こんな本屋さんがあったらいいなと二人で話しているうちに、できてしまいました--それが、「さちこ&くみこの空想書店」!
・空想だから、いまは買えなくなってしまった本もときどき登場します。(図書館や古本やさん、おじいちゃん、おばあちゃんの家でさがしてみてね)
・空想だから、二人のほんとうのお気に入りだけを置いてあります。
・空想だから、いつでもオープンしています。
児童館にある文庫でクリスマス会を催すとき、子どもたちに何を伝えたらいいのか考えました。
ケーキやプレゼントが主流になっている日本のクリスマス。『クリスマスって何?』という疑問がわき、クリスマスの本を何十冊と読んでいくうち、翻訳のクリスマス本の中から美しく厳かで心に響くものをたくさん見つけました。
好きになった本はたくさんありましたが、『クリスマス物語集』中村妙子/編訳(偕成社)は私にとって大切な1冊です。
そして、クリスマス絵本を家庭でも書店でも大きくコーナーを設けて扱うようになり、人としての大切な心の部分をクリスマス絵本を通して手渡せたらと思いました。
中に世界各地で読み継がれたお話が14話が入っています。
キリスト生誕の話など聖書の話・世界の民話・実話・サンタクロースの話などです。クリスマス前までに毎日1話ずつ子どもに読むのもいいですね。読んであげたら3、4歳から聞くことができると思います。
この本を読むと、『クリスマスって何?』が自分なりに見えてきました。
この本の最後のお話『サンタクロースっているんでしょうか?』は、同じく偕成社から絵本にもなっています。
サンタクロースは本当にいるの?と新聞社に手紙を書いた8歳のバージニアに素晴らしい返信がありました。
「サンタクロースは本当にいるの?」と疑問を持っている子にいいのですが、そうでなくても記者からの言葉は大切なことが書かれ、大人の私にも響くものがありました。
絵本だとひとりで読めて、年齢幅がひろがると思います。それに、絵がとても美しいです。
そのバージニアがどんな大人になっていったかは、『サンタの友だちバージニア』(偕成社)に書かれています。
お母さんが子どものころ、クリスマスにおじいちゃんからもらった手紙を家族と読む。
そんな独自のクリスマスに心が温まる絵本です。
大工のおじいさんは村人に住みごこちのいい家を建ててきました。そして、ようやく自分の家、おじいさんが思い描く家をつくることになりました。
森にいたひとりぼっちのトナカイの子とも仲良くなりました。村人も手伝いに来てくれました。
おじいさんは森の奥にプレゼントを作り、その村人に見せます。
人と人のつながりが温かく流れるお話です。
お腹がぺこぺこのうさぎは雪の中出ていきました。
すると、雪の中に人参が2本落ちていました。1本食べるとお腹いっぱいになり、1本をろばさんにあげることにしました。
ろばさんが留守だったので置いて帰りました。ろばさんは外でジャガイモを一袋見つけて帰ってくると人参を見ました。ジャガイモを食べながら、人参は羊さんにあげようと出かけます。
そうやって、雪の降る日に次々に人参が他の動物へ渡されていきます。
人のことも気にとめるという忘れかけたこの思いに懐かしさと安らぎを感じました。
最後に、前回のさちこさんからの質問、
”冬の季節の中で好きな瞬間(景色でも)を教えてください。”
にお答えしますね。
私は九州で育ったので雪がたくさんある風景はなかなか見たことがありませんでした。
旅先で木に積もった雪、木の根っこから溶けていく雪、動物の足跡がついた雪、降り積もった雪がバスの高さ以上にある雪の一つ一つに感動しました。
雪国での生活は大変でしょうが、景色は美しいなあと思いました。
さちこさん、教えて!
あまりのおいしさに驚いた食べ物はありますか?
くみこより
おたのしみに!
市川 久美子
1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ、語り、ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館、中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆、講演を行う。 犬が好きで、現在も愛犬と生活。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。
1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ、語り、ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館、中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆、講演を行う。 犬が好きで、現在も愛犬と生活。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。