2021.02.22

東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍に出産〕でやったこと、しなかったこと

医師・もりたま(森田麻里子)がやっている新しいママ様式 〜出産編〜

写真:yamasan/イメージマート

新型コロナウイルスは、まだまだ感染拡大が続き、幼い子どもたちを持つ子育て家族の日常生活も大きな変化を迫られています。

“もりたま”の愛称を持つ人気医師の森田麻里子先生もそんなママの一人です。『科学的に正しい子育て』『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』などのヒット著作を持ち、ママたちからの信頼を集めるもりたま先生にとっても、コロナ禍は想定外のことばかりでした。
特に2020年、もりたま先生は3歳の長男を育てつつも、9月には第二子の出産が控えていました。

もりたま先生は、コロナ禍の妊娠・出産、3歳の育児で、何をして、何をしなかったのか? 「2020年〜2021年:子育てのニューノーマル」を森田医師自らが書き下ろしました。

第1回「3歳男児編」2回「妊婦生活編」に続く、3回は「出産編」です。

「安全」と「NICU」を重視した産院も コロナ禍で立会いNGに!

ウィズコロナ時代の出産は、初産婦さんにとってはもちろん、経産婦さんにとってもはじめての経験です。私も二人目の出産とはいえ、戸惑ったり悩んだりすることがありました。今回は、私が経験したコロナ禍での出産について、レポートしてみたいと思います。

出産する病院を決めた時点では、まだ緊急事態宣言も発令されておらず、危機感もほとんどない状態でした。そのため、特に『コロナだから』という視点はなく、通常通り産院を選びました。産院選びのポイントは、無痛分娩の有無、病室のきれいさやアメニティ、お食事など、いろいろありますよね。

人それぞれ選ぶ基準は違うと思いますが、私の場合はとにかく安全重視です。医者としての経験が影響している部分や、また個人の性格もあると思いますが、やはり出産は命がけなのでリスクを下げたいと思ってしまいます。NICUがある、または短時間でNICUのある病院に搬送が可能な総合病院という視点で選びました。

しかし、産院を決めてから新型コロナウイルスの流行状況は悪化。両親学級等は軒並み中止で、妊婦健診に行くのも緊張感がありました。病院によっては、健診の回数が少なくなっていたところもあったようです。今でこそ日常の光景になりましたが、病院入り口での手指消毒と体温測定はなんとなく物々しい雰囲気で、待合室も人はまばらです。通常、妊婦健診にはご主人と一緒に来院されて、一緒にエコーを見たりする妊婦さんもいらっしゃいますが、診察室には本人しか入れなくなっていて、ほとんどの方がお一人でいらしていました。

6月ごろには流行状況が少し落ち着いて、もしかしたら秋には面会や立ち会いも許可されるかもと思ったのもつかの間、それからまた感染者が増えてしまい、私自身も、面会も立ち会いもない出産になる見通しとなりました。このあたりの対応は産院によって異なり、パパはOKというところもあったようです。

長男のときは立ち会い出産だったこともあり、出産を一緒に経験して産まれたての新生児を抱っこする経験はやはり特別なものだと感じていました。立ち会いや面会がないことによって、パパや長男が赤ちゃんとの生活をスムーズに始めにくくなるのではないか、などと考えてしまい、希望通り立ち会いが可能な産院を探すことも一瞬、頭をよぎりました。

しかし出産目前で産院を変えるのは現実的ではないですし、また、その点以外ではその産院が気に入ったからこそ選んだわけです。残念な気持ちはありましたが、メリットとデメリットを比較して、私も覚悟を決めました。

出産目前にPCR検査、もし陽性なら帝王切開に

もう一つ、心がざわついたのはPCR検査です。私がお世話になっていた産院では、正期産に入る妊娠36〜37週頃に検査を受け、もし陽性となったら帝王切開になる、というお話でした。もちろん日常生活は気をつけてはいましたし、陽性になる確率は非常に低いとは思っていました。

しかし、新型コロナウイルスは感染しても無症状の人もいます。もし無症状でも陽性なら帝王切開になってしまうというのは、かなり緊張感がありました。検査の対応についても、産院によってかなり違うようです。PCR検査の必要がないところから、自費で検査を受けなければならないところ、陽性だったら他の病院での出産となるというところ、またPCR検査に加えて全例計画分娩となっているところなど、私が話を聞いただけでもさまざまでした。

PCR検査でも陰性が確認でき、いよいよ出産当日。無事、(おそらく)新型コロナウイルスに感染せず出産を迎えられてホッとする気持ちと、これからの出産が無事に終わるかの不安と、赤ちゃんに会える嬉しさと、いろいろな気持ちが入り混じっていました。

入院時と退院時だけは、荷物運びがあるので同伴者が病室に上がれるということだったのですが、それもエレベーターホールまでで、夫とはあっけなくバイバイとなりました。そこからは荷物を看護師さんが運んでくださったのですが、差し入れや入院中の荷物受渡しも助産師さんが担当されていました。余計なお世話かもしれませんが、負担が増えていて大丈夫かな、とついつい心配になってしまいます。

立ち会いがないことについては、そばで励ましてくれる人がいなかったり、また、「お茶とって!」、など気軽に頼めなかったりするのが不便ではありましたが、私の場合は、不便な時間は1〜2時間くらい。幸い、あっという間に陣痛が進んで出産に至ったので、終わってみれば案外立ち会いはなくても大丈夫だなと思えました。とはいえ、出産まで長時間かかっていたとしたら、かなり孤独な戦いになったと思います。

助産師さんは、こまめに様子を聞きにきてくださったり、家族のかわりに赤ちゃんの写真をたくさん撮ってくださったり、本当に良くしてくださいました。でも、複数の出産が重なっていたりするとそうはいかない場合もあるでしょう。

ちょっと寂しかったのは入院中です。総合病院での出産だったのでコロナで敬遠されたためか、はたまた出産自体も少なくなっていたためか、病棟は空きが目立っていました。

面会がないのでとても暇で、ZOOMやLINE電話などで毎日夫や長男と話し、祖父母にも画面越しに赤ちゃんを見せたりしていました。赤ちゃんの写真やビデオを撮影し、持っていった雑誌を5回くらい読み、それでも時間があって体調も良かったので、仕事の打ち合わせに参加したりもしていました。また、荷物は多めに持っていったつもりでしたが、差し入れやお洗濯物の受け渡しも自由にはできなかったので、洋服の着回しが大変でした。

コロナ禍の出産で大切さが増した情報収集力

コロナ禍での出産を経験して改めて思うのは、特に初産婦さんやそのご家族への影響は、本当に大きいということです。仕方ないとはいえ、パートナーやご家族と出産をともに乗り越える経験がしにくくなったり、産まれたての赤ちゃんをおじいちゃんおばあちゃんが抱っこするのが難しくなっているのは、とても残念に思います。

また、病院によってもコロナ対応の方法は異なっていました。これから産院を選ぶ方は、立ち会い出産や面会、またPCR検査なども含め、コロナ対応がどうなっているかも産院選びの重要なポイントとなりそうですね。

もう一つ、大切なのは情報を得る力です。両親学級など情報を得られる場が少なくなっているので、病院や企業が企画するオンライン両親学級なども活用して、情報を積極的に集める必要が出てきています。もともと情報集めが得意なママは上手に乗り切れると思いますが、そういったことが苦手だったり、なかなか余力のないママは不十分な情報しか得られず、情報格差が広がっていく可能性があります。

こういった『災害』時には弱い人達にしわ寄せが行きやすいというのは、心に留めて置かなければならないと改めて思いました。

医師・森田麻里子さん
写真提供:本人

〔連載第1回〕東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍で3歳息子〕にやったこと、しなかったこと
〔連載第2回〕東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍で妊娠中〕にやったこと、しなかったこと

PROFILE
森田麻里子(もりたまりこ)

医師、小児睡眠コンサルタント、Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究の徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。著書に 『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、 『東大医学部卒ママが教える科学的に正しい子育て』(光文社新書)がある。

“もりたま”先生が監修した、赤ちゃんの寝かしつけ動画がこちら。赤ちゃんには画面は見せず音だけを聞かせてみて。
【You Tube】2020年「ムーニーちゃんのおやすみトントン 」60分繰り返し

『東大医学部卒ママが教える科学的に正しい子育て』(光文社新書)

『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)