かたちの見えない電気はどうやってお家に届いているの?

物のかたち図鑑 チャプター17 ~コンセント・変圧器のかたち~

テレビマガジン編集部

お家の電気は電柱の電線を通ってやってきます。電柱のないところでは、地下に埋められた電線から電気がきています。

電気は部屋の灯りをつけたりテレビをつけるはたらきをしますが、基本的には電気はかたちが見えないものです。

でも、夏の雷で光る稲妻や、冬の乾燥した日に金属製のドアノブなどに触るとパチッと飛びちる火花のような光は、電気なのではないかと思いますよね。

じつは、稲妻の閃光や静電気の火花は電気が光っているわけではなく、空気中を電気が通ることによって空気が光っているのです。電球の中のフィラメントが、電気が通ることで発光するのと同じです。ですから、電気が見えるわけではないのです。

今回は目に見えない電気のかたちを、電気の通り道から想像してみましょう。
目に見えない電気は、どのようにしてお家に届けられているのでしょうか。  写真提供:中部電力パワーグリッド
すべての画像を見る(全10枚)

お家にやってくる電気は交流

電気には、プラスからマイナスへと一定に流れる直流電気と、プラスとマイナスが入れかわりながら流れる交流電気があります。

直流電気は、電池から流れてくる電気です。電池が電源のスマホやおもちゃは、直流電気で動きます。一方、発電所から電線を伝わってやってくる家庭用の電気は交流です。

ですから、直流で動くスマホの充電器やパソコンには、交流電気を直流電気に変換するアダプターがついています。

電気のかたちは目に見えませんが、お家にやってくる交流電気は波のかたちをしていると思ってください。交流電気の波はプラスとマイナスをいったりきたりします。
電柱とトランス  写真提供:中部電力パワーグリッド

電柱の上にのっている丸箱の正体

発電所でつくられた電気はとても高い電圧で、送電用鉄塔の高圧電線で送られてきます。

電圧が高すぎると家庭ではつかえないので、お家に着くまで途中にある変電所で電圧を下げてから、電気は家の近所まで電柱伝いにやってきます。

それでも家庭でつかうにはまだ高いので、最後に電柱の変圧器で100〜200ボルトに電圧を下げます。

電柱の上のほうにのっている灰色の「丸い箱」を見たことがありませんか。

全部の電柱にあるわけではないですが、探してみれば何本かに1つは必ず見つかるはずです。
画像提供:中部電力パワーグリッド
この丸い箱は「柱上変圧器」という大事な装置で、変圧器の中では鉄心とコイルのはたらき(電磁誘導)によって、変電所から送られてきた電気をお家でつかえる電圧に下げています。

変圧器で電圧を下げた電気は、電柱から引き込み線を通って家の中に送られて、コンセントからテレビや冷蔵庫などの家電につながります。

家のコンセントは右と左で違うってホント?

先ほど言ったとおり電気にはプラスとマイナスがあります。乾電池をプラス、マイナス逆に入れてしまったら製品は正しく動きません。

でも、お家に通っている電気は交流電気なので、コンセントはプラスとマイナスが区別されていません。

だからコンセントの左右を気にせずプラグを差し込んでもOKです。でもコンセントの右側と左側では、ほんとうは役目が違うのです。
コンセントの2つの溝のうち、左側は何かのトラブルでよけいな電気が流れてきたとき、感電などの事故が起きないように、よけいな電気を外へ出す役目を持っています。

ですからコンセントはよく見ると、左側のほうがすこしだけ長くなっています。

左側のコンセントはアース(地面に電気を逃がす)線につながっていないといけないので、左右がわかるよう長さで区別しているのですね。
謎のこたえ お家にくる電気は、波のかたちをしていて発電所からやってきます。電線、引き込み線を通って、室内のコンセントから家電を動かしています。

『物のかたち図鑑』好評発売中!

連載中『物のかたち図鑑』の本が好評発売中です!

公開中の「マンホールはなぜ丸いのか?」「ヨットの帆はなぜ三角なのか?」などのほか、新しいかたちの謎も加わり、大ボリュームの内容になっています。大手企業のご協力も得て、写真、図版も満載! 大人も子どもも楽しめる一冊です。

●関連記事

●この記事を読んだあなたへオススメの本

『世界一おおきいのりもの図鑑』定価:本体1800円(税別)世界一大きい乗り物って、どんなものでしょう? 「世界一大きい自動車」「世界一大きい船」「世界一大きいブルドーザー」……。この本には大人と子どもの好奇心をくすぐる、世界一の大きい乗り物しか載ってません。大人も子どももアツくなれる乗り物写真集です。
この記事の画像をもっと見る(10枚)
てれびまがじんへんしゅうぶ

テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga