ダメだとわかっているけど…「わが子とほかの子を比べてしまうとき」におすすめの絵本

大人に効く絵本〔11〕『ぼくだけのこと』『ぞうのエルマー』『あなたのすてきなところはね』がおすすめ

東條 知美

レジリエンスを絵本で育む

最後にご紹介するのは、『あなたのすてきなところはね』(作・玉置永吉、絵:えがしらみちこ)です。わが子のすてきなところを「あなたのすてきなところはね」と、繰り返す構成になっています。

「あなたの すてきな ところはね おひさま みたいな ぽかぽかの えがお。」

「あなたの すてきな ところはね ふりつもる ゆきのような すなおな こころ。」


お子さんと一緒に、ぜひ声に出して読んでいただきたいですね。絵本じゃなかったら、こんなに美しい言葉で、わが子に向かって「大好き」「すてき」と言葉にするのはなかなか難しいもの。

でも、こうして繰り返し言われたら、子どもだって絶対に悪い気はしません。さらに、声に出すことによって、目の前のわが子だけでなく自分の耳にもしっかりと響き、言い聞かせる効果があります。

「あなたが きょう ここにいる っていうこと。ほかには なんにも なくたって、ほんとに ほんとに すごいんだから。」

心の深いところへ届けたいメッセージです。
――「わが子は宝物」という思いはたしかにあるのに、疲れたり、イライラしたりしていると、つい忘れがちです。声に出せば、改めて自分の気持ちを確認できますね。

こうした“すてきな呪文”は、自己暗示の効果もあるでしょう。

近年、教育の世界では<レジリエンス>という言葉が注目されています。これは心理学の用語で、逆境や困難など、強いストレスに直面したときの耐性や抗力、立ち直る力のことです。<鋼のような強さ>ではなく、<しなやかな竹のような強さ>を意味します。

今回ご紹介した3冊は、すべて<レジリエンスを育む絵本>といってよいと思います。自分らしさが周囲にもたらすものを、親も子ども自身も理解して認める。絵本の文章を呪文のように唱えながら、親子でレジリエンスを育んでみてはいかがでしょうか?
あなたには、こんなにすてなところがある! わが子が自分自身を好きになるたくさんのメッセージが詰まった絵本『あなたのすてきなところはね』(作・玉置永吉、絵:えがしらみちこ/角川書店)。
取材・文/星野早百合
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とうじょう ともみ

東條 知美

絵本コーディネーター

絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原三郎氏(児童文学研究者)、角野栄子氏(児童文学作家)らに師事。卒業後、メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校などの勤務を経て、絵本コーディネーターに。 絵本を題材に各地で講演、イベントを行うほか、執筆活動、保育士や図書館司書を対象とした研修などを手掛ける。コンセプトは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」 公式サイト  https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon Instagram @tomomitojo Twitter @TOMOMIT

絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原三郎氏(児童文学研究者)、角野栄子氏(児童文学作家)らに師事。卒業後、メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校などの勤務を経て、絵本コーディネーターに。 絵本を題材に各地で講演、イベントを行うほか、執筆活動、保育士や図書館司書を対象とした研修などを手掛ける。コンセプトは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」 公式サイト  https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon Instagram @tomomitojo Twitter @TOMOMIT