保育園管理栄養士の秘技! 子どもの好き嫌いが消える「3つの魔法」

YouTube21万人の人気管理栄養士・あおいさん「子どもがパクつく“魔法のレシピ”」#2~好き嫌い解消編~

管理栄養士:あおい

多くの親を悩ませる子どもの好き嫌い。工夫次第で解決できるとあおいさんは言います。 写真:アフロ

管理栄養士のあおいさんは、保育園に10年勤務の後、2018年に献立作成会社を起業。

2020年には、レシピを紹介するYouTubeチャンネル「あおいの給食室/子どもと食べる魔法のレシピ」をスタートし、現在(2022年2月)のチャンネル登録者数は、なんと21万人超!

人気の理由は、「あおいさんのレシピだと子どもたちが喜んで食べる」、「野菜嫌いだった子が食べられるようになった」等々。好き嫌いのある子どもたちが一変して食べるようになる、魔法のようなレシピがたくさんあるからです。

その“魔法”とは一体どういうものなのか、ご紹介します。
全4回の2回目。#1を読む

「コレ嫌い」が瞬時になくなる!?

あおいさんのYouTubeチャンネルやレシピ本でもよく使われているのが“魔法”という言葉。あおいさんは、子どもが食べられるようになるのは「“魔法”があるから」と言います。今回は、そんな“魔法”のタネ明かしをしていただきましょう。

「子どもの好き嫌いや偏食を、長期戦と捉えている親御さんは多いですよね。『小さい子だから野菜は食べられなくて当然』とか、『成長の過程でいつか克服できるはず』などと思ってあきらめていませんか?

実は、そうじゃないんです。こちらの工夫次第で、子どもって一瞬にして食べられるようになるものなんですよ。

だから私のレシピには『魔法のごはん』と名付けています。一度好きになればもうこっちのもの! だからです」(あおいさん)

保育園現場で10年、管理栄養士として勤務したあおいさん。子どもたちが、栄養バランスの良い食事を楽しくたくさん食べられるようになるテクは、魔法の使い手のようです。 Zoom取材にて

【魔法その1】野菜はよ〜く“加熱”すべし!

「YouTubeを始めてから、みなさんのコメントを読んでみて『こんな小さなコツに喜んでくださるんだ!』というのを知りました。

なかでも、『これまで意識したことがなかった』、『そんなの知らなかった』と驚かれることが多かったのが、野菜をしっかりと加熱すること。

みなさん、しっかり加熱しているつもりでも、私にとっては『それじゃ足りないよ〜』という感じです(笑)」(あおいさん)

そこまで加熱にこだわるのは、「野菜は本当によく炒めないと、食感が残るし、苦味とえぐみが目立ってしまうから」とあおいさんは言います。この苦味やえぐみが、子どもたちが野菜を遠ざけてしまう大きな原因になるのです。

「野菜をよ〜く炒めると水分が減って、うまみが凝縮して味が濃くなるんです。そうすると、少ない調味料で、味がしっかりつきます。

さっと炒めただけだと、野菜のうまみや甘みが濃縮されないので、どんどん調味料を追加してしまい、塩分も多めに……。

しっかり炒めるのは、食べやすくなるという点にくわえて、薄味でも美味しく味をまとめられるコツでもあるんですよ」(あおいさん)

同じレシピでも、炒める時間で味は変わります。「子どもが力を入れずにフォークでさせるくらいが、野菜の加熱時間の目安です」(あおいさん)。 写真提供:ワニブックス

あおいさんのレシピをよくよく見ると、「こんな食材まで加熱するの!?」というものも。

「きゅうりも湯通しすると、青臭さなどが消えて食べやすくなりますよ。野菜だけでなく、ハムなども使う前にちょっと湯通しします。

そうすることで食材を柔らかく、味馴染みしやすくする効果もあるんです。塩分控えめの味付けでも美味しく仕上がるので、高齢者向けにも使える魔法ですね」(あおいさん)

【魔法その2】見て慣れる“サイクル献立”を活用すべし!

「おうちで食卓に並べたものをお子さんが食べなかった場合、その料理をもう一度出そうという親御さんは少ないと思います。でも、『食べなかったから出さない』って、実は逆効果なんですよ」(あおいさん)

子どもは新しい料理に敏感。一度食べなくても、何度か出してみることが大事だと、あおいさんは力説します。これには、しっかりとした理由があるのです。

「保育園では《サイクル献立》という呼び方で、2週間同じ献立を繰り返すんです。1週目に食べたものは、3週目にまた登場する。子どもたちは、月に2回、同じものを食べていることになります。

サイクル献立の目的は、繰り返し出すことで、苦手意識をなくすこと。新しい料理に対して、抵抗感を低くすることができます。

実際に、一回目は食べなかったけれど、二回目からはたくさん食べるようになったという例も多いです」(あおいさん)

新しい食べ物を嫌がる・ためらうのは人間の本能でもあるので、繰り返し出して、「これは食べても大丈夫」と、伝えて続ける方が良いとあおいさんは言います。

「ご家庭でこそ、サイクル献立を積極的に活用してほしいです。安心しているおうちの食卓で、いろんなものを食べられる経験を増やすのが大事ですから」(あおいさん)

でも、同じ料理ばっかり出すと、子どもから「またこれか」、「今日も同じメニューだ」って思われませんか?

「それが案外、食べている側は忘れているものなんですよ(笑)。そういう風に考えると、作っている側も一気に気持ちが楽になりませんか? 

料理のレパートリーって、そんなに増やす必要はないんです。ぜひ、同じものを出してほしい。お母さんのストレスや負担軽減にもなるから、サイクル献立のことを多くの方に知っていただきたいところです」(あおいさん)

次のページへ 子どもの食事量が激増した保育園の出来事
16 件