【平日は団体職員 休日は絵本作家】 「兼業のほうが絵本づくりが進む」 話題の絵本『こけしぞろぞろ』著者・まつながもえさんが明かす仕事スタイルとは?

まつなが:はい、印刷物のチェックのエキスパートといえば「校閲部」のみなさんです!

実は、絵を描いた私ですら忘れていたこけしたちを探し出し、正確な数を出してくださったのが「校閲部」のみなさんでした。もちろん仕事だからと言ってしまえばそれまでですが、すごく細かい模様の違いや色の間違いも見つけていただいて。「校閲部」のみなさまには、本当にお世話になりました。

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絵本「こけしぞろぞろ」

『こけしぞろぞろ』 著・作:まつなが もえ 発売日:2025/02/10 定価:1760円(税込み)

絵本作家になるきっかけは『あらしのよるに』のきむらゆういちさん主宰の絵本講座

──まつながさんは、『あらしのよるに』を生み出したきむらゆういちさんが主宰している「ゆうゆう絵本講座」の出身だとお伺いしました。

まつなが:はい、そうです。私はおはなしをつくるのがすごく好きで、小学生のころは、毎日たくさんのおはなしを作っていました。ところが中学から陸上競技を始めて、高校生、大学生とスポーツ三昧の日々を送っていたので、おはなしづくりから遠ざかってしまったのです。

大学卒業後に就職して社会人として働き始めましたが、「やっぱり絵本をつくりたい」と強く思うようになって。でも独学ではなく、絵本づくりをきちんと学ぶほうがよいと考えて、きむらゆういち先生の「ゆうゆう絵本講座」に入りました。

──「ゆうゆう絵本講座」では、どんなふうに絵本づくりをしていましたか?

まつなが:講座では、月に1回新作を発表するという決まりがあったので、毎回32ページの作品を作って発表することを目標にしました。「とにかく数をつくるべき」と思っていて。

──それはかなりハイペースですね。

まつなが:コンペなどと違ってラフの状態で作品を見てもらえるので、絵の完成度よりもとにかくお話や構成のおもしろさを意識していました。ハイペースとはいえ絵に時間をかけなくて良いので、その点は気楽な感じがして良かったです。

──発表の場ではどんなことをするのでしょうか。

まつなが:生徒が発表した作品について、先生と他の生徒が順番に感想を言っていきます。私の場合は、そのときに笑ってもらえるのが一番のモチベーションになりました。良くなかった部分の指摘も、「そこをもっと工夫すれば、作品がもっと良くなる」とポジティブに考えて、作品づくりに活かすんです。

ひとりだと迷うことがありますが、そんなときこそ、周りの人の意見がすごく役に立ちます。だから言われたことは「そうなんだ。じゃあこうしよう」と素直に受け入れています。

仕事と睡眠時間をきちんと確保して集中力アップ!

──まつながさんは観光協会で働きながら、絵本作家として創作活動を行っていると聞きました。

まつなが:そうなんです。仕事と絵本作家を兼業しています。絵本を描いていることもあって、現在メインで担当しているのは、子ども向けの事業の担当です。

その事業は、地域の歴史あるおまつりを次世代へと繋いでいくために、未来のまつりの担い手となる子どもたちに、実際におまつりに足を運んでもらうことでその楽しさを知り、関わってもらうことを目的としたものです。今年は1年かけて「まつり探検ラリー」というものを企画してきました。

ほかには観光写真コンクールの運営・ガイドブックの制作など、さまざまな観光事業に携わっています。地域には歴史的な建造物が多く、偉人が暮らしていた場所が今も大切に保存されています。私は歴史が好きなので、仕事も楽しくやらせていただいていますね。

──兼業を続けている理由はなんですか?
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