【WEBげんき連載】わたしが子どもだったころ
「この人の親って、どんな人なんだろう」
「この人は、どんなふうに育ってきたんだろう」
今現在、活躍する著名人たちの、自身の幼少期~子ども時代の思い出や、子ども時代に印象に残っていること、そして、幼少期に「育児された側」として親へはどんな思いを持っていたのか、ひとかどの人物の親とは、いったいどんな存在なのか……。
そんな著名人の子ども時代や、親との関わり方、育ち方などを思い出とともにインタビューする連載です。
今回は、実の兄弟でコンビを組んでいるお笑い芸人「千原兄弟」の兄、千原せいじさんです。
気になることを考え続けた子ども時代
僕と親との関係は、正直なところ、子どものときからあまりうまくいっていませんでした。僕が、親のことをあまり好きじゃなくてね。両親が戦争前後の混乱期に生まれてきちんとした教育を受けていなかったこともあってか、「言うことを聞かへんから」と暗室に閉じ込められたり、ときにはひどいことをされたりと、今から考えるとかなり無茶苦茶な育てられ方やったんです。そんな環境に対してずっと「何かちゃうな。何かおかしない?」と違和感を持ち、「どういうことや?」と考え続けていました。だから気になることについて“考える”能力が身についたんやと思っています。
子どものころから感情のコントロールがヘタクソなほうでした
本(『無神経の達人』)にも書きましたが、僕は子どものころから感情のコントロールがヘタクソなほうでした。それはやっぱり、おかんの影響もあると思います。嫁はんと話していてちょっと頭に血が上ったときなんか、「お義母さんにそっくりやな」と言われることがあって、「血っちゅうのはなかなか拭い去れんものがあるんやな」と感じますよ。「これを言ったら、相手を傷つけてしまう」と思い至る前に言うてまう。言わんでええことを口にしてしまう。そうした後は相手に対して申し訳ないことをしたと思うし、それがきっかけで疎遠になってしまった人もいます。「せいじはああいう性格やから」と理解してくれる人もいますけど……。
本を読むことを逃げ場にしていました
本と言えば、小学校6年生の誕生日におかんから「誕生日プレゼント、何が欲しいねん?」と聞かれたので、「江戸川乱歩全集が欲しいなぁ」と言うたら、おかんが急に「このませガキが!」と怒り出したんです。「何やろ?」と思っていたのですが、大人になって気づきました。当時テレビで、江戸川乱歩のダークな作品をもとにしたお色気系の2時間ドラマをやっていたんです。母親は江戸川乱歩を知らないから、「江戸川乱歩というのは、そんな作品しか書いていない」と思い込んで僕を怒ったわけです。「知らない」というのは、本当に罪やなと思いました。