きれいの秘密は「食」にアリ? ママ料理家・松山絵美の食へのこだわり

4児ママの料理家・松山絵美さん「きれいのレシピ」#4~食のこだわりとレシピ~

料理家:松山 絵美

誤ったダイエット経験から、食の大切さを痛感したという松山さん。薬膳の世界に触れ、その思いは一層強くなったといいます。 写真:日下部真紀

育児・家事・仕事のすべてをカンペキにこなしながら、自分の“きれい”をキープしているママは、一体どんな暮らしをしているの?

ママライターの私にとって、そんな“きれいなママ”代表である人気料理家・松山絵美さん。

4人のお子さんを育てながら、料理家として忙しく活躍している松山さんにお話を伺いながら、心身の“きれい”をキープするヒントを探ります。

第4回は、食へのこだわり、お子さんたちの食育への思いを伺いました。
全4回の4回目。#1#2#3を読む。

最後には松山さんの最新刊のプレゼントもあるのでお見逃しなく!

ムチャなダイエットで心身がボロボロに

――松山さんが料理に興味を持ったきっかけは何でしたか?

松山絵美さん(以下、松山さん)「私の母はすごく料理上手で、子どもの頃から本当にいろいろな料理を作ってくれました。

研究熱心でもあって、料理本や雑誌の気に入ったレシピをスクラップしたファイルが何冊もあるんです。今でも『あの料理、どうやって作るの?』と聞くと、『ちょっと待ってね』と、ファイルをペラペラ見返しながら探してくれます。

そんな母に育てられたのですが、中学生の頃、ムチャなダイエットにのめり込んでしまいました。リンゴだけを食べる、ゆで卵だけを食べる、“○○だけダイエット”が流行った時期です。

友達がみんな挫折していく中、私だけ抜け出せなくて。そのうち何も食べられなくなってしまい、結局、身も心もボロボロになって病院へ通うことになりました。

そのときに出会ったのが、栄養指導の先生。自分で全部カロリーを計算して料理する方法を教えてもらい、そこから本格的に料理を始めるようになりました。

自分でカロリー計算した食事だと、安心できるんですね。だんだんと食べられるようになって、少しずつ元の私へと回復していきました。

体は食事で作られる。体調は食事で決まる。食べないと涙が止まらなくなったり、精神的な部分まで大きく乱れてくるんです。この経験を通して、食の大切さを実感しましたね。

料理が好きな母には悲しい思いをさせて、今でも本当に申し訳ないことをしたと思っています。今、私が料理に携わる仕事をするようになって、いちばん喜んでくれているのは母かもしれません。

その後、薬膳の世界に触れて、すべての食材にはひとつひとつ効能があると知ったとき、ムリなダイエットをしていた当時の経験とつながりました。

みなさんにも、食の大切さを知ってほしい。そんな思いから、私のレシピでは食材の薬膳効果にも触れるようにしています」

――今は、どんなことを意識して家族の食事を作っていますか?

松山さん「家族ができて、家族の健康は私が見ているのだと思うと『変なものは食べさせられない』という責任は感じます。

大人はもう成長しませんが、子どもはこれからどんどん成長します。『しっかり食べさせなきゃ』という思いです。

私が子どもの頃、母は忙しい中でも何品もおかずを作ってくれました。いつも品数が多くて、同居していた祖父には魚の煮物、子どもたちには洋食と、別々の献立を用意してくれることも。

今も子どもたちと実家へ行く日が決まると、『何が食べたいかリクエストを聞いておいてね』と言ってくれます。イヤイヤではなく、いつも楽しそうに料理をしている母。私も見習いたいなと思います」

「家族の中で、いちばん味に厳しいのは夫。『これは紹介したほうがいいよ』『こっちはもうちょっと味を変えたほうがいいんじゃない?』と、アドバイスをくれます」と松山さん。 写真:日下部真紀

食育は家族行事を通して楽しみながら

――お子さんたちの食育で取り組んでいることはありますか?

松山さん「みそ作りやうどん作り、餅つきなど、家族のイベントとして楽しんでいます。食への興味を持ちますし、やっぱり自分で作るとおいしいですよね。

前回#3もお話しましたが、自分で釣ってきた魚をさばいて食べる経験も、命をいただく食育につながっているなと思います。

次男は釣りがきっかけで魚が大好きになって、図書館で借りてくる本も魚の本。ぬり絵も、ずっと魚の絵ばかり塗っています(笑)。

普段の料理も、余裕があるときは切ったり混ぜたりを子どもたちに手伝ってもらいます。よく夫・長男・次男の“男子チーム”で出かけることがあるのですが、そういうときは私・長女・次女の“女子チーム”で、クッキーやピザを作りますね」

――子どもの好き嫌いに悩んでいるママたちは多いですが、松山さんちの場合はいかがですか?

松山さん「上の3人はほとんど好き嫌いがないのですが、次男は野菜が苦手。でも、刻んでカレーやハンバーグに入れたり、クリームソースやチーズ系の料理に混ぜたりすると、食べてくれますね。

それに、嫌いなものでも『ダメだったら食べなくていいよ』と言って、平気で食卓に出します。上の子たちに『食べないの? おいしいのにもったいない』と言われたりすると、意外と食べるんです(笑)。

嫌いと言われても食卓には出し続けたほうがいいのかもしれませんね」

今では機械を使うことも多い餅つきも、杵(きね)と臼(うす)の昔ながらのスタイル。「夫が主導になって、子どもたちと一緒に取り組みます」と松山さん。 写真提供:松山絵美
料理が好きな女子チームでのピザ作り。「次女はみそ作りにも興味があって、今年は子ども向けのみそ作り教室にも参加していました」。 写真提供:松山絵美

手間は省いても愛情を込めれば食卓は豊かになる

――料理が苦手、作るのがおっくうというママもいます。松山さんのように前向きに料理ができるコツは何でしょう?

松山さん「料理は、楽しく作ることがいちばんだと思います。イヤイヤ作るより笑顔で作ったほうが、同じレシピ、同じ材料でも、おいしくできあがる気がするんです。

そのためにも、『手間は省いて愛情込める』。手間を省くことに申し訳なさや後ろめたさを感じる必要はなくて、その分、愛情を込めておいしく作れたらいいですよね。

手間のかかる料理は、時間に余裕があるときだけで十分。簡単なレシピのほうが何品も作れて、手間のかかる1品よりも食卓が豊かになると思いますよ」

――最後に、母として、料理家としての今後の展望を教えてください。

松山さん「まだ次男が小学校に上がったばかりですし、私が心配性なのもあって、子どもたちに鍵を持たせて仕事に出かけることができないんです。今は子どもを預かってもらえないときや、仕事が夜遅くまでに及ぶときは、基本的にお断りしています。

いい仕事のお話だと、正直『もったいない』と思いますし、悔しい思いもあるのですが、それでも今は子どもが中心です。子どもたちに費やしつつ、出来たすき間の時間で、がんばれるだけ仕事をがんばりたい。そういう気持ちで進めていきたいと思っています。

数年後、子どもたちを全員育て終えたら、ビックリするほど時間ができると思うので、そうしたらめいっぱい仕事をがんばろうと思います(笑)」

――ありがとうございます。ここからは、松山さんちの子どもたちも大好きという人気メニュー2品のレシピをご紹介します。

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