なかを見れば、確かにだれもが驚くスゴい迫力! はじめて見る不思議な生き物や、だれもが知っているシロナガスクジラなどが目の前にいるかのように描かれています。
この絵を手がけたのは、小田隆氏。だれも見たことがない(化石なんですから当たり前)生き物を「リアルに」描くという難題に挑む、古生物復元画家です。
このスゴい絵をひとりでも多くの人にお見せしたい! とお願いしたところ、ご快諾いただきました。
5000万年のクジラの進化の旅をたっぷりお楽しみください!
*全ページ公開は、2022年9月4日23時59分で終了いたしました。ご覧いただきありがとうございました。
古生物復元画家 小田隆氏からのメッセージ
これまで多くの古生物の復元画を描いてきましたが、それらを観察して描くことは不可能です。化石でしか残っていない生物の姿を、研究者とともに科学的に復元する作業は楽しいですが、どこまでいっても正解のない世界です。
今回の『クジラの進化』にも数多くの化石種が登場します。現代のクジラを知っている私たちにとっては、それほど大きな違いを感じないかもしれませんが、地上を歩いていた種や水辺と陸地を行き来していた種など、今のクジラたちとは全く違う生態を持ったクジラの祖先たちの姿を想像することはとても難しいと思います。
では現代のクジラたちの形態や生態を、私たちはどれほどわかっているのでしょうか?
この本でも深海でダイオウイカを捕食するマッコウクジラや、オキアミの群れを飲み込むシロナガスクジラの姿が描かれています。マッコウクジラは光が全く届かない海中で、巨大なダイオウイカを捕食しているとされていますが、それらがカメラに収められたことはありません。クジラが海岸に打ち上げられて死ぬことがありますが、地上の重力の影響で自重に耐えられず、生きていた時の姿を留めることは難しく、間近で観察できても正確な生きた姿を捉えることはできないでしょう。イルカなどの小型のものは水族館で観ることもできますが、マッコウクジラやザトウクジラ、シロナガスクジラを人工的に飼育することは、実現できていません。
この絵本に描かれたクジラは、化石種、現生種含めて、たくさんの想像が含まれています。それでも出来る限りリアリティを感じてもらえるよう、研究者の木村さんとディスカッションしたり、作者である水口さんからヒアリングしたりして、生き生きとしたクジラの姿を描くことを目指しました。
科学はこれからも新たな発見を積み重ねていきます。数年後にはこの絵本で描けなかった事実がわかってきているかもしれません。この本に全ての化石種、現生種が登場するわけではありませんが、最新の研究に基づいた現時点でわかっているクジラの進化について、楽しく知ることができる1冊だと思います。
2022年7月22日
小田 隆
『クジラの進化』をたっぷりご覧ください!
さらに、古代鯨類の研究者である木村敏之氏(群馬県立自然史博物館)に、クジラたちのプロポーションから生息環境まで監修を受けつつ、小田隆氏が長い時間をかけて描きあげた絵の数々をごらんください。
古代クジラを愛する3人が長い時間をかけて作りあげた科学絵本
小田 隆(Takashi Oda)
三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。
水口 博也
写真家・ジャーナリスト。大阪府生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。海棲哺乳類を中心に、写真集や写真絵本、書籍など多数手がける。写真集『オルカ アゲイン』(1991)で第22回講談社出版文化賞写真賞受賞。写真絵本『マッコウの歌 しろいおおきなともだち』(2000年)で日本絵本大賞受賞。
写真家・ジャーナリスト。大阪府生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。海棲哺乳類を中心に、写真集や写真絵本、書籍など多数手がける。写真集『オルカ アゲイン』(1991)で第22回講談社出版文化賞写真賞受賞。写真絵本『マッコウの歌 しろいおおきなともだち』(2000年)で日本絵本大賞受賞。
小田 隆
三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。
三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。