2021.02.02

えがしらみちこ 「はじめました えほんやさん」第6回

著者:えがしら みちこ

※この記事は、講談社絵本通信(2019年1月)掲載の企画を再構成したものです。
 

こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。

2019年になったと思ったら、もう2月になろうとしています(汗)
本年もどうぞよろしくお願いいたします!

季節と人の流れ

12月の書店は繁忙期だとウワサで聞いていたのに、うちのお店は全くでした(笑)

「えほんやさん」は、個人営業の路面店なので(しかも駐車場がない)寒くなったり雨が降ったりするとお客の流れがぱったり止まってしまいます。

ショッピングモールだと温かいし何でも揃っちゃうし、年末の忙しいなかではこっちのほうが便利ですもんね……。盲点でした。
たくさんクリスマスの絵本を仕入れたのにな~。買い切りなので痛いです。

でも!! 1月はすごい人でした。
そう、「えほんやさん」は三嶋大社という大きな神社のお膝元にあるのです!

三が日はもちろん、1月の土日はずっと人が行き交っているそう。
6年間も住んでいるというのに、三嶋大社の偉大さを初めて目の当たりにしました。
「伊豆国一の宮(神社の中でも最上位)」ですものね……。

三嶋大社

初詣にご家族でいらした方や静岡に帰省された方が立ち寄ってくださって、お子さんやお孫さんのために絵本を選んでくれていました。

ちょっと意外だったのが、若い女性が自分のために絵本を買う姿も多く見かけたこと。
「絵本は子どものもの」という考えが変わってきているなぁと嬉しくなりました。

売れた絵本から考察してみた

10月・11月・12月の3ヶ月で売れた本を調べてみました。

・『なきごえバス』えがしらみちこ(白泉社)
・『あなたのことがだいすき』原案:西原理恵子/ 作・絵:えがしらみちこ(KADOKAWA)
・『あきぞらさんぽ』えがしらみちこ(講談社)
・『どんないろがすき』絵:100%ORANGE (フレーベル館)
・『やさいさん』tupera tupera(学研)
・『くまのこのとしこし』高橋和枝(講談社)
・『しんごうきピコリ』ザ・キャビンカンパニー(あかね書房)
・『はみがきれっしゃ』くぼまちこ(アリス館)

原画展を開催した絵本は、その期間中は突出して売れています。
(それと、私の絵本がよく出ているのは、お店に出没している時にサインを書いているから)

なんとなく、0,1,2歳向けの絵本が売れている感じがするのは、接客していて思うに、小さなお孫さんへのプレゼント用にご購入される方が多いためと考えられます。

ロングセラーはもう持っているだろうということで、割と新しい作家さんの絵本がよく出ています。
このことも、プレゼントとして選ばれている方が多いからなのだなぁと思われます。

それとは別にゆっくり確実に動いている絵本もあります。

・『ことばのかたち』おーなり由子(講談社)
・『星につたえて』作:安東みきえ/ 絵:吉田尚令(アリス館)
・『ガラスのなかのくじら』 トロイ・ハウエル&リチャード・ジョーンズ / 訳:椎名 かおる (あすなろ書房)
・工藤直子さんの詩の本

大人の女性が仕事の空き時間や休日に立ち寄って、自分のための本を購入されているようです。
時間が空くとSNSを見て暇つぶししがちですが、ゆっくり本を読んで過ごされている方も少なくはないのだなと、あたたかな気持ちになります。

数ヶ月間ですが、お店に立ってみて感じたことは「お問い合わせが思っていたより少ない」ということです。
これは、「えほんやさん」へ来て、知らない本との出会いを求めている方が多いということだと思います。

欲しい本は、インターネットでダイレクトに手に入れて、リアルなお店では「一緒に選ぶ」「いろいろ見て選ぶ」という体験も一緒に購入されている。
買うスタイルが多様化しているのかもなぁと思ったのでした。

はじめてのトークイベント

私自身が作家さんなどのトークを聞くことが大好きで、時間があれば東京や静岡まで聞きに出かけています。
ぜひ三島でも定期的にそういう会を開ける地盤を作りたいと思っていたのでした。

なので、「えほんやさん」では、什器は可動式にしてスペースを作れるようにすることと、スタッキングできる椅子をたくさん用意することには当初からこだりました。
少し窮屈ですが、20名ほどの方にご参加いただけます。
その他、プロジェクター(なぜか主人の自宅にあった)やスクリーン、マイクも用意し、環境だけはバッチリになっています。


そして、先日『くまのこのとしこし』で原画展を開催させていただいている高橋和枝さんをお呼びしてトークイベントを開きました。
店長の福江(私の妹です)が司会進行し、私と高橋さんがトークします。

自分で言うのも恥ずかしいのですが、とっても良いイベントだったと思います。

高橋さんの小さい頃の思い出、絵本作家になったいきさつ、『くまのこのとしこし』を作り始めたときの制作ノート……。
原画を見ながら、おはなしを聞くことができて、ほんとに素敵な時間でした。

そして、声が良いので絵本を読んでもらうとやさしい気持ちに……。

東京に行かないと聞けなかったようなトークが三島で開催されるなんて嬉しいと言ってくだる方も
いて、本当にひらいてよかったなと思いました。

フォローが足りなかった箇所もいくつかあるので、次回、改善できるように生かしていきたいです。
そして、何度か開催してみて、書店とイベントと展示について、色々見えてくるものがあるんじゃないかなぁ。
またこれから考えてみたいなと思いました。

えがしらみちこの絵本

お気に入りのワンピースきて、あたらしいおくつをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 春のそよ風がふくいちにちに、おさんぽで出会ったのは? たんぽぽ、ちょうちょう、やさしい風……季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。春のおさんぽに出かけたくなる絵本。

『はるかぜさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのかさもって、ながぐつはいて、カッパ着て、じゅんびできたよ、いってきまーす。かえるやあじさい、おたまじゃくしと女の子のかわいらしい出会いが、楽しげな雨音とともに繰り広げられます。 ちいさな女の子の雨の日を追いかけた、ちょっぴりファンタジックなお話。雨音の楽しさや、雨に濡れた景色の美しさが、透明感あふれる水彩画で表現されています。

『あめふりさんぽ』
作:江頭路子 講談社

おひさまがさんさんと照る、夏のいちにち。あーちゃんがおさんぽで出会ったのは? おひさまさんさん降りそそぐ中、どんなおさんぽになるのでしょう。 リズム感あふれるお話に、まばゆいほど夏の季節感いっぱいの絵。夏が待ち遠しくなる絵本です。

『さんさんさんぽ』
作:江頭路子 講談社

秋のつめたい風のなか、おさんぽで出会ったのは、どんぐり、みのむし、まっかなおちば……。季節感がみずみずしいタッチで描き出されます。秋のおさんぽに出かけたくなる絵本。『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』につづく、人気シリーズ。

『あきぞらさんぽ』
作:江頭路子 講談社

お気に入りのマフラー巻いて、帽子にてぶくろ、ブーツをはいて、じゅんびできたよ、いってきまーす。 雪がいちめんに降ったある日、おさんぽで出会ったのは、どんな音? 冬のつめたい空気や透明感がみずみずしいタッチで描き出されます。雪の日が待ち遠しくなる絵本。

『ゆきみちさんぽ』
作:江頭路子 講談社

「ねえママ、おばけの音が、きこえるの」夜、こうちゃんは、おばけがこわくてねむれません。チクタク、チクタクの音は、なんのおばけ? カタカタ、カタカタの音は、なんのおばけ? ヒューヒュー、ザワザワの音は、なんのおばけ? するとママが、おばけたちのことを教えてくれます。おばけたちと仲良くなって、ぐっすり眠りにつくまでのお話。

『ねんねのうた』
作:江頭路子 講談社

著者紹介

えがしら みちこ えがしら みちこ

1978年、福岡県生まれ。熊本大学教育学部卒業。水彩を使用した透明感のある画風が特徴。絵本に『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』『ねんねのうた』『いちねんせいの1年間 わたし、もうすぐ2ねんせい!』(文・くすのきしげのり)『せんそうしない』(文・谷川俊太郎)『はこちゃん』(文・かんのゆうこ 以上すべて講談社)、『おたんじょうケーキをつくりましょ』(教育画劇)、『なきごえバス』(白泉社)、『いろいろおてがみ』(小学館)、『しいちゃんおひめさまになる』(アリス館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』(原案・西原理恵子 KADOKAWA)など、装画と挿絵に『あかりさん、どこへ行くの?』(フレーベル館)、『さくら 原発被災地にのこされた犬たち』(金の星社)などがある。雑誌や教科書などの挿絵も多く手がけている。静岡県三島市在住。