2021.01.19

東大医学部卒ママ医師が〔コロナ禍で妊娠中〕にやったこと、しなかったこと

医師・もりたまがやっている新しいママ様式 〜妊娠生活編〜

写真:milatas/イメージマート

新型コロナウイルスは2021年1月に2回目の緊急事態宣言となり、まだまだ感染拡大が続いています。幼い子どもたちを持つ子育て家族の日常生活も大きな変化を迫られました。

“もりたま”の愛称を持つ人気医師の森田麻里子氏もそんなママの一人です。『科学的に正しい子育て』『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』などのヒット著作を持ち、ママたちからの信頼を集めるもりたま先生にとっても、コロナ禍は想定外のことばかりでした。特に2020年の1回目の緊急事態宣言時、もりたま先生は妊娠中で、3歳の長男の子育ても兼ねていました。

もりたま先生は、妊娠中の自分と3歳の子どもに何をして、何をしなかったのか? 「2020年〜2021年:子育てのニューノーマル」を森田医師自らが書き下ろしました。連載1回目「3歳男児編」に続く、2回目「妊婦生活編」です。

食べつわりとともに始まったコロナ禍で、守った3つの対策

妊娠出産というのは幸せなものである反面、赤ちゃんは元気に産まれてくるだろうか? 元気に育ってくれるだろうか? という不安と隣合わせでもありますよね。特にこの新型コロナウイルスの感染が広がっている中では、そんな不安も大きくなりがちです。今回は、コロナ禍での妊娠生活で注意していたことをまとめてみたいと思います。

日本国内でも新型コロナウイルスの感染が本格的に広がりはじめた2020年3月頃、私はつわりと戦っていました。なぜかトマトパスタが食べたくて、毎日家族の中で私だけパスタを茹で、スーパーで売っているさまざまなトマトソースを片っ端から試していました。まだ、長男の通う保育園は通常通り開園していたので助かっていましたが、周りでは休園になった話もちらほら聞くようになり、だんだんと危機が身に迫ってきたように感じていました。

海外からの報告では、妊婦は重症化リスクが非常に高いとか、赤ちゃんへの先天的障害のリスクが高い、といった情報はもたらされていなかったので、多少は安心でした。とはいえ、感染してしまったらどうなるかはわかりません。できる対策をできる範囲で、一つ一つやっていくしかないと腹をくくりました。

4月に入り、つわりがようやく終わったかと思ったら最初の緊急事態宣言。周りのスーパーからは物がなくなり、トイレットペーパーやマスクの調達のためにスーパーをはしごすることもありました。つわりは終わり、気持ち悪さからは開放されていましたが、この緊急事態宣言中にひどいつわりだったら、上の子の預け先もなく、本当に大変だっただろうなと思います。
もともと自宅近くにスーパーがあるため、妊娠しても買い物はスーパーでしていたのですが、この頃に食材宅配サービスにも申し込みました。スーパーでの購入品と、宅配で届く品物と、接触感染のリスクとしては大きくは変わらないかもしれませんが、混雑するスーパーへ行く回数や、レジでのお金やカードのやり取りを減らせるのはメリットだと思います。

買ってきたものや宅配で届いたものを消毒する方もいらっしゃると思うのですが、私自身はそこまではしていません。なぜかというと、自宅の環境では完璧にウイルスを持ち込まないようにするのは難しいので、リスクが低いと思われる部分については目をつぶっているからです。
例えば、病院の手術室では、微生物がついているかもしれない部分を『不潔野(ふけつや)』、滅菌されていて微生物がついていない部分を『清潔野(せいけつや)』と区別して厳密に管理しています。それを可能にするのが、手を触れなくてもドアが開く仕組みだったり、大量の使い捨てガウンや手袋だったりするわけです。将来的に、家のつくりにも感染対策という視点が入ってくる可能性はあると思いますが、現状多くのご家庭ではそうはいきません。

確かに、購入品は消毒したほうがよりリスクは低くなるとは思うので、もちろんできる方はやっていただくのが良いと思います。ただそこまでやるなら、買ってきたものの袋も使い捨て、それを置いたテーブルも消毒、さらには外出したときの洋服や靴はコートも含めすべて洗濯や消毒する方がいいですし、外出するたびに上の子も自分もお風呂に入り、スマホやお財布など外出先に持ち出す物品もすべて消毒する方がいいということになってしまいます。ちょっとそうなると、きりがないですよね。感染の広がりぐあいとウイルスの危険度を勘案して、今の時点で我が家で実行できる現実的なラインは次のように考えています。

・外出中はマスク着用

・外出から帰ってきた際など、こまめに流水と石けんで十分に手を洗う

・特に外出先などで、手を洗わないまま顔を触らない

どうしても顔を触りたいときは、アルコールジェルで手を消毒してから。外食する際も、ウェットティッシュでよく手を拭いてからアルコールジェルでの消毒もしていましたが、子どもは消毒したそばからテーブルやら椅子やら、いろいろ触ってしまいます。そしてそのまま食べ物をつかもうとしたりするので、何度も拭かなくてはならず苦労しました。
また、家でも外出先でも使うスマホも注意です。もともとはカバーをつけていましたが、汚れがつきにくく拭きとりやすいように、カバーをとってそのまま使うようになりました。

電車移動ではドア付近に立って移動

妊婦健診や仕事に行く際は、電車で通いました。特に緊急事態宣言解除後は通常通り電車が混むようになったので、妊婦健診の予約は通勤ラッシュを避けた時間にし、仕事の帰りには、多少時間がかかっても混雑の少ない路線を使ったりしていました。
電車に乗っている時も、風が入ってくる窓の近くやドア付近など、換気が良さそうな場所を選んで乗りました。席に座っていると、最初は空いていても、後から乗ってきた方が隣に座る場合もありますよね。電車に乗っている時間はさほど長くなく、体調も良かったので、席が空いていても座らずに立っていることが多かったです。

外出の際のマスクは、いちばん効果が高そうなのは不織布マスクだろうと思い、夏でも不織布で通しました。ただ、夏にマスクをしていると本当に暑く、ただでさえ妊婦で息切れもひどいのに、外を歩いていると本当に熱中症になりそうでした。屋外で周りに人が全然いないときはマスクを外し、前から誰かが歩いてきたときはまたマスクをつけていました。

マスクの素材による飛沫の飛び方の違いについては、その後スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」による研究結果が理化学研究所から発表されました(※1)。飛沫飛散を抑える効果は、不織布マスクで約8割、綿やポリエステルのマスクでも約7割という結果です。
不織布が一番効果が高いというのは予想通りでしたが、綿やポリエステルのマスクでも、効果はきちんとあるようです。この結果をみると、外ではポリエステル製のマスクをつけ、屋内では不織布にするなど、使い分けをしてもよかったかなと思います。

もちろん、こうした我が家の対策も今後状況に合わせて変わっていくと思いますし、それぞれのご家庭によって、どこまでやるかの判断は違って当然です。これが正解ということではなく、こうしている人もいる、ということで参考にしていただけたらと思います。

※1=飛沫やエアロゾルの飛散の様子を可視化し有効な感染対策を提案 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/topics/pickup2.html

〔連載第1回〕東大医学部卒ママ医師がコロナ禍で3歳息子にやったこと、しなかったこと

医師・森田麻里子さん


写真提供:本人

PROFILE
森田麻里子(もりたまりこ)

医師、小児睡眠コンサルタント、Child Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2017年に長男、2020年に次男を出産。長男の夜泣きに悩んだことから、睡眠についての医学研究の徹底的に調査。赤ちゃんの睡眠と健康をサポートする「Child Health Laboratory」を設立。著書に 『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、 『東大医学部卒ママが教える科学的に正しい子育て』(光文社新書)がある。

“もりたま”先生が監修した、赤ちゃんの寝かしつけ動画がこちら。赤ちゃんには画面は見せず音だけを聞かせてみて。
【You Tube】2020年「ムーニーちゃんのおやすみトントン 」60分繰り返し

『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書)

『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)