そうだ! つばさを斜めにしよう
でも、なぜつばさを斜め後ろにすると、空気の速度を遅らせることができるのでしょうか。
ここで大事になるのが、つばさの断面です。
くりかえしているように、つばさの上を流れる空気のスピードとは、つばさの断面の上を流れる空気のスピードのことをいいます。
このとき、飛行機のまわりを通り過ぎる空気の速さは関係ありません。
でも、この断面の上を流れる空気のスピードは、斜め後ろ形と横形のつばさでは違ってきます。
なぜ空気の流れが遅くなるのか
つばさを斜めにして断面の上を流れる空気の速度が遅くなっても、つばさの断面の上と下では上が速く下より気圧が低いのは変わらないので、飛行機が飛ぶ力を失うことはありません。
まっすぐ横断と斜め横断
斜めになったつばさでは、空気はつばさに斜めに当たりますから、つばさから見ると空気は断面の上を斜めに横断しています。
飛行機が秒速100メートルで進むとき、斜め25度のつばさでは、つばさそのものは1秒間に100メートル進みますが、つばさの断面の上を通る空気は斜め横断をするため、断面の上で空気のスピードを計ると秒速約90メートルにしかなりません。
まっすぐ走れば100メートル10秒の選手でも、コースを斜めに走ると10秒以上かかってしまいますね。100メートルをまっすぐ走ったときのタイムが10秒だと、速度は秒速10メートルです。同じ選手が斜めに走るとゴールまで12秒かかりました。速度は秒速約8メートルです。
100メートル走はスタートからゴールまでの時間で競いますから、斜めに走ればそれだけ遅くなってしまいます。
衝撃波はつばさの断面の上の空気のスピードによって起きるので、つばさの断面を流れる空気が遅くなれば衝撃波の発生を防げます。
このようにつばさを斜め後ろにすることで、飛行機はスピードを上げても、衝撃波で飛ぶ力を失うことなく安全に飛び続けることができるのです。
謎のこたえ マッハのスピードで飛んでもつばさで衝撃波を起こさないため
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テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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