2021.04.01

みんなが苦手なものを食べてくれる?『ポケットはん』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 佐々木貴美子

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

めいちゃんのエプロンにくっついている『ポケットはん』は、苦手なものを何でも食べてくれる頼もしい助っ人なのです。子どもたちのピンチに『ポケットはん』が軽快な関西弁で大活躍する、とっても楽しいおはなしです。
「関西弁なんて、話せないし」という方も、大丈夫です。正しい関西弁かどうかなんていうことよりも、楽しむほうが大切。さあ、子どもと一緒に楽しみましょう!

『ポケットはん』
文:令丈ヒロ子 絵:ドーリー 講談社

めいちゃんがエプロンのポケットを見つめています。書名を読んだあと、子どもたちがめいちゃんの視線の先を見て、このポケットが書名の『ポケットはん』であることを認識するまで少し待ちましょう。

めいちゃんのおしゃれなエプロン姿の絵が、おはなしへと誘います。

「めいちゃんです。たこやき だいすき。」
おはなしの世界に子どもたちを導く大事な言葉ですね。はっきりと伝えて、たこやきをおいしそうに、ほおばるめいちゃんをしっかりと見せます。めいちゃんはまだエプロンを着けていません。『ポケットはん』の登場が待ち遠しいですね。

たこ焼きを食べるめいちゃん
『ポケットはん』より

ママがめいちゃんのたこやきを取り上げて「こら、ごはんの まえでしょう!」と言う台詞でおはなしが始まります。
さとしながら叱るような気持ちで言いましょう。子どもたちは身に覚えのあるシーンを見て、おはなしに引き込まれていきます。

ママの「また おかず のこしてる!」の小言に、「あとで たべようと おもっていたのに。」と言い返すめいちゃん。
次の「もう たべたくない!」「もう ぜったい たべたくない!」は、めいちゃんの気持ちを表すように徐々に口調を強くするとよいですね。

ママに「ぜんぶ たべないと おやつは だめだからね!」と言われて、「そんなの ひどい!」と涙を流すめいちゃん。
そこに「そんなん ひどいなあ!」の声がして何やら黒い影が……。
影の絵を指で軽く示しながら読むと、わかりやすいですね。

そしていよいよ『ポケットはん』の登場です。子どもたちが大笑いする場面。
明るくて元気のよい関西弁のキャラクターなので、読み手が感じたイメージの性格づけをして読みましょう。

『ポケットはん』がめいちゃんの代わりに苦手なものを食べてくれる、楽しいやり取りがくり広げられます。

めいちゃんが苦手なにんじんも、おいしそうに食べる
『ポケットはん』より

ここからお昼の給食のシーンです。新しい展開なので、ページをめくったあと少し時間をおいてから「おひるごはん。」の文を読んで、場面が変わったことを表現しましょう。

子どもたちがお昼ごはんを「ぜんぜん たべたくないね。」と言い出すと、『ポケットはん』が「そしたら たべてあげようか? ぱくぱく ごっくん」と食べ始めます。

子どもたちの言葉は、口ごもった感じの言い方で。『ポケットはん』の食べる様子は、始めは勢いよく、そして口に食べ物を詰め込みすぎた「ぱ…く… ぱ…く…ぱ…」へと、徐々にゆっくり苦しそうに言ってみましょう。

口の中が食べ物でいっぱいになった『ポケットはん』。
分割場面の「ぱ」「ぴ」「ぷ」「ぺ」を、軽く指で示しながら『ポケットはん』の絵のように口をふくらませて読み、次の「ぽーーー!!!」で、息を吐き出すようにすると、がまんできなくなった様子をうまく表現できますね。

次から次に口につめこみ、苦しそう
『ポケットはん』より

めいちゃんが、破れた所をつくろってもらっている『ポケットはん』に謝ります。
そしておしまいは、めいちゃんが苦手な焼き魚を『ポケットはん』といっしょに「ちょっとだけ ぱくぱく」と、少しがんばる気持ちになって食べています。
始まりの頃とは違って、笑顔でおいしそうに食べている絵です。
『ポケットはん』には、赤い糸でぬった跡も見られます。
それらの変化を心にとめて、子どもたちが「よかったぁ〜!」と余韻を感じるように、やさしく読んでみましょう。

ポイント

ほとんどのページが会話で構成されていますので、心情を想像しながら気持ちを込めてみましょう。
お皿にきれいに盛りつけられた食べ物の絵は、どれもとてもおいしそうですね。苦手な物を残しているお皿や、全部食べて空になったお皿など、子どもたちはお皿の食べ物の変化に注目していますので、その表情を確かめながら読んでいくとよいですね。

●今回読んだ本

『ポケットはん』
文:令丈ヒロ子 絵:ドーリー 講談社

●プラス1冊

きりょうよしで働き者の嫁さまは、なんと、たいへんな“へ”っぴりなのでした。

『よみきかせ日本昔話 へっこきよめさま』
文:令丈ヒロ子 絵:おくはらゆめ 講談社

「全国訪問おはなし隊」ってなあに?

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!