天敵の鳥も恐れる【目玉模様】が特徴的な「ヤママユガ」をコンビニで発見!

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

およそ1時間後、ドラッグストア(薬局)の明かりをチェックしたとき、ついに一頭目のヤママユガが地面にじっとしているのを見つけました。時間はちょうど夜中の12時でした。少しピンクがかったベージュ色の「淡赤褐色系」と呼ばれる型でした。ヤママユガは個体によって様々な色のバリエーションがあります。もっといろいろな型を見たいので探索を続けました。それから2時間、6つほどコンビニをめぐり、2頭の茶色のヤママユガを発見ました。下の写真はコンビニの明かりに止まっているヤママユガです。こんな風にいるんですよ。
コンビニにいたヤママユガ
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コンビニにいたヤママユガ
なんとかヤママユガを見ることはできたので、もう帰ろうと高速道路にのりました。最後にほとんど期待していませんでしたが、君津パーキングエリアに立ち寄ってみました。時間は午前3時。誰もいません。

すると、なんとそこに……いくつものヤママユガがいたのです!
チョコレート色のヤママユガ
黄色いヤママユガ
チョコレート色のものや黄色のものもいて、夢中になって撮影しました。正面から見たオスの触角のなんと見事なこと! 目玉模様が可愛らしい。何故こんな模様になったんだろう? じっくりと観察して満足して家路につきました。
ヤママユガの顔のアップ
数日後、虫に興味の無い人にこのヤママユガの写真を見せたところ、思いもしなかったことを言われました。

「柄が怖いね」と。なるほど! ヤママユガの目玉模様は、天敵の鳥にとって恐ろしい模様に違いない。虫好きには「可愛い」「美しい」としか思えないけれど、この人の言った「模様が怖い!」というのは、ある意味、実に自然で正しい反応なのだ。そのとき、私は目から鱗が落ちたような気がしたのでした。
ヤママユガの目玉模様
写真提供/伊藤 弥寿彦

ガのなかまが掲載されているMOVE

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いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。