この本には「5文字のかんたんな言葉をつかって、四字熟語の意味がざっくりわかるようにしてみた」と書いてあります。

(二)絶体絶命→超大□□□
3つの□にカタカナを入れなさい。

(三)9.大器晩成の説明はどれですか。
イ そいつだけ   ロ 今後に期待   ハ ふいに本題
ニ みんな違う   ホ 超わがまま   ヘ マジうける
卜 今時それか

『5文字で四字熟語』 すとうけんたろう 講談社 2022年6月1日刊
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『5文字で四字熟語』より、入試素材部分を抜粋

──「たとえば、よく耳にする四字熟語を5文字であらわすと……? 意気消沈→『もうダメだ』 紆余曲折→『色々あった』 危機一髪→『超あぶない』 言語道断→『話にならん』 阿鼻叫喚→『うわひどい』 付和雷同→『イエスマン』 岡目八目→『野次馬目線』 一気呵成→『ぶっとおし』」(『5文字で四字熟語』より)

かなり珍しいですね。語句に苦手意識を持っている人にとっても読みやすいのでぜひおすすめします。私は同シリーズの『5文字で百人一首』も愛読しています。

論説文の最多出題作品はこちら

最後に論説文です。出版社別で見ると圧倒的にちくまプリマー新書が多いです(のべ65校)。論説文はなかなか手に取りづらいですが、模試で出題された素材文で、ちくまプリマー新書のものだけでも読んでみるのはどうでしょうか。

中屋敷均『わからない世界と向き合うために』は、愛光、鷗友学園女子2、晃華学園、市川1、大妻多摩1、共立女子1、昭和学院秀英1、高輪A、桐蔭学園1、日本大学A1、富士見3、茗溪学園2、山脇学園A、横浜共立学園A、立教女学院、甲陽学院、神奈川学園Cの計17校で出題されています。

これは昨年の『増えるものたちの進化生物学』よりもかなり多く感じます。愛光、市川と続いたところで生徒に紹介をしたら、購入して読んでくれた子もいました。読む気になれば2時間あれば読めます。

直前期にすすめたこれらの本を手に取って読んだ子、時間がない中でも1点を取ろうと動いた子は合格しています。これだけ多くの学校の先生が選ぶ本ですからぜひ手に取って読んでみてください。

『わからない世界と向き合うために』 中屋敷均 ちくまプリマー新書 2024年2月8日刊

──「しかし、現実の世界を生きていくということは、実はそんなものではない。どんな選択をしてもそれに伴うリスクが必ず存在し、現実の問題の多くには、そもそも絶対正しい『正解』なんてない」(『わからない世界と向き合うために』より、入試素材文を抜粋)

入試の合否以上に人生に影響を与える「読書」

はじめは「入試や模試に出るかもしれないから」と作品を読み始めた子どもたちも、入試を終えるころになると、読書が習慣になっています。

入試を通して身についた読書の習慣は一生の財産です。もしかしたら入試の合否以上に人生に影響を与えることになるかもしれません。

本のおもしろさに気づいた人は入試が終わっても今年の注目の本を読んでいるそうです。みなさんもそんな先輩に続けるように一冊手に取ってみてください。中学受験生活、そして人生をプラスの方向に少しずつでいいので変えていきましょう。読書にはその力があると信じています。

写真:アフロ
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アキラ

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大手進学塾 現役教室長

学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2023年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 X(旧Twitter):@AArukikata

学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2023年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 X(旧Twitter):@AArukikata