子どものお片づけは「自立ツール」 プロが教える衣類の整理のスゴ技!

#6 まずは衣類を放り入れる!?

時政 美由紀

写真:アフロ

「子どもにとって大切なのは、お手伝いより、勉強より、まずは “片づけ”と“身支度”です」と言い切る整理収納アドバイザーのカール友波さん。

片づけと身支度が勉強より大事という、その真意をお聞きすると、「お片づけ、身支度を通して、子どもに自立をしてほしいということです。片づけ、身支度ができれば、勉強やお手伝いも自然とできるようになるからです。片づけや身支度は、自分自身のこと。子どもであっても自分でできないと困りますよね。生活の基本中の基本です。だから、勉強より、お手伝いよりもっと大切だということなんです」

カールさんは、『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』の著者で、お片づけプレゼンターの肩書きで、企業や学校の講座、セミナーなどでも活躍中です。

片づけや身支度が子どもの自立を促すという方法をさらに詳しくお聞きしました。全7回にわたって紹介していきます。今回はその第6回です。
※特に、1年生から低学年の子どもを対象にしています。

“やわらかいもの”の片づけから

「衣類は布なのでやわらかいですよね。なので、お片づけのスタートとしては、おすすめなんです」とカール友波さん。

衣類はやわらかいので、小さな子どもでも扱いやすく、衣類から片づけに慣れていくとスムースというわけです。

「衣類の片づけには、“ルール決め”が必須です。子どもでもできる2つのルールを決めておけば、ママの負担がグッと減ります」

2つのルールとは、どんなルールでしょうか?

子どもにお片づけ習慣が身につく2つのルール

①衣類を放り入れる
②衣類をかける

①衣類を放り入れる

「衣類をたたむことができないヨチヨチ歩きのお子さんでもできるのが、“衣類を放り入れる”というルールです。子ども部屋、リビングのすみなど、場所を決めて、ここに“放り入れる”だけのルールです。たったこれだけのことですが、洋服が、脱いだままで床に散らかっている、という状態はなくなるはずです」

確かに、「放り入れる」だけなら、子どもの年齢を問わずできることですね。

カゴに衣類を放り入れるだけ。

「ずっと入れっぱなしだと衣類がたまっていくので、ときどきカゴのチェックも必要です。月に1回、1週間に1回など、サイクルは各家庭におまかせしますが、カゴの中の衣類を洗濯するなどして、入れっぱなしにしないことも大切です」

②衣類をかける

「もう1つのルールは、“衣類をかける”ということです。子どもにおすすめなのが、“ハンガーラック”と“大きめのS字フック”です」

ハンガーにかけるのではなく、“ハンガーラック”にかけるのがいいと言うカールさん。

「いわゆる普通のハンガーって、意外と大人でもかけにくい、面倒という人が多いんです。脱いだコートやカーディガンがソファやイスにかかっている、という状況、よくある風景だと思います。ましてや、手先がまだ器用でない子どもにとっては、負担になるんです」

いすにかけられた衣類。散らかる原因に。

そこで、ハンガーラックというわけですが、どのように使うのでしょうか?

「使い方は簡単、ただかけるだけ! です。これなら、めんどくさがり屋の大人でも、小さな子どもでも誰でもできます」

かけるだけで、衣類を置く場所が定まる。

「ハンガーラックは、子どもが衣類をかけやすい高さに調整することができるので、それも利点です。そもそもコートやカバンなど、外出に必要なものはクローゼットにわざわざしまう必要がなく、取り出しやすいハンガーラックが重宝します」

ハンガーラックは高さ調整が可能。

「ハンガーラックと同時におすすめしたいのが、“大きめのS字フック”です。ハンガーラック同様、手先がまだ器用でない子どもでも、ただかけるだけで大丈夫です」

衣類をかける部分が大きくなっている。
マフラーやタオルなどをかけるのに最適。

ハンガーにかけるなら

「子どもの成長に合わせて、徐々にハンガーにも挑戦してもらいましょう。ハンガーには衣類をかけやすいものとかけにくいものがあるので、選んで使うことも大切です。避けたほうがいいのは、“衣類が滑らない”ハンガーです。確かに衣類が滑り落ちないので、ツルツルした素材のおしゃれ着やニットなどには向きますが、子どもの普段着などはかけにくいのです」

うまくかけられない“滑らないハンガー”。

「そこでおすすめしたいのが、クリーニングハンガーです。クリーニングハンガーは実は万能で、衣類がかけやすく、スカートやキャミソール用のフックがついていたり、タオルをかける際の押さえがついていたり、ハンガー自体が薄く、衣類をかけていない時でもかさばらないなど、よく考えられていて機能的に優れています。ぜひ家庭で再利用してほしいと思います」

衣類をかけるのに万能なクリーニングハンガー。

“しかけ”を作って、お片づけ

「とにかく、“衣類はここ”という場所を決めて、「かけるだけ」という子どもでも難なくできる“しかけ”を作っておけば、ストレスを感じず、習慣化できるというわけです」

“しかけ”を作って習慣化。

“たたむ”にも慣れていく

「“かける”ができるようになったら、徐々に“たたむ”にもチャレンジです。洋服にはいろいろな形がありますから、まずはたたみやすいタオルやハンカチから。洗濯ものを『一緒にたたもう!』と手伝ってもらいましょう。タオルは丸めてたたむ“丸めだたみ”が収納もしやすく、子どもも楽しみながらできると思いますよ」

くるくるっと丸めてたたむと収納もしやすい。

タオルやハンカチがたためるようになれば、靴下や下着など、シンプルな形のものから手伝ってもらえそうですね。

家族で家事をシェアするということ

「子どもの衣類の片づけ方を紹介しましたが、これは、子どもが“自分自身も家族の一員で、家事を担っている”という自覚を持ってもらうためのステップです。少しずつ、気長に、できたことを喜びながら、楽しんで進めていってもらいたいと思います」

カール友波(かーる となみ) プロフィール

お片づけプレゼンター
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」  
深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。
整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。
著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。
https://www.karl-3.jp/

写真:カール友波 構成:時政美由紀

かーる となみ

カール 友波

お片づけプレゼンター

キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」   深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/

キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」   深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/

ときまさ みゆき

時政 美由紀

構成・取材

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。